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本当の実力

2021.02.26

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.117
日本の基幹産業は自動車産業です。私自身デザイナーになったきっかけはスーパーカー世代で自動車のデザインに興味があったからです。バブル期に人気になった自動車レースの最高峰のF1では、日本メーカーのエンジンやドライバーが多く参加しホンダとアイルトン・セナの強さは世界を席巻し、TVでも放映され自動車人気が最高潮に達したのもその時期でした。その後、景気後退で日本メーカーの参加も無くなり、TV放送もされなくなりいつの間にか知られないスポーツとなりました。自動車も環境に悪影響のある道具として見られるようになりました。F1へ久しぶりにエンジンサプライヤーで参加していたホンダもこの景気で今年限りの参加になっています。そういった事から日本メーカーの海外での人気や実力はあまり知られなくなっています。

新型コロナで日本でのスポーツ世界戦は中止になりモータースポーツも同様に日本戦は無くなりました。その中、少し驚く事がありました。2020年の世界ツーリングカー選手権(WTCR)で中国の自動車メーカーのLYNK&CO(リンクアンドコー)が2年連続チャンピオンになになった事で、それも日本ではまったく知られていません。世界ツーリングカー選手権は国際自動車連盟 (FIA) が開催している世界8カ国を転戦する国際自動車レースです。トヨタが参加している世界ラリー選手権(WRC)は一般道を走る競技レースで、自動車選手権と双璧の自動車レースなのですが、どちらも市販車に近い車両を使用する為、ヨーロッパでは人気が高く、市販車の販売にも大きく影響をします。世界ラリー選手権では韓国メーカーのヒュンダイも参加しており、2年連続チャンピオンになっていてトヨタは2位でした。どちらのレースでも一時期は日本車が活躍していただけに車好きとしては、とても残念です。

新型コロナの発生源と言われる中国がワクチンで新興国や東ヨーロッパを中心に外交戦略を展開していますが、自動車産業でもいつの間にか主役になろうとしています。そっくりな粗悪車を作っていた中国メーカーが、ヨーロッパ自動車メーカーを傘下にして技術や品質を吸収しています。LYNK&COは中国の吉利汽車集団のグループ会社で、吉利汽車集団は2010年にボルボを傘下に収め、2018年2月には、ダイムラーに10%出資して筆頭株主になりました。その中でLYNK&COは欧州では価格帯も中級から高級車市場に狙いを定めて展開しており、車の開発はスウェーデンで行われていています。自動車レースの世界の結果でイメージアップさせる手法は昔からあり、日本メーカーがしてきた事ですが、その手法を中国、韓国メーカーが行なっています。日本メーカーが環境や利益を優先している間に、レースの世界でも抜かれてしまったのは、車好きには本当に残念で、日本頑張れ!と思ってしまいます。今後、電気自動車が自動車の本流になるのは間違いない事で、欧州車はハイブリッド車から電気自動車に本流を定めていてメルセデスベンツやボルボからは電気自動車の発表が続いていますが、中国の電気自動車の販売台数は世界一になり、電気自動車の分野で主流を目指しています。

このコロナ禍の中で日本はコロナのニュースばかりで、世界へ目を向けていなかったように感じます。相変わらず日本のすごさを売りにするTV番組が多く、いつの間にか日本はなんでも世界で一番だと思い込んでしまっているようです。日本の物作りの良さは、使われる方の事を思い、長く使い続けられるメンテナンス性の高さです。感染終息後の事を見据え、この時間を有効に使い、新しい仕事のあり方、新しいデザイン、より細やかな物作りができるように、自分を磨きましょう!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
上:LYNK&CO 03 WTCR/世界ツーリングカー選手権の2019年、2020年のチャンピオンカー。アウディ、ワーゲン、ヒュンダイ、ホンダが参加。2020年2位はホンダでした。
下:ヒュンダイ・i20クーペWRC。WRC/世界ラリー選手権の韓国メーカーヒュンダイのマシンで2019年、2020年のチャンピオンカー。2020年の2位はトヨタでした。2021年のWRCの開幕戦のモナコラリーではトヨタが完全勝利したので今年のWRCは楽しみです。

