COLUMN

2021.3.30 DESIGNER

空間のバランス

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.118
当社ではお客様からプレゼンテーションをご依頼されることが多くあります。かなり以前はイラストボードに写真や家具図面を貼ってマーカー着色をして、平面図には手書きで家具をレイアウトしました。その際に役に立ったのが樹脂でできた家具用テンプレートです。そのテンプレートには家具の隙間や1人当たりの寸法が考えられたテンプレートで、それを図面に当てながら人の動線なども見ながら家具の配置を書いたので、自然に寸法感覚が身につく事ができました。今はプレゼン作成がパソコン作業になり、家具データを平面図に貼ることができるようになり、家具レイアウトも楽になりました。

しかし、家具配置は簡単にできるのですが、動線や家具の隙間や広さに対するバランスを考える事が希薄になっているように感じます。社内で作成したプレゼンを見ると、窮屈だったり、人が通れないレイアウトだったり、空間に対して家具が大きすぎたりとおかしく見える事も多くあります。お客様からいただく図面も椅子をテーブルの中に入れた状態で点線としてレイアウトされている事も多く、実際に人が使われている状態でのレイアウトでない場合があります。その平面図の上に、そのまま家具を配置しているので、椅子やソファに人が座っていると動線が取れていないレイアウトが出来てしまいます。樹脂でできた家具用テンプレートならテーブルと椅子の間が少し開いているので、実際に座った感じでレイアウトできるのですが、、。レイアウトも使われる方の家族構成や年齢によっても要点が変わってきます。

部屋の広さに対しての家具の占めるバランスも重要です。広いリビングにご指定のあった当社の家具のみ配置をして、他社の家具が入れられていないので、空間が空きすぎていて、スカスカになった平面図を見る事が多く、空間に対しての適度な家具ボリュームも考えないとと思う事もあります。アメリカの住宅を取材した時も感じる事が多いのですが、空間が広すぎて置かれる家具のボリュームが少なくてせっかくの空間が逆に貧祖に見える事があります。これは壁の空間も同じなのですが、白い壁ばかりだと寂しく見えて、アートを配置して空間のバランスを取られた空間は良く見えます。平面的には空間の3割の家具がバランスが良いとされています。大きな空間でも家具ボリュームのバランスが大切なんだと思う事が重要で、前々回もメルマガで書きましたが、不動産のフリップで成功する物件は家具をバランス良く配置して空間のバランスが取れている事が不動産価値も高めているんです。

感染の影響でお客様の所にお伺いできない事が多く、データのみをお送りする事も影響していて、プリントしてみれば感じられる事も、画面だけでの確認になっている事も原因の一つになっています。そこで、社内でプレゼンテーションの仕方や平面レイアウトの仕方の勉強会を行う事にしました。お客様に家具のレイアウトで少しでも良い提案できるように社員のスキルアップに勤めています。これからはプレゼンをお受けする際にはいろいろな質問をする場合があるかと思いますが、少しでも使いやすいレイアウトを作る為ですので、ご容赦いただけますでしょうか。快適な空間で当社の家具をお使いいただければより、快適にお過ごしいただけますので、、。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

左上下:ウエストハリウッドで3000万ドルで販売していた住宅です。巨大な住宅でしたが、家具の配置も考えられていてバランスが取れた住宅でした。すぐに買い手が見つかったようです。右上下:ビバリーヒルズの住宅で引っ越し直後という事もありましたが、家具が小さく感じて少し貧祖に見えます。ダイニングの椅子も中に全て入れられていて、空間が寂しく感じます。
左上:今はほとんど使わなくなった樹脂製のテンプレートです。昔は製図板(ドラフター)と鉄道定規で家具を書いていました。左下:このテンプレートは1/50ですが、1/100や1/200もありました。テーブルの外に椅子が置かれ、使用する状態でのレイアウトができます。右上:温泉旅館のレイアウトを1/100でトレペに書いた図面です。数百人の宴会場のレイアウトを描く時はサービス動線を考えながらで大変でした。右下:データで平面図を落とし込む時はお客様の動線は重要です。