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2018.8.31 DESIGNER
アメリカの不動産価値
AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.88
8月にアメリカ西海岸建築セミナーで巨匠の建築特集を開催しました。ほとんどの建物が1920年代から60年代にかけて設計された建物ですが、住宅として使われています。セミナーをするにあたり、以前取材した写真の整理ともに現在の状態も調べましたが、住宅のオーナーが変わっていました。アメリカ人は一生でかなりの回数の住まいを変えるとは聞いていましたが本当です。
2005年に取材した1923年に建てられたフランク・ロイド・ライトのエニスハウスは、ブラウン氏が所有していましたがロサンゼルス大地震の時に大きな被害を受け、修復はされてもまだ痛んだ状態でした。ブラウン氏が亡くなってからロサンゼルス市に寄付されましたが、補修費用が膨大にかかるため、市では所有しきれずに1500万ドルで売り出されました。しかし、1000万ドルかかるという修復費用のために結局売れずに、三分の一以下の450万ドル(5億円)で2011年に投資家のロン・バークル氏に売られました。その時の契約書には建物の完全な修復を行い、年間12日一般の方に公開する事が条件として入れられました。それが、今年6月にはの購入金額の5倍の2300万ドル(25億円)という高額な金額で売りに出されました。家の修復にいくらお金がかかったかは分かりませんが、3倍以上で転売されるとはさすが投資家です。
その近くにはフランク・ロイド・ライト息子のロイド・ライト・Jrが1926年に設計した、ソーデン・ハウスがあり、2006年撮影に使用しました。その時はデコレーターのゾーランさんが所有していましたが、2001年に廃墟の状態になっていた建物を120万ドルで購入し、リノベーションして元の美しい住宅になり、2004年にはディカプリオ主演の映画アビエイターで使われました。そのソーデン・ハウスも2016年に4倍の475万ドルで売られていました。2008年のリーマンショックで不動産の価格が暴落し、セレブの住むウエストハリウッドの住宅街にもセールの看板がしばらくありましたが、今ではリーマンショック以前以上の好景気で、工事中や改装中の住宅が目立ちます。有名建築家の設計した住宅だけでなく、ミッドセンチュリー建築は元の形に近いレストレーションを行えば価値ある物として取引され、購入した時より高額な金額で取引がされていています。それが有名建築家の設計であれば、美術的な価値を持って取引がされます。住まいを投資として住み替えながらステップアップし、リタイヤの時に小さな住宅にして余生を過ごす方も多いと聞きます。
サンフランシスコのIT企業やシアトルのアマゾン社によって市内の住宅価格やアパートの賃料が数倍になり、一般人が住めなくなったとTVニュースで見ましたが、ロサンゼルズもサンタモニカを中心にアップルやグーグル社などIT企業のオフィスが出来てシリコンビーチと言われるようになり、近隣の家賃は2倍以上になり普通の人はなかなか住めなくなってきたそうです。ロサンゼルス市内では高級ホテルのオープンラッシュで話題のホテルも数多く、中でもピエール・イヴ・ ロションが手がけたウォルドルフ・アストリア・ホテルが話題になりました。また、レストランチェーンの「NOBU」の松久信幸氏がマリブに18部屋のNobu Ryokan Malibuを作り、和のインテリアを取り入れた空間も話題になっています。その他も多くのホテルがオープンしましたが、ダウンタウンに数年前にできたエースホテルのようなチープなインテリアのホテルではなく、西海岸らしいナチュラルでも高級感のあるインテリア空間が目立ちます。これはお金を持つ若者達が多くなり、好みも変わってきた事からではないでしょうか。
今年も12月にアメリカ西海岸を訪れる建築ツアーを企画しています。今回は住宅だけでなく、話題のホテルも訪問したいと思っています。昨年からかなりのスピードで様々な変化を見せるLAのインテリアが、どの方向を向いているか見る事を、今から楽しみにしています。その前に秋の新作発表会へ向けて、新作の試作も進行中です。今までとは全く違う方向性の家具かもしれません。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)