COLUMN

2013.7.30 DESIGN

イメージを伝える難しさ

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.14
あるイメージを第三者に伝える事って難しい時がありますよね。それは形だったり固さだったり、匂いだったりもします。身の回りにある、例えば誰でも知っているモノを参考に伝えたとしてもそれを具体的に具現化することが非常に難しい時があります。

先日試作を進めていた「鉄の色」で、大変な苦労をしました。イメージは塗装によって鉄の素材感が消えてしまわない色。それは亜鉛メッキの電柱だったりロートアイアンの門扉だったり、ヴィンテージ風のメッキ仕上げだったり。スチール加工を請け負う工場の方にも、塗装屋さんにもなかなか分かってもらえません。自分自身のイメージがぶれていてキチンと伝えられないのです。そんな状態ですから、第三者に何とかして伝えるためには「これ!!」と、そのものズバリを提示しないといけない訳ですが、そういうものが中々有りません。そこでディレクターの瀬戸から出た案が「プラモデルの塗料」。子供の頃、戦車や戦闘機を塗ってたいわいる「ガンメタ色」です。グレーの濃淡の中にも、何ともいえない鉄の質感が感じられるあの色です。プラモデルの塗料を買い込み、いくつかのバリエーションをサンプルに塗り込んで検証しました。捌け塗りしたそのサンプルは、塗装の見本帳にはない何ともいえない表情がありました。後日、そのサンプルを塗装屋さんに伝えて、試作を仕上げてもらいました。

何事も、様々なイメージを駆使して試してみない事にはありきたりのものしか出来ませんよね。試作品は、刷毛塗りの質感溢れるガンメタ仕上げとはいきませんでしたが、有り体の工業用の塗装サンプルとは違った仕上りになったと思います。
(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

懐かしのプラモデル塗料。昔とちょっと匂いが違います。
鉄色塗装、あれこれ。