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2026.10.30|

DESIGNER

2027年カラー・オブ・ザ・イヤーの色は

D CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.185 毎年、秋に発表する新製品で悩むのが、木部塗装やファブリックの組み合わせです。デザインや構造を考えるのは慣れてはいますが、白い紙の上で鉛筆でスケッチしてきたせいか、製品に使用する塗装色やファブリックを決めるのが、いつも最後になって苦手です。特にカタログ撮影用に製作する製品は、カタログやホームページで長く使用するので、いつも保守的な色を使うことになってしまいます。インテリアの中に置かれる家具は、空間の色に合わせられることが多く、新しいトレンドのヒントを探すのですが、アメリカ西海岸でカタログ撮影を続けていたことと、アメリカのデコレーターの仕事が世界のトレンドになることが多く、アメリカ建築のインテリアに使われる色を気にすることが多くなっています。 日本と違い、アメリカ建築の内装の多くはドライウォールに水性ペイントで塗装されています。アメリカの建築はリノベーションが70%以上を占め、一般住宅はDIYとして自ら補修や再塗装をして使い続けています。ロサンゼルスの多くの中間層以上の家では、通いのメイドさんはもちろん、南米出身でラティーナと呼ばれる方々に、庭仕事や修繕などの日々の雑用をお願いしています。日本で工務店さんにお願いするよりずっと安く、なんでも引き受けてもらえます。ロスでお世話になったプロデューサーの靖子さんの家でも、出入りの修繕を頼む方がいて、電気工事からドアや階段の修繕、外壁塗装だけでなく、室内の壁や床の塗り直しまでこなします。そういった方々がいるおかげで、西海岸の住宅は100年以上たってもきれいに保たれています。もちろん一般家庭でも室内塗装は普通に行われ、クロス貼りは本布で高級住宅の寝室に使われるか、ビニールクロスはトイレなど部屋の一部にしか使われていません。クロス貼りと違い、塗装の方が安価で気軽にリフォームできることも人気の理由かもしれません。 アメリカのホームセンターに行かれた方は、見たことがあると思いますが、DIYとは思えないような建材やドア、キッチン、巨大冷蔵庫、衛生機器など、一軒丸ごと家が建つ材料がそろっています。特に販売されている工具類は丈夫な物が多く、私はドライバーや車用の工具などは必ず買って帰ります。これらの工具は本当に丈夫で、20年以上使ってもぜんぜんダメになりません。ホームセンターで驚くのは、塗料売り場の大きさと種類の多さです。巨大なものは5ガロン(19リットル)入りのバケツで塗料を売っているのですが、それも数千色の中から選べます。塗装専門窓口があるホームセンターでは、色番号を指定するとその場で調合してサンプルを作ってくれ、色が決まると巨大なバケツに入れて販売してくれます。アメリカの室内用塗料の市場は2026年には3兆円と言われますが、日本では10分の1の2千億円ほどと言われています。アメリカのホームセンターでの塗料売上の割合は、大型家電の冷蔵庫と並ぶ1位だそうです。 アメリカの2027年のインテリアカラーは?と調べると、各塗料メーカーが2027年トレンドカラーのカラー・オブ・ザ・イヤーとして、10月中旬に発表していました。3,500以上の色を販売する高品質な室内用塗料メーカーとして人気のBenjamin Moore(ベンジャミン・ムーア)の2027年のカラー・オブ・ザ・イヤーは「Webster Green HC-130/ウェブスター・グリーン」。汎用性が高く、存在感のあるこの色は、柔らかなブルーとピンクに、深みのある銅色、オリーブ色、バーガンディ色を組み合わせたグリーンで、落ち着きを保ちながらも色彩を添え、デザインに個性を与え、あらゆる空間に静かな優雅さをもたらすそうです。日本の伝統色でいえば緑青(ろくしょう)をくすませたようなグリーンは、日本ではあまり使われない色ですが、この数年、ミラノサローネのファブリックでグリーン系が多く使われていることを思い出しました。たしかに、温かみのあるグリーンはクラシックだけでなく、モダンな空間にも合うように思いました。 北米で最大の建築用塗料メーカーであるSherwin-Williams(シャーウィン・ウィリアムズ)の2027年カラー・オブ・ザ・イヤーは「Celery SW 6421/セロリ」。明瞭さと快適さが融合した、軽やかでハーブのようなグリーンで、新鮮な視点と優雅さを体現しています。かすかに黄色みを帯びたこの柔らかく落ち着いたグリーンで、軽やかなパステルカラーと、地に足の着いたハーブのような色合いの絶妙なバランスを実現しています。こちらのグリーンは、緑青(ろくしょう)を明るくしたようなグリーンです。北米最大級のホームデポで独占販売されている内外装用塗料を製造しているBehr Paint(ベアー)のカラー・オブ・ザ・イヤーは「Grounded T27-01/グラウンデッド」。ブラウンがかったオリーブグリーンで、苔のようなオリーブ色に、土のような茶色のニュアンスが加わった色は、日常の空間を自分だけの聖域へと変え、静かに生命を宿す自然の重層的な複雑さを反映しているそうです。北米第2位のPPGインダストリーズ社傘下の塗料メーカー、Glidden(グリッデン)のカラー・オブ・ザ・イヤーは「Artifact/アーチファクト」。温かみのあるスモーキーブルーで、親しみやすく落ち着いた色合いです。空間の個性を損なうことなく、空間をリフレッシュさせる効果があるそうです。 今年のアメリカの塗料メーカーの2027年カラー・オブ・ザ・イヤーは、落ち着いたグリーン系やブルー系が多いように感じました。特徴があって目立つというより、柔らかな落ち着いたニュートラルカラーに合わせ、調和させるための色でした。デザインと同じように、柔らかな安定をインテリアに必要としているように思います。アメリカの塗料メーカーの塗装色を見ると、微妙な変化の色が並び、昔よく使った印刷用のDICの色見本を見ているようで、この組み合わせを考えているデコレーターはすごいなと思いました。2027年モデルの新作発表会のインビテーションカードには、ウェブスター・グリーンを使用しました。当社の製品は環境に配慮したやさしい製品へと進化しています。発表会でお待ちしています。お楽しみに!(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.10.29|

