COLUMN

2021.8.27 DESIGN

優れた特性を持つセラミック素材の天板加工

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.112
昨年、コロナ渦の中発表したテーブルシリーズMD-1102は、標準規格で抗菌塗装・オプションで抗ウイルス塗装対応の木天板と、薬品や消毒液にも耐性のあるガラス天板のバリエーション、さらに黒大理石調のセラミック天板をご用意しました。発売後、セラミック天板の受注が増え、白いビアンコカラーラ模様を追加しました。セラミックは、耐熱性に優れ天然大理石のように水分が染み込んでシミになり難いなど優れた特性を持っています、さらに金属より高度が高く傷が付き難いため、傷に菌が入り込むこともなく衛生面にも優れています。優れた素材特性を持つセラミックですが、加工が非常に難しい素材です。今回は、MD-1102のセラミック素材が天板トップに仕上がるまでの工程をご紹介したいと思います。

テーブルトップやカウンターの素材としては、取り扱いも容易で木製家具の工場でも加工が出来る樹脂製の人工大理石が一般的ですが、セラミック素材は、表面硬度が非常に高く割れやすい素材なので、専用の工場での加工が必要になります。素材の原盤が3メーターと非常に大きく割れやすいので、配送はもちろん工場内での移動だけでも慎重な取り扱いが必要です。さらに裏面に割れ防止のFRP樹脂加工が施されいて、カット面が欠けてしまうので一度に定寸に仕上げることができません。初めに、カッターの刃に工業用のダイアモンド砥粒を使用したブリッジカッターで粗取りをします。水を流しながら作業台の合板も一緒にカットするため、作業台の合板も一度しか使えません。次に、粗取りしたセラミック板の裏面外周を、木天板に接着した際にピッタリ密着するように割れ防止のFRPを研磨する作業を手加工で行います。その後、ようやくウォータージェットカット器に板を移動し、正確な寸法にカットします。

仕上がり寸法にカットされたセラミック板は、専用の側面研磨機で小口面をダイアモンドパッドで磨いて仕上げていくのですが・・・MD-1102のセラミックは厚みが6ミリと非常に薄いため、クランプで固定する機械にセットする事が出来ません。薄く硬い素材なので加工中に割れてしまう危険性があるためです。そのため、ここでも手加工の仕上げを行なっています。面取り加工も同様で、ウォーターサンダーで#100~#500、#800と丁寧に加工し、最終仕上げとして小口面を専用のワックス研磨剤で磨き上げ、テーブルトップ素材が完成します。

デザイン性、素材感、機能性など全てにおいてグレードの高いセラミック素材。高価な素材ではありますが、テーブル製品の素材として仕上げるまでに、時間と手間を掛けています。画像を見ていただいてもその素晴らしさを感じていただけると思いますが、ぜひ実際に手で触れてみてその素材感を確かめて下さい。各ショールームには各種サンプルもご用意しています。皆様のご来場をお待ちしています(開発 武田伸郎)

左:作業台に慎重に置かれたセラミック板 右上:3mの大きい原板をカットするブリッジカッター 右下:水を流入しながら粗取りカット。作業台の合板も1回で新しいものに交換します
左上:ウォータージェットカッター器。正確な寸法にカットします 左下:側面研磨機。クランプで固定しダイアモンドパッドで小口面を仕上げる機械 右上:セラミック裏面に施された網目状の割れ防止FRP樹脂を、外周だけ研磨して平滑に仕上げます 右下:丁寧に仕上げたセラミック材を木天板に接着します