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2026.08.31|

DESIGNER

デイヴィッド・ホックニーの「ペアブロッサム・ハイウェイ」

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.183 8月14日、草間彌生さんが亡くなりました。現代アートの巨匠としてもっとも活躍し、作品は高額取引されたアーティストの一人で、海外に行くとその作品の人気に驚きました。草間彌生さんの大きな作品を初めて見たのは20年以上前で、カタログ撮影でロサンゼルスを訪れるようになり、ビバリーヒルズの住宅街の入口にあるビバリーガーデンパークの中に置かれた巨大なアートでした。それまでは存在は知っていましたが、撮影でお世話になったプロデューサーのYASUKOさんが草間さんのアートが大好きで、勧めもありロサンゼルス現代美術館などで見るようになりました。その後、撮影や取材で訪問する住宅では現代アートがインテリアに使われ、家具同様デコレーションの大切な一部になっていることを知りました。さすがに草間さんのアートは見ませんでしたが、村上隆氏や奈良美智氏の作品は見ることが多くありました。 現代アートのもう一人の巨匠、デイヴィッド・ホックニー氏が今年の6月に88歳で亡くなりました。2018年11月にクリスティーズ・ニューヨークで行われたオークションで1972年の作品「芸術家の肖像画―プールと2人の人物」が9031万2500ドル(約144億円)で落札され、まだ破られていない存命時の作家による最高落札価格を記録しています。ホックニー氏は1937年イギリスのブラッドフォードに生まれ、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに学んでいます。その後、1963年にアメリカ合衆国ニューヨークを訪れ、アンディ・ウォーホルと出会い、1964年からカリフォルニア州に滞在し、長期間にわたりロサンゼルスで活動するようになりました。当時まだ比較的新しい画材であったアクリル素材でプールを描いた作品群を多く制作することになりました。その後もロサンゼルスを拠点に制作を続け、ロサンゼルスの風景画は、ホックニーの作品群の中で、もっとも知られている彼のアートイメージになりました。 ホックニー氏の代表作品の一つに「Pearblossom Hwy 11-18th April 1986,#」があります。1988年に制作された作品で、ピカソのキュビズムのアプローチを基にした、フォト・コラージュ作品です。キュビズムは、絵画表現を西洋絵画の一点透視法から解放し複数の時間・動き・視点を一つの画面上に表現することを試みた手法で、複数の視点からものを見ることは、ホックニーの作品の中で、大きなテーマとなっていました。その作品に日本人の女性が関わっていたことは知られていません。その女性とは当社のカタログ撮影でもプロデューサーとして関わっていたYASUKOさんです。YASUKOさんはイギリスで女優をされた後、ロサンゼルスでヨーロッパの有名フォトグラファーと仕事をしていました。その一人の女性フォトグラファーのアニー・リーボヴィッツで、彼女からホックニー氏のアートの題材になる砂漠の場所を相談され、YASUKOさん運転でアニー・リーボヴィッツとホックニーを連れ砂漠のロケハンをしたそうです。 アニー・リーボヴィッツは1973年にローリング・ストーン誌のチーフ・カメラマンとなり、1975年にザ・ローリング・ストーンズのツアー撮影を手がけ、一躍有名になりました。1980年にジョン・レノンと妻オノ・ヨーコの写真を撮影。この数時間後にジョンは暗殺され、写真はローリング・ストーン誌のジョン・レノン追悼号の表紙となりました。YASUKOさんはロンドン在住の女優をする前にジョン・レノンの家でベビーシッターもしていたということで近しい関係にもすぐなれたのではないでしょうか。そのアニーさんからホックニー氏の絵の題材になる砂漠のロケハンを依頼されたそうです。ホックニー氏のロサンゼルスの自宅もウエストハリウッドのYASUKO邸からすぐ近くということもあり、彼とも友人になったそうです。作品の名前にもなったペアブロッサム・ハイウェイはロサンゼルス北部にある実在する道で、砂漠の道路脇にジョシュア・ツリー(観葉植物のユッカの仲間)が生えている荒涼とした風景で、その風景がホックニー氏が一目で気に入り、その場で写真をいろいろな角度で撮り、数百枚の写真を撮影したそうです。 目の前でアート作業が始まり、YASUKOさんは驚いたそうですが、自ら案内した場所が世界的に有名な「ペアブロッサム・ハイウェイ」になったということは、プロデューサーの仕事をしていた中でも誇りに思える仕事だったと話されていました。本当に幅広い交友関係のYASUKOさんは驚きます。YASUKOさんの長い仕事の中で最後に当社のカタログ撮影をお願いできたことは奇跡のようですが、そのYASUKOさんから一番やりがいのある好きな仕事だったと言われたのは私自身も誇りに思います。そのYASUKOさんの友人関係で続けてこられた撮影や取材や建築ツアーは奇跡のようでした。9月2日のセミナーは今までのアーカイブからですが、その中でも最上位に入る住宅ですので、お楽しみください。(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.08.29|