SHOWROOM

本物と暮らす秋の深まりと、新しい季節へ

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.527(東京・六本木ショールーム) 10月も終わりに近づき、街路樹の葉も深みを増す季節となりました。朝晩の澄んだ空気には秋本番の足音が混ざり始め、お部屋の中で過ごす時間がより愛おしく感じられる頃ではないでしょうか。今月開催されていたショールームの展示品セールも終了に近づき、ご来場いただいた皆様、そして大切な家具を暮らしに迎えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。セールが終了するとショールームは、落ち着いた秋の装いとともに、2027モデル新作発表会に向けてどこか心地よい緊張感と高揚感に包まれています。 肌寒さを感じるこの季節、インテリアにおいて何より恋しくなるのが「素材の持つぬくもり」です。夏の間は清涼感を与えてくれていた本革(レザー)のソファやチェアは、秋から冬にかけて、お部屋に入った瞬間にしっとりと肌に馴染む「包み込まれるような安心感」をもたらしてくれます。使い込むほどに艶を増し、家族の時間の重なりとともに味わいを深めていくレザーは、まさに暮らしを豊かに育てるパートナーです。また、窓から差し込む秋の光を受け、無垢材が見せる深い木目や美しい表情も、この季節ならではの楽しみです。ソファにウールやカシミアのブランケットを1枚添えるだけで、目からも触感からもあたたかな空間が完成します。今回のセールで新しい家具を迎えられた方も、ぜひ日々の生活のなかで素材が身体に馴染んでいく愛おしいプロセスを味わってみてください。 セールの賑わいから日常を取り戻したショールームが迎える次の大きなイベントが、11月下旬から始まる「2027モデル新作発表会」です。今回の新作テーマは、「エフォートレスな安らぎを上質へ」。肩の力を抜いて心からリラックスできる、肩肘張らない「自然体の心地よさ(エフォートレス)」。そこに、エーディコア・ディバイズが長年培ってきた繊細な技術と美意識を重ね合わせることで、ただ美しいだけでなく、心身を深く満たす「上質な安らぎ」へと昇華させたラインナップが誕生します。新しいコレクションを、皆様にお披露目できる日をスタッフ一同とても楽しみに準備を進めております。 賑やかなセールの季節が過ぎたからこそ、今はじっくりと家具の仕立てや素材の質感に向き合い、自分にとっての「本当の心地よさ」を吟味できる贅沢な時間です。11月下旬からは、新しいデザインと空間提案が皆様をお出迎えいたします。深まる秋のひととき、ぜひショールームへ足をお運びいただき、一足早い「上質な安らぎ」の気配を体感してみませんか?皆様のご来場を心よりお待ちしております。 (東京・六本木ショールーム 西條 恵理) ▷ご予約はこちらから

2026.10.29|

SHOWROOM

同シリーズでまとまりのあるシーンを演出

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.526(名古屋・栄ショールーム) 皆様は家具の購入をご検討される際、どのようにアイテムを選びますか?置くスペースを考慮したサイズ感で、お部屋のイメージやお好みに合った家具を探すとき、組み合わせに悩むことはございませんか。エーディコア・ディバイズでは、テイストの異なる4つのブランドを展開をしていますが、その中でチェアとカウンターチェアといったように、シリーズでコーディネートをお楽しみいただけるラインナップもご用意しております。今回は、展示品も交えてこのような製品をご紹介したいと思います。 まずは、当社の社名がブランド名になっているAD COREから、CERVOシリーズのチェアとカウンターチェアをご紹介いたします。CERVOは1986年に初代モデルを発表して以降、今なお当社の代名詞的存在で圧倒的人気を誇るチェアです。すっきりと伸びた脚部と、背座と脚部を繋いでいるXフレームが近代的でシャープな印象のチェアなので、無機質でモダンな家具をお探しのお客様にはピッタリのチェアです。今回は、名古屋・栄ショールームに展示がある、初代モデルと同時に発表されたカウンターチェアと3rdモデルのCERVO Ⅲを例にあげてご紹介します。ショールームにあるカウンターチェアAD-875とCERVO Ⅲは、背裏をビーチとマホガニーでそれぞれ木仕上げにし、張地も共にブラック系の本革張りに揃えたことで、同シリーズの統一感がより一層増し、木部と張地の相互のラグジュアリー感が映え高級感のあるチェアに仕上がっています。このように単品でも洗練された仕上がりのチェアも、キッチンスペースのカウンターチェアと、ダイニングのチェアといったように同シリーズでテイストを揃えてコーディネートすると、空間全体をよりランクアップさせることができます。他にもMD-901シリーズなら、ラウンジチェアとダイニングチェアを統一することができるだけでなく、同じ脚先形状をもったMD-905ダイニングテーブルの展開もありますので、リビングダイニング全体でコーディネートをお楽しみいただけます。 他にもシリーズ展開をしている製品を多くご用意しています。コーディネートに悩まれたら同シリーズでまとめるコーディネートをお薦めします。もちろんショールームでも皆様のご要望をお伺いしながらベストなご提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。ショールームで皆様のご来店をお待ちいたしております。 (ショールーム担当:水野 未佳子) ▷AD-875はこちらから ▷CERVO Ⅲはこちらから ▷MD-901シリーズはこちらから ▷ご来場予約フォームはこちらから

