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2017.1.31 DESIGNER
肌で感じる
AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.69
今年もはや一ヶ月が経ちます。1月10日の東京から始まった西海岸建築レポートも札幌、先週の高松、広島で終了しました。寒い中、沢山のお客様においでいただきまして、本当にありがとうございました。年明け早々に風邪を引いてしまい、東京、名古屋、大阪のお客様にはお聞き苦しい声で、大変申し訳ありませんでした。捻挫や高熱など、体調が悪くてもセミナーはできるのですが、声が出ない事だけは、気力だけでなどうしようもない事を思い知らされました。次回お目にかかる時は万全な声で望みますので、今後ともよろしくお願いいたします。
今回のアメリカ西海岸レポートでは、クールモダンから、レトロ、フレンチクラッシック、フォークロアなど、今迄以上に様々なインテリアスタイルをお見せする事ができました。今迄、100軒を越える住宅のレポートを行ってきましたが、どれ一つ同じ住宅はありません、どの住まいもオーナーのライフスタイルに反映された、住まう為の家とインテリアでした。それをオーナーと歩くハウスツアー方式でお見せするのが私のスタイルです。毎回、レポートしながら、自分自身も面白く感じるのですが、今回は特に様々なスタイルで、スライド作業しながら、自分自身が一番楽しくなりました。
その中で気になったのが、外観がフレンチスタイルでインテリアはイギリス式の家です。ロサンゼルスのダウンタウン近くにあるハンコックパークはビバリーヒルズよりも古くに造成された高級住宅街で、1910年代にダウンタウンのビジネス街に通う銀行家や経営者が住まう為に作られた閑静な住宅地です。太陽の似合うパームツリーの並ぶ道に面した家は、そこだけ空気が違っていました。目の前に現れたのは白いフレンチスタイルの大きな館で、中に入るのをためらうくらいの佇まいです。その白い家は銀行家が1917年に建てた住宅で、先祖は1620年にイギリスから初めてアメリカへ渡ったメイフラワー号の乗客102名のうちの1人で、その子孫がお住まいでした。アメリカ人の白人の多くはイギリス出身でメイフラワー号の子孫だと思っていて自慢するそうですが、この家の方は本物です。老齢の執事の方に案内いただきました。
この家は建物と庭はフレンチスタイルなのですが、マホガニーのドアの中は全てイギリス式のインテリアで、オーク材の床やマホガニー材の柱や階段など、全ての材木を現地で加工しながら建築されました。使われる照明は1917年製のティファニーのスタンドやペンダントランプ、リビングやダイニングには、1920年製のバカラのシャンデリアなどが使われ、吹き抜けのトップライト用のステンドガラスは1917年にティファニースタジオで作られたガラスが使われています。家具は本物のチッペンデールの家具が置かれ、14世紀のヨーロッパ家具や教会に置かれていたイコンが壁に飾られていました。置かれている椅子の多くは状態が良いのですが、布がすり切れていましたが、聞くと、お金が無いのではなく、張替えると価値が無くなり、本物の布を大切にしていてそのままの状態でお使いとの事でした。以前、ゲッディセンターで近代以前の家具は布が一番高価だった話を聞いた事を思い出しました。
インテリアの全てが美術館級だったので、住まいとしてではなく、迎賓館か公開用として使われているのかと思ってしまいましたが、メインダイニングで奥様が朝食を取られていて、本当にお住まいとして使われている事が分かりました。メインダイニングではマホガニー材の板の壁で暗く感じましたが、フォーマルダイニングとしては、壁紙や壁布、塗り壁ではなく、オーク材やマホガニー材の板材を壁材使う事が正式な事をお聞きました。イギリス式のフォーマルダイニングのアームチェアのホスト用の使われ方や、4本脚ではなく、一本脚タイプが使われたテーブルや、食事に使われる銀器のカトラリーを収納するサービスキャビネットなど、様々な作法がインテリアに生きていました。知識としてフォーマルダイニングの事は知っていても、実際の住まいの中で見る機会は無かったので、その空間にいて実際に見る事の大切さを再認識しました。
今の時代、PCやスマホの画面で発信元が不明な画像を元に、バーチャル的に知識を得る事は多く、若い人などはその知識を本当の知識として鵜呑みにしている事が多く感じます。自分自身で実際に感じた方が大切で、もっと楽しい事を知って欲しいと思います。次のインテリアーレポートでも、ありのままの写真や話をお伝えできるようにしますので、次の機会をお楽しみに。 (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)