DESIGN

20年前の製品をこれからもつくり続けるために

先日、これまで約20年間にわたり当社の金物製品を製造していただいていた工場から、製造機械の老朽化により今後の生産を継続することが難しいとの相談がありました。長年お願いしてきた工場での製造を終え、新たな金物工場で生産を引き継ぐことになりました。長い年月の中で製品そのものはもちろん、製造方法や設備も大きく変化しています。 今回改めて当時の図面と現物を確認してみると、20年前に描かれた詳細図は手書きで、実際の製品を測定してみると、図面上の寸法と現物には数ミリ単位の違いもありました。当時の開発が間違っていたということではありませんが、20年前は現在のように3D CADやCGを使って完成形状を画面上で簡単に確認できる環境ではありませんでした。当時は工場の職人さんが図面をもとに加工し、実際の現物を確認しながら当社の開発担当と打ち合わせや微調整を重ねて製品を完成させていました。いわゆる現物合わせの要素も多く、長年の経験や職人さんの技術によって成立していた部分も大きかったのだと思います。もちろん人の手による製造にも大きな強みがあります。細かな寸法変更や治具の調整、特注品への対応など、その場の状況に応じて柔軟に対応できることは、職人さんによる製造ならではの良さです。一方で、時代が変わるにつれて製造現場を取り巻く環境も大きく変化しています。 新しくお願いするの金物製造工場では、ロボットアームによる溶接やCADデータをもとに複雑な曲げ加工を自動で行うマルチベンダー機など、製造設備そのものが大きく進化しています。こうした設備を使うことで、加工精度を安定させ、同じ製品を高い再現性で生産することが可能になりました。ただし近年では、製造業全体で人材不足や設備の老朽化が課題となっています。古い機械を維持するための部品をつくっていたメーカー自体が廃業してしまい、修理したくても必要な部品が手に入らないというケースも増えています。長年続いてきた製品を、これまでとまったく同じ方法でつくり続けることが少しずつ難しくなっているのも現実です。以前は柔軟に対応できていたことが、設備や人材の問題によって難しくなってきています。今回の工場変更では、これまでの製品をそのまま新しい工場へ移すという考え方ではなく、新しい工場の設備や加工方法に合わせて構造そのものを一からすり合わせることにしました。新しい設備だからこそ可能になる加工や、品質をさらに向上させられるという点も多く、それぞれの特性を理解した上で製品に合った製造方法を選ぶことが重要です。 今回は20年前の図面をもとに、新しい工場で製造するためのCADデータを新しく作成しました。ところが、CAD上で正確に寸法を入力していくと、手書きの図面では気づかなかった寸法同士の辻褄が合わない部分も見つかります(CADは良くも悪くも、入力した寸法を正確に表現します、、、)。実際につくってみると、今度は加工上の公差や溶接によるわずかな歪みなど、図面だけでは分からない部分が出てきます。一度試作をつくって終わり、というわけにはいきません。従来品と並べて見比べ、寸法や形状、仕上がりを確認し、必要であればまた図面を修正して試作を行う。この繰り返しによって、従来の製品をできるだけ忠実に再現しながらさらに品質を高めていきます。20年前の製品を20年前とまったく同じ方法でつくり直すのではなく、製品の形状や品質を再確認し現在の設備と技術でもう一度製品をつくり直していきます。 今期で41年目の当社では、長くご愛用いただいている製品をできる限り廃盤にせず、これからもつくり続けていくことを大切にしています。何年も前に生まれた製品を現在も変わらずお客様に届ける、そのためには、昔の技術をそのまま残すだけではなく時代に合わせて製造方法や設備を更新して柔軟に対応していくことも必要です。長く使える家具をつくるためには、長くつくり続けられる仕組みも必要です。これからも長く製品をつくり続けていくために、従来品の良さをしっかりと引き継ぎながら製品開発や品質向上を進めていきたいと思います。