2026.10.29|

DESIGN

8年ぶりに社用車を乗り換えました。

はじめまして。今回初めてコラムを担当させていただきます、開発部の奥友です。 記念すべき第一回目のテーマは、今月に迎えたばかりの社用車の乗り換えについてです。納車されたばかりの新型カングーに、前車と同じように自分たちの手で「AD CORE DEVISE」のカッティングシートのロゴを貼り付け、社用車としての準備を整えました。マスキングテープで位置をミリ単位で慎重に測り、空気が入らないように慎重に少しずつ押さえながら、サイドやリアへ丁寧にロゴを貼り付けていく――。そんな作業をしていると、いよいよ新しい相棒を迎えたんだという実感がじわじわと湧いてきます。 会社の社用車として気づけば丸8年もの間、大切な相棒として走り続けてくれた旧型カングー。新人だった私にとっても、たくさんの現場や納品へ連れて行ってくれたこのクルマには、愛着と感謝があります。入社したばかりの頃は輸入車に乗り慣れておらず、ウインカーを出そうとして間違えてワイパーを動かしてしまっていたのも、今となっては良い思い出です。そんな前愛車から、ついにフルモデルチェンジをした新型カングーに今月乗り換えを行いました。「次もやっぱり、カングー以外に考えられない」と社内で迷うことなく意見が一致したのには理由があります。それは何よりもコンパクトな見かけからは想像もつかない積載量の多さです。開発の現場では、1800mmもの長さがある家具の天板をはじめ、普通車では到底諦めざるを得ないような長尺物を積む機会が多々あります。「こんなものまで積めてしまうのか」と、前車のカングーには幾度となく助けられました。東京の狭い道でもすいすい進める小回りの良さと、大きなものも詰めてしまう前愛車には信頼がありました。 新しく私たちの仲間に加わった新型カングーで、まず目を引くのがその佇まいです。数あるカラーの中から私たちが今回選んだのは、落ち着きと陰影のある「ガンメタ」のボディカラー。光の当たり方によって表情を変えるシックな佇まいは、ビジネスシーンにスマートに馴染みつつ、大人のこだわりや静かな個性を感じさせてくれます。そして社用車といえば、大切なブランドの表記です。これまでも社用車のロゴは、カッティングシートを発注して自分たちで貼ってきましたが、車の立体的な曲面に気泡が入らないようにきれいに貼るのはかなり難しい作業です。今回はロゴを大胆に入れることにしたため、貼る面積も広くなっており、納車されたばかりのカングーを前に、慎重にマークの位置決めをしながら作業を進めました。はじめは小さいモノから恐る恐る貼っていきますが、失敗は許されません。それでも作業に慣れてくると、スピードが増して手際も大胆になっていき、試行錯誤の末、思っていたよりもスピーディーに貼り付け作業が完了しました。ガンメタの引き締まったボディにブラックとホワイトのロゴが綺麗に映え、プロの道具としての機能美がより一層際立つ仕上がりになり、自分たちの手で丁寧に仕上げたからこそ、愛着も湧いてきました。 実際にハンドルを握ってみると、エンジンの滑らかさや安全装備の進化にしみじみと感動します。見えない部分のブラッシュアップを重ねながらも、道具としての使い勝手を決して妥協しない姿勢。それは私たちが日々向き合う家具づくりにも通じるもので、優れたデザインとは美しさと機能がしっかり融合していなければならないと、改めて背筋が伸びる思いがします。私たちはこれからも、この新しい相棒とともにフットワーク軽く全国へ赴き、私たちが大切にする価値をお届けしていきます。街で見かけた際は、ロゴマークとともに新しくなった私たちの相棒に、ぜひ注目してみてください。(開発部 奥友 勇輝)

2026.10.20|

SHOWROOM

張地で変わるインテリアの印象

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.525(大阪・心斎橋ショールーム) ソファやチェアを選ぶ際、デザインやサイズだけでなく、張地選びも大切なポイントのひとつです。同じデザインの家具でも、張地の色や素材、質感によって、空間に与える印象は大きく変わります。また、見た目の美しさだけでなく、お手入れのしやすさや機能性も、日々の暮らしを快適にするための大切な要素です。今回は、大阪ショールームに展示している家具とともに、おすすめのファブリック3種類をご紹介します。 NC-001MAチェアには、落ち着いた色合いが魅力のOB-2(オアシスベルベット)を使用しています。張地の色合いや風合いがチェアのデザインを引き立て、上品でやわらかな印象を演出します。イージークリーン機能を備え、汚れのお手入れがしやすいほか、引っかきにも配慮され、デザイン性と実用性を兼ね備えています。また、NC-009ソファには、機能性に優れたVM(ビロードミスト)を使用しています。VMは、止水・抗菌・防カビ・防臭・イージークリーンなどの機能を備え、日常のお手入れのしやすさも魅力です。大阪ショールームでは、ソファ本体とクッションにVM-1・VM-3・VM-4を組み合わせており、色の違いによって生まれるアクセントや、コーディネートの楽しさをご覧いただけます。さらに、MD-3211ソファには、EB(アースベルベット)のEB-2とEB-5を使用しています。起毛素材に織り目のプリントを施した独特の風合いが特徴で、ソファ本体を2色で張り分けることにより、単色とは異なる表情豊かな仕上がりとなっています。お客様からは「さらさらしていて触り心地が一番いい」など好評です。 このように、張地の色や素材を選ぶだけでなく、異なるカラーを組み合わせることでも、家具の印象を変えることができます。お部屋全体の雰囲気やライフスタイルに合わせて選ぶことで、より自分らしい空間づくりに仕上がります。大阪ショールームでは、実際の展示家具やさまざまな張地サンプルをご覧いただけます。写真だけでは伝わりにくい色合いや素材の質感など、ぜひ実際にお手に取ってお確かめください。ご来場をお待ちしております。 (ショールーム担当:天川 唯) ▷ご予約はこちらから