不動産投資のフリップとは

2021.01.29

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.116
昨年末、NHKのBS番組で「ハリウッド華麗なる物件案内」という番組を放送していて、アメリカ・ロサンゼルス不動産事情を、現地の日本人のセレブ御用達不動産ブローカーの案内で見せていました。今、アメリカではファッションや店舗を持つ業態が壊滅的な状況で、ブルックスブラザーズなど有名ファッションブランドの破綻や、高級チョコレートのゴディバの北米撤退など多くのニュースが流れています。しかし、株式投資や不動産投資は活発で、特に不動産の売買は高級物件を中心に動いています。アメリカでのカタログ撮影でお世話になっている、プロデューサーの靖子さんに聞くと、靖子さんの住まいのあるウエストハリウッドには、今、セレブの映画俳優やお金持ちの多くが仕事場への通勤短縮にと住んでいたマリブから、ウエストハリウッドに移り住んでいて、エリアの不動産価値を高めているそうです。

アメリカ西海岸で撮影を始めて、建築ツアーでも多くの住宅や建築を見てきましたが、多くのオーナーは、少し住んで高く売って次にステップアップすると言われていて、特にインテリアデコレーションに力を入れている住宅ほど、仕上がりが素晴らしく、家具やアートも家の一部として一緒に販売されます。それが住宅の価値を上げる事にもなっているそうです。その事もNHKのBS番組の中でも紹介されていて、その不動産投資法が「フリップ」という名前で紹介されていました。私自身もロケハンの時に何軒か転売で利益を上げているオーナーに会うまでは、古い住宅が付加価値をつけて転売されている事を知りませんでしたが、リノベーションされた家の中を歩いて、その意味と実情を知る事ができました。日本では古い物件を購入し、かなりの予算をかけて新しくしたとしても、新築と同じ金額で取引されることはありえません。

しかし、アメリカでも古い住宅を新しく改装しただけで不動産価値が上がるわけではありません。人気のエリア、有名建築家の設計、有名人が住んだ家、人気のミッドセンチュリー時代のモダン住宅など、二度と手に入らない物件など人が欲しがる条件がいろいろあります。価値を上げるリノベーション手法は2つあり、建てられた時代と違う、新しいデザインを施した住宅で、多くは景観と置かれる家具が価値を上げてます。一方は、建てられた時代のオリジナルに戻すリノベーションで、有名建築家やその時代に人気だった建築家や有名人が住んだ家で、家具もその時代に合わせリプロダクトでないオリジナル家具で、コンセントやスイッチ類まで、その時代の物が使われています。ここまで徹底するかと驚く事が多くありましたが、相当なセンスと努力が価値を高めて利益を上げるフリップにつながります。

アメリカではいろいろな物に価値をつけて商売にしています。現代アートの取引もそうですが、有名なのは自動車で、古い車だけでなく、人気の車種でそれをオリジナルの状態にレストアして当時と同じ走りを取り戻した車に価値が付けられます。昔は古いフェラーリでしたが、この数年はナローポルシェと言われる1970年代の901型で、1960年代の356型と言われる古いポルシェより価格が沸騰しました。Gパンと言われるデニムも同じで、日本から火がついたのですが、戦中のデニムや鉱山内で発見される1920年代のリーバイスには数万ドルの価値が付けられてデニムハンターという仕事を生業としている人もいます。どれも欲しがる人がいるから価値が上がり、どの物も今では手に入らないという希少性が条件になります。日本の大正時代の着物があっても二束三文なんですが、、。

1月13日に開催したアメリカ西海岸セミナーでは原爆の父のオッペンハイマーが住んだ1960年代の住宅も紹介しましたが、照明スイッチや置かれる小物までこだわった住宅でした。今年はどのような情報をお伝えできるのでしょうか、実際に行って感じた事をセミナーとしてお伝えするのが私のスタイルです。次のセミナーをお楽しみに!
(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
ハリウッドヒルズに建つフォトグラファーの住宅。1970年代の住宅を2011年に購入し3年かけてリノベーションされました。まるで美術館のような住宅は家具もアート級で、売れば間違いなくフリップ成功です。 セレブが多く住むウエストハリウッドに建つ1960年の原爆の父、ロバート・オッペンハイマーの住宅です。オリジナルの状態に戻されて、キッチンのオーブンや水栓、コンセントやスイッチ類も1960年代の物が使われています。映画にも使われる家で有名人の住んだ家は人気です。

