COLUMN

2016.10.27 DESIGN

日本のモダンデザイン 1965

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.54
1965年、東京オリンピックが開催された翌年、ビートルズが来日する前の年になりますね。今から約半世紀前のことになります。アメリカが世界を席巻したミッドセンチュリーを経て、世界中の様々な影響を受けながら日本でも建築をはじめとする独自のデザインや文化が生まれ始めた時代です。

来月発表する今年の新製品を、1965年に設計された建築物で撮影を行いました。ディレクターの瀬戸が、不思議なアンテナで探し出してきたほとんど知られていない物件です。日本では旧い建築物は資産価値が無くなるため、貴重で素晴らしい建築物でも建て替えられてほとんど残らない状況にありますが、今回撮影を行なったこの建物は、奇跡的に一部水回りを増設しただけで、設計当初の状態をほぼ保ったまま使われていました。床や天井はもちろん、木製の窓枠(だいぶ建て付けが悪くなっていましたが)まで当時のまま。オーナー曰く「多少不便かもしれないが、出来るだけオリジナルのまま」お使いになっているそうです。その建築は、外観も内装も派手さが無く天井も高くないのですが、これまでカタログ撮影で見てきた様々な西海岸の住宅には無い、日本的なモダニズムを感じました。壁面コーナーの微妙な曲面やエントランスに設けた天窓からの光など、上手く説明が出来ないのですが、派手さや豪華さではなく、端正で控えめなディテールにこだわった心地良い空間がそこにはありました。もちろん眼下に広がる湘南の海も、心地の良い空間の大切なファクターの一つだと思います。

撮影時期の天候がほとんど雨続きで、天気予報でもほとんど雨でしたが、ピンポイントでその日だけ予報が外れて快晴!!撮影も無事終了することが出来ました。今年の新製品は、昨年までの西海岸スタイルから視点を変えて日本的なモダンをテーマにしました。60年代というのもキーポイントです。来月からスタートする新作展示会、新しいパンフレットの出来映えもぜひご覧下さい。(企画開発 / 武田 伸郎)

新製品の撮影風景。天気は良好、時間との戦いです。
撮影終了後、バルコニーからの絶景です。