2026.09.30|

DESIGNER

地球に優しいものづくりは当たり前に

D CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.184 7月26日に発生したネパールの大規模土石流では多くの方が亡くなり、今でも捜索が続いています。ネットで流れるニュースは、最初はフェイクニュースかと思うほどの衝撃映像で、川を流れ下る土石流が人々を飲み込む映像に恐怖を覚えました。その映像を見ながら、2017年7月7日に九州北部を襲った豪雨を思い出しました。大分県と熊本県を襲った豪雨の当日、大分県の日田市にある工場へ出張する予定で向かいましたが、高速道路や一般道も通行止めでたどり着けず、翌日、回り道をしながら、やっとの思いで日田市内を訪れました。山から流れた樹木が橋や鉄橋を押し流し、被害の大きさと状況を目の当たりにして、その場に立ち尽くしたことを今でも鮮明に思い出します。災害を引き起こしているのは地球環境の変動ですが、直接的な要因は、森林の手入れが追いつかず、山が荒れていたことだと後で知りました。その時から、当社の環境問題への取り組みが本格的に始まりました。当社でも何かできないか、小さなことでも構わないから取り組んでいかなくてはたいへんなことになる。今からでも遅くないと……。 世の中ではSDGsのマークが見られるようになり、SDGsのマークを使うのは大企業がするべきことなのかなと思っていたのですが、大水害を目の当たりにし、地球環境に悪いと思われることはやめるという取り組みを、当社でも進めていこうと心に決めました。まず始めたのは梱包材の見直しで、石油由来の素材から地球環境に優しい素材へ変更することにしました。椅子やソファの養生材をビニール袋から不織布へ変更し、その不織布も自然由来で土に還る素材としました。テーブルなどの養生材は発泡スチロールから再生紙に変更し、養生用テープやエアパッキンなど、どうしても石油由来になる素材にはリサイクルされた素材を使用するなど、徹底した見直しを行いました。しかし、一番たいへんだったのは、協力していただいているすべての工場で取り扱いがなく入手が困難だったことや、素材のコストアップなど、さまざまな理由でなかなか進まなかったことです。当社ではコストアップしても構わないという強い意志を示し、進めることにしました。説得する際には、数年後には家具業界でもそれが当たり前になっているはずだと説明しました。あれから10年近くになりますが、家具業界ではなかなか進んでいないのが実情です。 その後、2020年からは二酸化炭素削減のために、家具本体の素材の見直しを行い、南洋材など海外からの輸入材の削減に取り組みました。ソファの骨格を作る材は、それまではラワン材と呼ばれる東南アジア産の木材(フタバガキ科などの広葉樹の総称)を合板にしたラワン合板を使用していました。その合板は、4000キロ以上離れた東南アジアで伐採された材を合板に加工し、船で運ばれ、日本の港に着いてから、地方にある家具工場まで数百キロ運ばれます。その合板を、大分県日田市にあるソファ工場の近くの合板工場で作られた針葉樹合板に切り替えることにしました。その合板工場では、半径100キロ以内で伐採された杉やヒノキ材だけを使用しています。主に使われるのは、建築材に不向きで、二酸化炭素を吸収できなくなった大径木で、これを合板に加工しています。12ミリ以上の主材に使用しているラワン合板を、すべてその工場で作られた針葉樹合板に切り替えることにしました。その時にもあったのが、材料が現在のルートでは入手困難であること、コストアップ、節の多さ、強度不足など、さまざまな理由から、工場が使いたがらないという問題です。強度がラワン合板より少し劣るのであれば、12ミリ合板を24ミリにすることで同等の強度を保てます。当然、コストアップしても構わないと、強行して仕様変更を行いました。 その時に同時に行ったのは、主材の見直しだけではありません。ソファの骨格を覆う薄板を、再生紙を使用した板材に変更したり、バネの上のクッション材にリサイクルされたリボンデッドフォームを80%以上使用したり、置きクッションの中身をポリ綿から、ウレタンフォームの製造時に出た端材に変更したりするなど、徹底したカーボンニュートラル化を実施しました。今では、当社で販売されるソファは、新たな石油由来素材の使用率を極限まで減らした製品になっています。二酸化炭素を吸収する森林の杉やヒノキなどの針葉樹を伐採してカーボンニュートラルになるのは不思議に思われるかもしれませんが、針葉樹は二酸化炭素をセルロースという物質に変えて体内に吸収します。しかし、杉などは40年以上経つと二酸化炭素を吸収しなくなります。そのため、計画的な森林管理が重要になります。また、その材を燃やすのではなく、住宅や家具として使用することによって、二酸化炭素を固定することになります。当社のソファは外国産の材を極力減らし、工場近くで育った針葉樹を使用することで、輸入時の二酸化炭素排出を抑えています。さらに、二酸化炭素を固定した材を使用することによって、カーボンニュートラルを実現しています。 当社では、1985年から不要な製品を作らない受注生産を行っており、廃棄製品のゼロ化を実現するとともに、製品を廃盤にせず、息の長いデザインと製品化を行ってきました。そして、中身や梱包材についても、環境に優しい製品化を行っています。最近のイラン情勢によるナフサ不足からビニール袋不足が生じましたが、当社では自然由来の不織布を使用していたため、まったく影響はありませんでした。当社の取り組みを続けていて良かったと思える時でした。関東では豪雨災害が続き、今も34日以上にわたって雨が続いています。ますます環境への配慮が求められる時代になると思います。この秋の新作では、新しい取り組みとしてクッションの素材を一新します。試作の最終段階に来ています。地球に優しいデザインと性能をお見せできると思います。お楽しみに!(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.09.30|