2020年の最後に思う事

2020.12.28

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.115
2020年は新型コロナウイルスの発生から始まり、収まるどころか感染拡大中と本当に大変な一年でした。一年を通してマスクをして、人との接触を避ける状況は人生で初めての事でした。日本の経済への影響も大きく当社でも大きな影響を受けました。当社では2月から手の消毒、ショールームの完全予約や建物内の消毒、次亜塩素酸加湿器、換気扇の新設、外食の禁止、事務所内マスクの着用はもちろん、スタッフの席を1.5メートル以上離して対策をしてきました。しかし、マスクのストレスの大きさと、発声しなければ唾液が飛散しない事から、猛暑の夏以降、各自デスクでの業務中のマスクを外す事は認め、社内の移動やミーティングにはマスク着用としました。

第三波の感染が広がる中、政府から家庭内でもマスク着用とのニュースが流れてきましたが、少し違和感を持ちました。私の母は定年間際に癌で亡くなるまで現役の看護婦長でした。家ではいつもエタノールの臭いがしていて、私にとってはエタノールの臭いは母の匂いです。自宅近くの病院で永く勤めていて、小学校での予防接種で先生と並んで同級生に注射している母を見るのは少し恥ずかしいけど、誇らしい気持ちにもなりました。実家にいる時は感じませんでしたが、インフルエンザ、はしかなど流行している時は家庭内に持ち込まないように、母も気を使ったと思います。小さい頃に街で赤痢が発生して対応した時にも家ではマスクをせずに、いつもと変わらない笑顔で夕食を作っていました。母が言っていたのは白衣とナースキャップを脱いで、通勤の洋服は家で着替えて、手をしっかり洗えば大丈夫と。結核病棟でも看護していた母なので、感染対策の知識はあったと思いますが、家ではエタノールの臭い以外は普通のお母さんでした。今、新型コロナウイルスで病院に従事されている方は、家庭でも本当に気を使われていると思います。

今、マスク無しの生活は考えられません。公共な場所ではしかたがありませんが、家庭内でのマスク着用の推奨はどうなのかと思います。母のように家に持ち込まないように気をつける事を徹底し、家庭や近しい方とは、ストレスの無い安らぎのある過ごし方ができるように、感染防止の啓蒙を行った方が良いと思います。親子で笑顔を見せられない生活なんて悲しすぎます。仕事場も感染防止をしっかり行わなければいけませんが、換気をしっかり行い、密にならない環境で飛沫がなければ、ストレスが少ない働き方ができるはずです。今は抗菌性や抗ウイルス性を持たせた機能製品が多く見られるようになりました。それを上手く使いながらストレスの無い生活が送れるはずです。

インテリアでも徐々に抗ウイルス性能を持った素材が発表されてきました。しかし、身体に密接な家具についてはあまり進んでいません。お客様からはエーディコアさんの抗菌への取り組みは早かったと言われますが、抗菌塗装や抗ウイルス仕様についてやったほうが良いのは分かるが、エーディコアさんだけの家具に抗ウイルスがあるのは説明しにくい。全ての素材や家具がそうなってくれれば良いんだけどと。たしかに当社の家具だけ抗菌や抗ウイルス性能があっても説明しにくいかもしれませんが、ファブリックだけでもお預かりすれば抗ウイルスコーティングできます。そうすれば手に触れる箇所は対策した事になりますとお答えしました。

当社で行なっている感染対策は、アクリル板の代わりの大きなPCモニター、建物内の整理整頓と定期的な消毒、ランチの外食は禁止、電車や外でカバンや荷物は絶対に床に置かない、事務所や家に帰ったら手を洗いうがいをし、家では帰ったら部屋着に着替えるです。でも、デスクや家ではマスクしないでストレスを溜めない事も感染対策としています。2021年はマスク無しで笑顔で話せる日がきっと来ると思います。それまで頑張りましょう!皆様本年もありがとうございました。1月のWebセミナーでお目にかかりましょう。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

ロサンゼルスで取材した家具デザイナーの自宅です。窓から見える緑が爽やかです。猫ちゃんも外に出れているのでしょうか、、。 上:広尾本社のオフィスの私の席です。物はほとんど置かず、片付いていると掃除がしやすく感染予防になります。左下:オフィスは2メートル以上離れた席で、大きなPCモニターはアクリル板の代わりになります。右上:戸建てビルで窓が沢山あり、部屋の角の窓を少し開けて空気を取り入れています。ステーを使うと大きく開き寒さで風邪を引くので、原始的ですが、ゴムとドアストッパーを挟んで1〜2センチ開けています。右下:反対側の窓ガラスに穴を開けて(壁に穴を開けると大工事になるので)換気扇を付けて24時間換気しています。以前はランチの臭いがなかなか取れませんでしたが、今ではすぐに無くなります。

