COLUMN

2014.5.29 DESIGNER

インテリアは総合力とバランス

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.32
ミラノレポートのスライドを製作する為に、取材した写真の編集作業をしていました。撮影した写真をそのまま使用するのではなく、Photoshopでパースを直し、暗さや色なども補正して加工しています。広角レンズを使うインテリア写真では縦方向にパースがつくのと、斜め取りの時にパースがきつすぎる時があるので、加工しないとちゃんとした空間に見えません。今回も数千枚の写真の中から1200枚の写真を選んで加工し、その中の600枚を使用しました。

取材をした内容や、プレスリリースを見ながらスライド原稿を作り終えて感じたのは、インテリアの力です。家具はそれだけで存在しているのではなく、空間、レイアウト、組合わせ、小物など、総合的な関係から存在しています。どれが欠けてもいけません。それができているブランドのブースは人気があり、ヨーロッパの低迷する景気の中でも売上げを伸ばしています。それを感じたのが、あるブランドの展示です。いつもミラノサローネ会場で注目されるブランドのブースが、今年とても残念な展示だったからです。そこでもらったプレスリリースは、なるほど、立派なテーマだったのですが、、。著名デザイナーがデザインしたブースのデザインだけでなく、家具の置き方やデコレーションが、???というような様子で、観葉植物がプラスッチックの鉢のままで置かれていたりで、とてもインテリアと呼べるものではありません。わざと狙っているのかと思ったほど、、。展示されている製品も良く見えませんでした。

集客が多く、素晴らしいと感じたブランドは製品単体の置き方でなく、スタイルとしての展示ができている所でした。空間のデザイン、レイアウト、デコレーションのトータルバランスが取れていて、置かれる製品の本来の美しさをより引き出しています。その中でも空間の良さを左右するのはレイアウトとデコレーション。小物使いや家具とのバランスが取れている展示はリアリティがあり、本当に心地良い空間になって、来場者の共感を得られるようです。ミラノで良かったのは、Moooi。以前は巨大な馬の照明や変わったビジュアルが目立つ製品本位の展示だったのですが、今年は空間とトータルバランスの取れたスタイル展示になっていました。撮影や取材で訪れるLAの住宅は生活するリアルなインテリアですが、その中は建物だけ、家具だけ、でなく、小物やそれらを組み合わせるデコレーションがされています。ミラノサローネの会場でも再認識しました。

ミラノで取材した写真は家具の写真だけでありません。今回もそれを展示する空間、花や、小物のデコレーションの写真も多数収蔵したCDを作りました。お楽しみに!
                               (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

集客力のあるブランドはスタイル展示で、製品だけでなく、空間、デコレーションまで総合的にバランスが取れています。左上、左下:Moooiの展示は歴史的建築物のフォトグラファーのマッシモ・リストリの大きな写真に合わせての展示とデコレーションは見事でした。右上:男っぽい展示はドルドーニの世界。右下:チッテリオの世界はエフォートレススタイル。
左上、左下:どのブランドかは書けませんが、チープな展示空間にてきとうな置き方、観葉植物も受け皿無しのプラスッチックの鉢のままで置かれます。右上:金ぴかの展示は何の為なのか、展示している製品が分かりません。右下:アートな家具もこの時代方向が違うように思います。