DESIGN

全社員で作り上げるセミナーの裏側

先日開催いたしました「2026 September アメリカ西海岸建築レポート VOL.30」では、2日間合わせて約1,000名の多くのお客様にご参加いただきました。皆様に御礼申し上げます。当社ではお客様にとっての新しい発見や、日々の仕事に活かしていただける情報をお届けするため、年に数回オンラインセミナーを開催しています。当社代表の瀬戸が毎回テーマを設定し、旬な情報や長年の家具づくりで蓄積した知識、さらにアメリカで撮り続けてきた住宅や建築の紹介などさまざまな内容をお届けしています。今回はそんなセミナーを皆様に少しでも快適にご覧いただくために、陰ながら支えている裏側をご紹介します。 セミナーでは瀬戸が作成したスライドや写真、資料などの映像素材をパソコンから出力しスイッチャーを介してZoomへ配信しています。スイッチャーには瀬戸のカメラをはじめ、営業・PR用や司会用のカメラなど複数のカメラが接続されており、進行に合わせてスタッフが映像を切り替えています。タイミングを間違えないよう慎重に、そしてできるだけスムーズにスイッチングします(配信には映りませんが、操作する側も毎回意外と緊張しています、、、)。もちろん映像だけを確認すれば終わりというわけではありません。日によって変わる日の光の入り方に合わせて照明を調整し、顔の明るさや色味を確認します。音声についても、マイクの音量や音質、映像との遅延などを事前にさまざまなデバイスでチェックします。テスト配信で問題が見つかった場合には、使用するケーブルを変更したり、配線経路を見直したりと、原因を探しながら一つひとつ対策を行います。使用する機材やケーブルの組み合わせによって映像や音声に違いが出ることもあり、毎回試行錯誤を繰り返しています。ネット環境も安定した配信には欠かせません。当社では配信時にWi-Fiを使用せず有線接続することで、できる限り通信を安定させています。カメラの電源が突然落ちたり、配信が止まったりしてしまえば、せっかく貴重なお時間を使って参加していただいた皆様にご迷惑をおかけしてしまいます。 近年では動画をセミナーに取り入れる機会も増え、これまではあまり意識していなかった動画の解像度やフレームレート(1秒間に何フレームを入れるのか、動画のカクツキに影響します)、配信に適した設定についても検証するようになりました。代表の瀬戸をはじめ、スタッフも経験を重ねる中で、少しずつこうした知識が増えています。同じセッティングで開催しているように見えても、毎回「ここをもう少し見やすくできないか」「前回はここが見づらかったから、今回は変えてみよう」と、開催中や終了後にさまざまな意見が出ます。その一つひとつを次回へ反映し、少しずつ配信をブラッシュアップしています。オンラインセミナーの大きな魅力は、遠方のお客様や、なかなか当社ショールームへ足を運ぶことが難しいお客様にもご参加いただけることです。リアルセミナーでは直接お顔を見ながら反応や声を伺える良さがありますが、オンラインではより多くのお客様に情報をお届けすることができます。家具づくりもセミナーも、見えないところまで準備することが大切です。代表の瀬戸を中心に、営業スタッフ、そして裏方を担当するスタッフまで、全社で一つのセミナーをつくり上げています。 これからも皆様にとって見やすく、分かりやすく、そして新しい発見のあるセミナーを目指して試行錯誤を重ねていきます。お客様目線を大切にした当社のオンラインセミナーに今後も是非ご参加ください。今年も新作家具の準備を着々と進めており、12月にはお客様へ発表できる予定です。セミナーと同じように準備を重ね、何度もブラッシュアップして製品化となります。発表会ではお客様を当社ショールームにお越しいただき、家具を実際にリアルにご覧いただきます。WEB上では感じることが難しい質感やディテールを余すところなくご覧いただけるよう、当社一丸となって準備を進めてまいります。(開発部 渡辺)

