COLUMN

2018.5.27 DESIGN

デザイナーの模型作り

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.73
今回のメールマガジンでは、エーディコアの開発室では「こんな事もやってます」的な紹介をします。モノを作る過程で「イメージを具現化する」ことはとっても重要です。イメージ出来ないものは作る事が出来ません。

デザイナーによってアプローチは様々ですが、エーディコア・クリェイティブディレクターの瀬戸が図面を手掛ける前に描くスケッチは、ラフなタッチに見えますがほぼ完成に近いラインで描かれてます。正式に図面化する際にそのスケッチをなぞることもしばしば。フォルムやラインだけでなく寸法やバランスも表現されています。さらに、製品のデザインによっては細部のディテールを立体的に確認をするため、模型を製作することがあります。通常は5分の1スケール、場合によっては10分の1、原寸大で作った事もありました。最近ではめっきり製作する事が少なくなった「模型」ですが、先日久々に製作する機会がありました。

模型は、形のディテールを確認するため真っ白な紙(ケント紙やホワイトボード)で作ります。「平面の紙」から作るので、原則的に3次元の曲面は作れません。そこで立体的な3次元を表現するために工夫を凝らします。リブを付けて立体的に見せたり、成型合板と全く同じ原理でコピー用紙を重ねて接着し、椅子のシェルを製作した事もありました。5分の1スケールですが、コンマ数ミリの誤差が命取り。紙の厚みやカッターの刃の動きによって精度が変わってしまいます。昔は夜な夜な製作していた模型作り、気持ちが入ってきたときの瀬戸の集中力は凄まじいものがありました。

今回の模型作りは、あるプロジェクトの製作過程で行なったものです。平面図ではイメージし難い、曲面の流れを確認するために製作したモデルです。開発の富所君のデータを基に、今回初めて図面データから主要なパーツをレーザーカッターでカットしました。主なパーツは精密なマシンカットで出来ていますが、どう形にしていくかは手作業によって決まります。こだわる部分とアバウトで良いところを見極めつつ、立体的にイメージしながら製作を進めていきます。作業途中で分かった事ですが、レーザーカッターでも精度が出ていない事がありました。瀬戸の総指揮のもと、徐々に模型の全体が組み上がってきます。完成が近づくにつれて、さらにいろんなアイディアが出てきて模型の完成度も上がっていきました。

数日掛けて製作した模型は無事完成、予定していたミーティングに持ち込まれました。丹誠込めて製作したモデルはすでに手元を離れてしまったのですが、このプロジェクトを完成するために活躍してくれることと思います。模型作りも楽しみましたが、プロジェクトの出来上がりが楽しみです。(開発・武田伸郎)

商品の型の模型作り。次第に熱がこもってきます。
17年以上前に作られた1/5スケールの製品模型。シェルは紙の型で成型したコピー用紙!!