COLUMN

2015.5.29 DESIGNER

長持ちする物とは

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.46
最近ますますアメリカンファッションが席巻し、イタリアブランドの靴メーカーでもコンバースのワンスターなどを真似たスニーカーを出すようになりました。アメリカブランドだけでなく、ヨーロッパブランドも70年代のアメリカファッションがお手本のようです。その頃アメリカで流行ったアディダス・スタンスミスもまた流行っていて、まっさらなスタンスミスを履いている人を見るようになりました。

高校生の時、38年前のスタンスミスはハイレットという名前で、白に後ろのグリーンが綺麗で、アメリカにスケボー留学していた時に買いました。さすがに真っ白いスニーカーを買って履く勇気は無いので、15年くらい眠っているスタンスミスを出して履く事にしました。いい感じによれていて久しぶりのスタンスミスもいいかもと一日履いていました。家に帰って脱いだスニーカーを見てびっくり、後ろのグリーンのマークが無くなっていました。人工皮革のグリーンのマークがジーンズに摩れて取れてしまっていました。何年か前にイタリアの有名ブランドのト○ズのウレタンソールの革スニーカーを買って、2年くらいでウレタンのソールが加水分解してボロボロになっていてびっくりしたのですが、それを思い出しました。加水分解とは反応物と水分が反応して生成物に分解する事で、特にスニーカーの底に使われるウレタンゴムに多く見られます。履かずに大切に取っておいたスニーカーがもしあれば、お気をつけ下さい。

家具の世界では椅子やソファの張りに使われるビニールレザーと呼ばれる塩化ビニルや、合成皮革のポリウレタンも耐性期間に差はありますが、ビニールレザーはカチカチになり割れて、ポリウレタンはボロボロやベトベトになるものがあります。ビニールレザーや人口皮革は強いと思われている方は多いのですが、置く場所によってもかなり変わります。昔仕事をした、温泉施設の日光の当たる場所にあるソファが半年でボロボロになった事があり、汗などの水分と日光が当たる場所にはビニールレザーは使ってはいけないんだと実感しました。国産レザーメーカーではそのような事が少ない素材も出されていますので、指定や購入される際は素材をよく吟味して下さい。人口皮革やビニールレザーは汚れに無敵と思われている方が多いのですが、新しいジーンズの色の移行があったりもするのでお気をつけ下さい。革製品は高いですが、大切に使うと本当に永く持ちます。私自身持っている革靴は20年以上履いていますが、まだまだ働いてくれそうです。

表皮だけでなく、ソファ等の見えない場所に使われる素材も大切です。クッション材に使われるウレタンフォームも粗悪品だと劣化が早く、ボロボロになりますが、その下にあるスプリング素材が問題です。かなり前に流行ったウェビングテープというゴム素材のテープが使われるソファが流行ったのですが、ボロボロと劣化して伸びてしまい、座が下がり問題になりました。今はその対策をして長持ちする弾性ベルトが出ていますが、そのイメージが強いので使いたくありません。ゴム素材は長持ちしても10年程度ではないでしょうか。進んだ技術を持つ車のタイヤもそんなに持つタイヤはありませんよね。前々回のメルマガでも書きましたが、53年前の愛車の車のシートの中に使われているコイルスプリングはまだしっかりとしていました。やっぱり鋼線のスプリングは強いんです!家具は大切に使えばずっと使えます。中が見えないソファでも触って、メーカーの方に聞いて中の素材を知って選んで下さい。

来月早々にアメリカ西海岸へロケハンに行きます。今年も西海岸でカタログ撮影を行う予定です。街では何が流行っているのでしょうか。帰ってお伝えできればと思います。    (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

20年くらい前に購入したフランス製のアディダス・スタンスミスです。本体の革やラバーソールはしっかりとしていますが、グリーンの塩化ビニールの表面はボロボロでジーンズに摩れて取れてしまいました。
黒の革靴は20年以上履いて昨年ソールを革底からビブラムソールのゴムに張り替えました。雨にも履ける靴に変身です。茶色の革靴も15年くらい前にミラノで購入しましたが、かかとだけ直してまだまだ履けそうです。ちゃんとした革靴は手入れして休ませながら履くと何年でも履けます。天然素材は強いです。(革靴にはシューズキーパーは必需品です)