2026.09.29|

SHOWROOM

非日常の空間造り

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.523(名古屋・栄ショールーム) 日中の暑さも徐々に和らぎ、秋の訪れを感じられるようになりました。日が落ちる時間も早くなり、自宅でゆっくりと過ごす時間も長くなったように感じます。皆様それぞれくつろぎ時間の過ごし方は異なりますが、日常の喧騒を離れ別荘やセカンドハウスで過ごされる方もいらっしゃると思います。今回は非日常空間の家具選びや、おすすめ製品をご紹介したいと思います。 別荘やセカンドハウスの家具をご検討のお客様には、通常のお打ち合わせとは視点を変えてご要望をお伺いしています。どのように別荘をご使用になるのか、また、ご使用頻度やご利用者数、時にはご利用者の方のご年齢層など、詳細な情報を元に大まかな必要アイテムを想定しながらお打ち合わせを進めます。以前ご来場いただいたオーナー様はコンセプトがはっきりとされており、イメージも明瞭でしたので当初からプランを絞り込んでご提案をさせていただきました。週末にご友人と集まり、ゆっくりアフターゴルフを楽しまれるための空間造りのお手伝いでした。建物全体のイメージや、日中に過ごすより夕刻から過ごされる時間が長い事、お子様のご利用はない事を受けて、より生活感をおさえたプランをご提案しました。また、ご友人の皆様の生活スタイルやオーナー様のお好みを充分に考慮し、シンプルでクラス感のあるMASSAⅡをご提案させていただきました。張地も気をてらわず、クォリティ重視のベーシックなものをチョイスをされたことで、空間のイメージを損なわずより製品の良さが際立つソファセットとなり、オーナー様にも大変ご満足いただけました。MASSAⅡ(AD-229)はシンプルなデザインですが、パーツ毎のボリューム感が空間をラグジュアリーな印象に演出してくれます。背の高さも程よく、座面にボリュームがあることで今回のように大きなレイアウトでも目線が下がり、圧迫感も軽減されます。別荘やセカンドハウスだけに限らず、ホテルのような家具をお探しのお客様にも是非ご提案させていただきたい製品の一つです。 このように非日常的な空間でご使用になる家具も、お客様の用途やご希望に合わせて幅広くご提案させていただきます。日常とは異なるロケーション造りから、日常生活を快適にお過ごしいただける製品提案まで、4つのブランドからベストなプランをご提案させていただきます。まずはショールームで皆様のご要望をお聞かせください。そしてショールームでは、展示品を40〜80%offでご購入いただける展示品セールを10月に開催します。また、期間中ご来場いただいたお客様への特典として、新規オーダー品も30%offでご注文いただける企画もご用意しております。この機会に是非お気軽にショールームへご来場ください。事前のショールーム見学も大歓迎です!スタッフ一同、皆様のご来場をお待ちいたしております。 (ショールーム担当:水野 未佳子) ▷ご来場予約フォームはこちらから

2026.09.26|

SHOWROOM

年に1度のスペシャルセールを開催します

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.524(東京・六本木ショールーム) 今年の初秋は長雨でどんよりとした日も多いですが、朝晩の空気は秋を感じるようになり過ごしやすい季節になってまいりました。秋はインテリアやデザインイベントがたくさん行われる時期でもありますが、エーディコア・ディバイズ各ショールームでは2027モデルの新作発表会に向けて、恒例のショールーム展示現品のセールを開催します。10月24日(土)~10月31日(土)まで各ショールームとWEB STOREで販売いたします。今年はスペシャル企画としてセール期間中は新規オーダー品も30%OFFでご提供いたします。 各ショールームの展示品は、お客様からのお問合せが多い商品や人気の商品、昨年秋に発表した新商品を中心に展示しています。2026モデルの新製品や展示1年未満の商品がセール価格になり大変お買い得です。展示1年未満とあり、状態が良いものが多く魅力的です。セット商品はサイズ感が大きい物が中心となりますので、広いスペースでご検討ください。また、リビングセット、ダイニングセットでコーディネートしていますので、これからお引越のご予定のお客様やお急ぎで家具を必要とされているお客様にもご好評をいただいております。昨年に引き続き、人気のキドニーソファ075-MODELやゆったりとした奥行きとシンプルなデザインのシステムソファMASSAⅡセット、ホールド感が人気のチェアMD-901と楕円形状の脚部を持った柔らかなデザインのダイニングテーブルMD-905のダイニングセットなどお勧め商品をご案内しますので、お気軽にご相談ください。既に家具がお揃いの方でも、ラウンジチェアや単品チェア、照明、クッションなど、空間を彩るアイテムなども特別価格でご提供しています。中には、70%offや80%offのお買い得品もございますので、掘り出し物を見つけて下さい。また、遠方の方はWEB STOREよりご購入いただけますので、ぜひご覧ください。 毎年、心待ちにされているお客様も多く、事前に下見に来場されるお客様もいらっしゃいます。今年はセール開催期間が8日間と短いため、ご予約無しでもご覧いただけますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。また、セール開催期間中は混み合いますので、新規オーダーのご相談などは事前にお打ち合わせをお勧めしております。皆様のご来場を心よりお待ちしております。 (ショールーム担当:西條 恵理) ▷ご予約はこちらから ▷WEB STOREはこちら

