COLUMN

2017.8.29 DESIGN

豪華絢爛の赤坂離宮

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.64
先日、赤坂の迎賓館を見学してきました。以前は夏のみの一般公開でしたが、明治以降の建造物として初めて国宝に指定され、2016年より通年公開になりました。ネット申し込みによる抽選ですが、公開当時よりは倍率も下がり今回当選して見る事が出来ました。

現在の迎賓館は、外国の賓客に対して接遇を行うための施設ですが、もとは大正天皇がお住まいになる「東宮御所」として建設されました。10余年の歳月をかけて明治42年に完成。西洋文化を取り入れ、日本の建築技術の総力を挙げて完成した一大モニュメントでした。設計は片山東熊(かたやまとうくま)氏。「東京国立博物館 表慶館」を設計した明治を代表する建築家です。東宮御所は、第二次世界大戦の後、皇室財産から国に移管され「国立国会図書館」などの公館として使用されていましたが、外国の来賓を迎える迎賓館が必要となり昭和43年に赤坂離宮として6年の歳月をかけて改修されました。改修設計は村野藤吾氏です。

残念ながら室内は全館撮影禁止です。(この日は迎賓館所蔵の藤田嗣治氏の天井画6点が特別に展示してありました)西門から入館して、気高さを感じさせる本館玄関ホールから2階の小ホールへ導く中央階段を経て見学していきます。通路やホールも絢爛豪華。室内も天井画やシャンデリアが華やかさを引き立てます。家具のディテールも日本で言う「クラシック家具」とは一線を画す、ルネッサンス期の様式に則ったとても素晴らしいモノばかり。椅子の彫刻やテーブルの象眼の鮮やかな張り分けなど、本場欧州のクラシック家具にも引けを取らない見事な仕上がりでした。技術習得の為に職人を欧州に派遣したとも言われています。当時の日本が西洋の列強諸国に肩を並べるため、渾身の力を込め妥協を許さず造り上げた宮殿は、内装も調度品も博物館級で、前庭からの一望は都心の中心にあるとは思えないような景観でした。

1時間ほどの見学でしたが、絢爛豪華な装飾には圧倒されまくりでした。日本の技術の粋を集めた赤坂離宮、ぜひ一度は見ておきたい建築作品だと思います。
*実は、東宮御所として完成した当初、あまりに豪奢な宮殿は「豪華すぎる」という理由から明治天皇の意向に沿わず、皇太子ご夫婦が過ごすことが叶わなかったそうです。生活する空間で想像すると、何となく分かるような気がしました・・・。(企画開発/武田伸郎)

前庭からの本館の眺め。まさしく宮殿です。
こちらは主庭の噴水からの眺望です。