モダニズム建築と感染症

2020.11.30

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.114
11月18日にWebを使った2021年モデルの新作発表会を開催しました。当社では、6月からZoomを使ったセミナーを4回行ってきました。感染リスクがなく、遠方のお客様へも新作をプレゼンテーションできるので便利です。Webを使った映像なら録画で良いと思いますが、ライブ感を大切にし、その時間をお客様と共有したいとの思いから続けてきました。今回もカメラとして使用したiPhoneに向かって話をするのは大変でした。ご覧いただけなかった方に発表会での話をしましょう。

今回の2021年モデルは新型コロナ感染拡大によって企画から見直す必要があり、従来のデザインを生み出す手法を変える必要がありました。これまでは、デザインの流行から今後のインテリアを考え、次に来る流行やライフスタイルを見据えたデザイン提案を行ってきました。今年は2月の感染拡大によって、住まいと働く場所が混在するプライベート空間、公共施設での感染対策など、今まであまり必要とされていなかった機能が求められるようになりました。私自身、短い時間の在宅勤務でしたが、家庭内での仕事のあり方や、仕事環境の大切さを知る事になり、中でも椅子の重要性を認識する事になりました。食事を中心とした2時間程度の快適性から4時間以上座る事の多い仕事、それもPC作業の前傾姿勢から、Webミーティングをする際の後傾姿勢まで幅広い姿勢に対応する機能的が椅子に求められます。また、消毒しやすい汚れにくいデザインも必要となります。

20世紀初頭に生まれたモダニズム建築は感染症の中で生まれたと言われています。当時、世界的に大流行していたを結核を治療するために、多く作られたサナトリウムでは白い清潔な空間に換気をするための大きな窓、埃がたまりにくく消毒のしやすいシンプルな空間にし、そこに置かれる家具は、座と背が開いていて埃がたまらず、革や合板で拭きやすく、足は足元からの感染を防ぐために、ステンレスやクロームメッキの金属が使われました。フィンランドのアルバー·アアルトがデザインした整形合板のパイミオチェアーはサナトリウムのために作られました。当時の新鋭建築家、ル·コルビジェ、ミース·ファン·デル·ローエ、アルヴァ·アアルトらが進めた建築はその他のモダニズム建築に影響を与えました。

ル·コルビジェの「光と新鮮な空気が健康には重要」と考えて設計したパリ郊外にある、代表作のサヴォア邸も感染症予防のために作られました。玄関の横に手洗い用の流しを設置し、車寄せのある地上から持ち上げ、住まいを2階からとし、光と空気を入れる換気の良い大きな窓を設けました。そして、家族が安心して過ごせる屋上庭園のある建築としたのも、その時代背景があったからです。その時代のモダニズム建築は、快適性より安心感や安全性といった新しい機能を目的に作られ、世の中にモダンデザインとして取り入れられるようになりました。

2020年は新たな感染症との戦いが続いています。しかし、20世紀初頭と違うのは、病気の正体が分かっており、消毒などの対策が取れる事です。また、抗菌剤だけでなく抗ウイルス剤を使用した安全性の機能も持たせる事ができます。それを活かし快適性を犠牲にしないデザインも可能になっています。当社の2021年モデルはその機能性と快適性が最大限に活かせるデザインを目指しました。東京、大阪、名古屋の各ショールームでは展示が始まっています。ぜひお座りいただいて快適性をお確かめ下さい。新型コロナに負けないように頑張りましょう!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
右上下:サヴォア邸。ル・コルビジェが1928に設計。玄関に手洗い場があり外からの感染予防対策があり、2階から住居部分で大きな窓は光の取り込みと換気の為で、屋上には家族が過ごせる庭園があります。左上下:パイミオのサナトリウム。アルヴァ・アアルトによって1928年に設計されたフィンランドにあるパイミオの結核療養所。パイオミチェアーは感染予防のために成型合板が使われました。
2021年モデル CHAIR:MD-1101A 脚部とアーム、背など手の触れる箇所には抗菌のポリウレタン塗装が塗布され、汚れにくく消毒しやすくなっています。TABLE:MD-1102 天板は対薬品性が高いガラスやセラミックが使われます。脚部については抗菌塗装が標準化され、CAHIRとTABLE共に抗ウイルス塗装がオプションで追加できます。