2026.09.17|

SHOWROOM

秋を感じるインテリアディスプレイ

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.519(大阪・心斎橋ショールーム) 季節が少しずつ秋へと移り変わるこの頃。街中のショーウインドウも一気に秋の装いへと変わり、深みのある色や温かみのある素材が目に入るようになってきました。エーディコア・ディバイズ各ショールームでも、季節に合わせてディスプレイを秋色にチェンジし、皆様をお迎えしています。 街が秋へと変わっていくように、住まいの中にも季節の変化を取り入れることで、日々の暮らしの中でも秋の訪れを感じることができます。いつものインテリアに、秋らしい色や素材を取り入れてみませんか。秋のインテリアというと、ブラウンや深みのある赤、オリーブなど、落ち着いた色を思い浮かべる方も多いかもしれません。そんな中で、今年の大阪ショールームでは、イエローやオレンジをアクセントにしたディスプレイで、明るさと温かみのある秋の季節感を表現しています。色を取り入れるときは、すべてを秋色に変えるのではなく、いつものインテリアにアクセントとして少し取り入れるのもおすすめです。例えば、クッションやブランケットなどのファブリックを季節に合わせて変えたり、テーブルの上に花や器を飾ったりするだけでも、空間の印象は大きく変わります。家具を変えなくても、クッションや花、器など、身近なアイテムを少し変えるだけで、季節に合わせたインテリアを楽しむことができます。ディスプレイを変えながら、暮らしの表情を感じたり、その時々の季節や気分に合わせて色や素材を選ぶことも、インテリアを楽しむひとつの方法です。 この秋は、いつもの空間にお気に入りの色をひとつ加えて、楽しんでみてはいかがでしょうか。エーディコア・ディバイズのショールームでは、家具だけでなく、植物、小物などをコーディネートしながら、実際の暮らしをイメージしていただける空間をご用意しています。家具単体で見るのとはまた違い、「このソファにこの色のクッションを合わせると、こんな雰囲気になる」「このテーブルには、こんなディスプレイが似合う」など、実際の空間だからこそ感じていただけるデコレーションもあります。これから家具を選ばれる方はもちろん、今お使いの家具に合わせたインテリアのご相談や、季節のディスプレイの参考としても、ぜひお気軽にショールームへお立ち寄りください。 そして10月には、ショールームにて展示品を40〜80%OFFでご購入いただける展示品セールを開催いたします。さらに、期間中にご来場いただいたお客様への特典として、新規オーダー品も30%OFFでご注文いただける企画をご用意しております。事前のお問い合わせや、下見でのご来場も大歓迎です。気になる商品やサイズ、ご希望のコーディネートなどございましたら、スタッフまでお気軽にご相談ください。ご家族やご友人とご一緒に、この特別な機会にぜひご来場ください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。 (大阪・心斎橋ショールーム 天川 唯) ▷ご予約はこちらから

2026.08.31|

DESIGNER

デイヴィッド・ホックニーの「ペアブロッサム・ハイウェイ」

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.183 8月14日、草間彌生さんが亡くなりました。現代アートの巨匠としてもっとも活躍し、作品は高額取引されたアーティストの一人で、海外に行くとその作品の人気に驚きました。草間彌生さんの大きな作品を初めて見たのは20年以上前で、カタログ撮影でロサンゼルスを訪れるようになり、ビバリーヒルズの住宅街の入口にあるビバリーガーデンパークの中に置かれた巨大なアートでした。それまでは存在は知っていましたが、撮影でお世話になったプロデューサーのYASUKOさんが草間さんのアートが大好きで、勧めもありロサンゼルス現代美術館などで見るようになりました。その後、撮影や取材で訪問する住宅では現代アートがインテリアに使われ、家具同様デコレーションの大切な一部になっていることを知りました。さすがに草間さんのアートは見ませんでしたが、村上隆氏や奈良美智氏の作品は見ることが多くありました。 現代アートのもう一人の巨匠、デイヴィッド・ホックニー氏が今年の6月に88歳で亡くなりました。2018年11月にクリスティーズ・ニューヨークで行われたオークションで1972年の作品「芸術家の肖像画―プールと2人の人物」が9031万2500ドル(約144億円)で落札され、まだ破られていない存命時の作家による最高落札価格を記録しています。ホックニー氏は1937年イギリスのブラッドフォードに生まれ、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに学んでいます。その後、1963年にアメリカ合衆国ニューヨークを訪れ、アンディ・ウォーホルと出会い、1964年からカリフォルニア州に滞在し、長期間にわたりロサンゼルスで活動するようになりました。当時まだ比較的新しい画材であったアクリル素材でプールを描いた作品群を多く制作することになりました。その後もロサンゼルスを拠点に制作を続け、ロサンゼルスの風景画は、ホックニーの作品群の中で、もっとも知られている彼のアートイメージになりました。 ホックニー氏の代表作品の一つに「Pearblossom Hwy 11-18th April 1986,#」があります。1988年に制作された作品で、ピカソのキュビズムのアプローチを基にした、フォト・コラージュ作品です。キュビズムは、絵画表現を西洋絵画の一点透視法から解放し複数の時間・動き・視点を一つの画面上に表現することを試みた手法で、複数の視点からものを見ることは、ホックニーの作品の中で、大きなテーマとなっていました。その作品に日本人の女性が関わっていたことは知られていません。その女性とは当社のカタログ撮影でもプロデューサーとして関わっていたYASUKOさんです。YASUKOさんはイギリスで女優をされた後、ロサンゼルスでヨーロッパの有名フォトグラファーと仕事をしていました。その一人の女性フォトグラファーのアニー・リーボヴィッツで、彼女からホックニー氏のアートの題材になる砂漠の場所を相談され、YASUKOさん運転でアニー・リーボヴィッツとホックニーを連れ砂漠のロケハンをしたそうです。 アニー・リーボヴィッツは1973年にローリング・ストーン誌のチーフ・カメラマンとなり、1975年にザ・ローリング・ストーンズのツアー撮影を手がけ、一躍有名になりました。1980年にジョン・レノンと妻オノ・ヨーコの写真を撮影。この数時間後にジョンは暗殺され、写真はローリング・ストーン誌のジョン・レノン追悼号の表紙となりました。YASUKOさんはロンドン在住の女優をする前にジョン・レノンの家でベビーシッターもしていたということで近しい関係にもすぐなれたのではないでしょうか。そのアニーさんからホックニー氏の絵の題材になる砂漠のロケハンを依頼されたそうです。ホックニー氏のロサンゼルスの自宅もウエストハリウッドのYASUKO邸からすぐ近くということもあり、彼とも友人になったそうです。作品の名前にもなったペアブロッサム・ハイウェイはロサンゼルス北部にある実在する道で、砂漠の道路脇にジョシュア・ツリー(観葉植物のユッカの仲間)が生えている荒涼とした風景で、その風景がホックニー氏が一目で気に入り、その場で写真をいろいろな角度で撮り、数百枚の写真を撮影したそうです。 目の前でアート作業が始まり、YASUKOさんは驚いたそうですが、自ら案内した場所が世界的に有名な「ペアブロッサム・ハイウェイ」になったということは、プロデューサーの仕事をしていた中でも誇りに思える仕事だったと話されていました。本当に幅広い交友関係のYASUKOさんは驚きます。YASUKOさんの長い仕事の中で最後に当社のカタログ撮影をお願いできたことは奇跡のようですが、そのYASUKOさんから一番やりがいのある好きな仕事だったと言われたのは私自身も誇りに思います。そのYASUKOさんの友人関係で続けてこられた撮影や取材や建築ツアーは奇跡のようでした。9月2日のセミナーは今までのアーカイブからですが、その中でも最上位に入る住宅ですので、お楽しみください。(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.08.29|

DESIGN

20年前の製品をこれからもつくり続けるために

先日、これまで約20年間にわたり当社の金物製品を製造していただいていた工場から、製造機械の老朽化により今後の生産を継続することが難しいとの相談がありました。長年お願いしてきた工場での製造を終え、新たな金物工場で生産を引き継ぐことになりました。長い年月の中で製品そのものはもちろん、製造方法や設備も大きく変化しています。 今回改めて当時の図面と現物を確認してみると、20年前に描かれた詳細図は手書きで、実際の製品を測定してみると、図面上の寸法と現物には数ミリ単位の違いもありました。当時の開発が間違っていたということではありませんが、20年前は現在のように3D CADやCGを使って完成形状を画面上で簡単に確認できる環境ではありませんでした。当時は工場の職人さんが図面をもとに加工し、実際の現物を確認しながら当社の開発担当と打ち合わせや微調整を重ねて製品を完成させていました。いわゆる現物合わせの要素も多く、長年の経験や職人さんの技術によって成立していた部分も大きかったのだと思います。もちろん人の手による製造にも大きな強みがあります。細かな寸法変更や治具の調整、特注品への対応など、その場の状況に応じて柔軟に対応できることは、職人さんによる製造ならではの良さです。一方で、時代が変わるにつれて製造現場を取り巻く環境も大きく変化しています。 新しくお願いするの金物製造工場では、ロボットアームによる溶接やCADデータをもとに複雑な曲げ加工を自動で行うマルチベンダー機など、製造設備そのものが大きく進化しています。こうした設備を使うことで、加工精度を安定させ、同じ製品を高い再現性で生産することが可能になりました。ただし近年では、製造業全体で人材不足や設備の老朽化が課題となっています。古い機械を維持するための部品をつくっていたメーカー自体が廃業してしまい、修理したくても必要な部品が手に入らないというケースも増えています。長年続いてきた製品を、これまでとまったく同じ方法でつくり続けることが少しずつ難しくなっているのも現実です。以前は柔軟に対応できていたことが、設備や人材の問題によって難しくなってきています。今回の工場変更では、これまでの製品をそのまま新しい工場へ移すという考え方ではなく、新しい工場の設備や加工方法に合わせて構造そのものを一からすり合わせることにしました。新しい設備だからこそ可能になる加工や、品質をさらに向上させられるという点も多く、それぞれの特性を理解した上で製品に合った製造方法を選ぶことが重要です。 今回は20年前の図面をもとに、新しい工場で製造するためのCADデータを新しく作成しました。ところが、CAD上で正確に寸法を入力していくと、手書きの図面では気づかなかった寸法同士の辻褄が合わない部分も見つかります(CADは良くも悪くも、入力した寸法を正確に表現します、、、)。実際につくってみると、今度は加工上の公差や溶接によるわずかな歪みなど、図面だけでは分からない部分が出てきます。一度試作をつくって終わり、というわけにはいきません。従来品と並べて見比べ、寸法や形状、仕上がりを確認し、必要であればまた図面を修正して試作を行う。この繰り返しによって、従来の製品をできるだけ忠実に再現しながらさらに品質を高めていきます。20年前の製品を20年前とまったく同じ方法でつくり直すのではなく、製品の形状や品質を再確認し現在の設備と技術でもう一度製品をつくり直していきます。 今期で41年目の当社では、長くご愛用いただいている製品をできる限り廃盤にせず、これからもつくり続けていくことを大切にしています。何年も前に生まれた製品を現在も変わらずお客様に届ける、そのためには、昔の技術をそのまま残すだけではなく時代に合わせて製造方法や設備を更新して柔軟に対応していくことも必要です。長く使える家具をつくるためには、長くつくり続けられる仕組みも必要です。これからも長く製品をつくり続けていくために、従来品の良さをしっかりと引き継ぎながら製品開発や品質向上を進めていきたいと思います。(開発部 渡辺)