製品が生まれるまで~今

2020.10.30

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.113
6月のメルマガでも触れましたが、新しい事に出会いながら世の中は進んでいます。私自身の仕事のデザイン仕事でも同じで、仕事の進め方が大きく変わってきました。デザイナーの仕事は長い間、頭の中でデザインする物を立体に考え、それを2次元の三面図に書く事でした。それがこの数年でCADやプリンターなど3D化が進んでいます。

私自身、社会人になってから心がけてきたのは工場の方とのコミュニケーションです。しかし、今年はコロナ禍もあり、いつもとは違う仕事の進め方をする必要がありました。私の仕事の進め方は図面を渡すだけでなく、工場の職人さんとのやり取りや、試作の途中で手触りや座った印象など試作途中に感じることが重要です。出来上がった試作を工場から送ってもらい、修正を加えて返送して進める方法が一般的なのでしょうが、出来上がった物では、修正するのに時間がかかったり、イメージを伝えるには限界があるからです。それが今年は工場への訪問をする事は出来ませんでした。Webカメラを使ったり、製品試作を往復させての検証をするしかなく、今年の新作のイメージの伝え方を考える必要がありました。

若い頃は、鉛筆を使ったスケッチから始まり、それを元にした1/5模型を作りプロポーションを確認し、ドラフターを使ったトレーシングペーパーに原寸図を手書きして青焼き。それが20年以上前からはPCを使用した作図に変わっています。この数年は、模型製作に3Dプリンターを使うようになりました。4年前からスタッフに加わった開発部のトミーのおかげで、新しい機器を使えるようになり、スケッチから3Dの立体画像で確認し、CAD図面化、3Dプリンターで模型や部分パーツの原寸模型を製作できるようになりました。模型を手作りする楽しさは無くなりましたが、かなり精密な模型ができるので、工場へ三面図だけでなく模型も送り、立体的な造形とイメージを伝える事ができるようになりました。

以前は、模型は木材や発泡材を削り、成型合板ならボール紙を重ねて圧着して、本物に近いイメージで模型作りを進めて、途中でデザイン変更などしながら模型を完成していました。3Dプリンターでは、ABS樹脂などの棒状のフィラメントを溶かして積層させ形を作ります。樹脂なので硬くて後からは削りにくいので、データを最初からしっかり作る事が必要となります。形状がリアルに出るので、イメージを確認するには便利な機械です。時間的に3Dプリンターだから早くできるという訳ではなく、どちらも数日かかります。以前は模型の削り粉にまみれて作っていましたが、今ではトミーがデータを作ってくれて、3Dプリンターが忙しく動いてくれるだけので助かるのですが、、。

最近は、CAD図面とモデルを工場へ送り、模型から製作工程や張りのイメージを見ながら製作を進めるので、ほぼイメージ通りの試作が完成します。2021年モデルの椅子でも一次試作でイメージ通りの完成になり、最後の座り心地で数ミリのクッション材の形状変更と指触りの分かる面取りの変更だけで済みました。でも、この数ミリが大きいんです、、。今回の椅子の試作は一度も工場へ行かずでの完成でしたが、試作途中の椅子を社に送ってもらい全スタッフに座ってもらいましたが、今までの椅子の中で一番座り心地が良いと評判です。ソファはそうはいかずに工場へ行きましたが、いつもの半分の工場出張になりました。

2021年モデルは、安心と安全をテーマに製品作りを行い、機能的にも完成度の高い新製品になりました。今年ほどモニターを見ながらの設計にこんなに時間をかけた事はなく、頭の中のデジタル化が少し進んでアナログとデジタルが融合してきたようで、ペンダコが消えた指を見ながら工場が恋しくなっています。いよいよ11月18日にWebでの発表会。製品プレゼンテーションも新しい試みをしてみようと思っています。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
左上:新作のテーブルの詳細写真です。展示会前なので全てはお見せできませんが、15ミリのガラスを受けるパーツ。左下:3Dプリンターで作られたパーツ。右上:3Dプリンンターで作れば何もしなくてもいいと思われる方もいるかもしれませんが、樹脂のフィラメントを積層して出来るので、積層面が荒く、これを削って綺麗にします。右下:表面をサンダーで削って仕上げると綺麗になります。 左上:新作椅子のイメージ写真です。背の合板と無垢板のカーブが綺麗です。左下:3Dプリンター模型ではここまで作る事が可能で、完成前に撮影イメージを検討する事も可能です。右:2019年モデルのアクリルチェアのTA-002も3Dプリンターを使って模型を作り検討しました。三次元形状を検討する際は本当に便利です。

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