2026.08.25|

SHOWROOM

オーク材がつくる、やさしい空間

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.521(東京・六本木ショールーム) 家具に使われる木材は多数あり、当社でも主なものでオーク・アッシュ・メープル・マホガニーなど様々な種類をご用意しております。その中でも人気のオーク材を取り入れたインテリアは、ナチュラルで温かみのある空間を演出し、心地よく過ごせる空間づくりに適しています。天然木ならではの木目や質感は飽きのこない魅力を持ち、幅広いインテリアスタイルに調和します。今回は、オーク材の特徴や空間づくりの魅力をご紹介いたします。 1.長く愛される理由。オーク材の魅力と特徴 オーク材は家具や床材として非常に人気の高い天然木です。ホワイトオークやレッドオークといった種類があり、それぞれ異なる色味や木目を楽しめます。オーク材は高い耐久性と美しい木目が特徴で、硬く傷がつきにくいため、ダイニングテーブルやチェアなど日常的に使う家具に最適です。直線的で落ち着いた木目がお部屋全体を穏やかな印象にします。また、使い込むほどに艶が増し、深い色味へと変化していくのも天然木ならではの魅力です。日々の暮らしとともに味わい深く育っていく経年変化が楽しめます。中には、「虎斑」と呼ばれる木材の表面に虎の毛並みのような縞模様が現れることがあります。光の当たり方でキラキラと輝くような表情を見せてくれる独特な個性は、天然木ならではの貴重な価値のひとつです。 2.イメージは自由自在。オーク材で作るコーディネート オーク材は北欧、ナチュラル、ミニマル、モダンまで、幅広いインテリアスタイルと相性が抜群です。色味やバランスを考慮して配置することで、LDKから寝室まで統一感のある空間が生まれます。装飾を抑えたミニマルな空間にもオーク材はよく馴染みます。ホワイトやグレーを基調としたお部屋に、オーク材のテーブルやチェアを足すことで、冷たくなりすぎず落ち着いた温かみが生まれます。また、スチールやガラスなどの異素材を組み合わせると、オークの温かみと工業的なシャープさが心地よく融合し、異素材がミックスした魅力的なモダン空間が出来上がります。当社では、オーク材の天板とスチール脚という異素材の組み合わせが特徴的なA-modeのMD-105Nテーブルが人気です。ミニマルな空間からシャビーなインテリアまで幅広くマッチし、素材の温かみを引き立てます。コロニアルスタイルのキャビネット048-MODELは、素材感あふれるホワイトオーク材にガラス扉を組み合わせ、素材の違いが美しく際立つ存在感のある一台です。 オーク材のインテリアは、ただナチュラルなだけでなく、暮らしの中にゆるやかな統一感と安心感をもたらしてくれます。使い込むほどに深まる色合いや風合いは、日々の時間を受け止めながら空間に奥行きを与え、住まいそのものを育てる楽しさを教えてくれます。時代や流行に左右されず、自分らしいスタイルを長く大切にしたい方にこそ選んでいただきたい素材です。暮らしに寄り添い続けてくれるオーク材の家具を取り入れ、自分らしい心地よい空間づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。 (東京・六本木ショールーム 西條 恵理) ▷ご予約はこちらから

2026.08.25|

SHOWROOM

時代にマッチしたMD-1201シリーズ

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.520(名古屋・栄ショールーム) 8月も後半に差し掛かりましたが年々夏の暑さは厳しさを増し、外出も億劫になるようなの猛暑が続いています。日中の疲れを癒すべく、くつろぎの時間に最適なラウンジチェアと、シリーズで展開をしているコンフォートチェアのMD-1201シリーズを今回はご紹介したいと思います。 ラウンジチェアMD-1201Lは、大変好評をいただいたコンフォートチェアMD-1201A/Cの進化版として発表しました。ゆったりと設計された座面とアームから伸びたボリューム感のある背が優しく身体を支えてくれるので、時間を忘れておくつろぎいただけます。インテリアを選ばないニュートラルなデザインなので、単体使いだけでなくお使いの家具と組み合わせていただいてもバランスよくご使用いただけます。また、アームから背にかけて丸みのあるフォルムが小柄なお子様から、体格のよい成人男性まで窮屈感なくお使いいただけます。立ち上がりし易いデザインは、ご年配の方にも心地良くご使用いただけます。お使いになるシーンやご使用になる方を選ばないMD-1201Lラウンジチェアは、ユニバーサルなラウンジチェアとしてもお薦めしたい一品です。そして、カンパニーポリシーの一つとして掲げている「自然環境に配慮したものづくり」の観点から、強度を保ちながら内部に使用している木材の使用量の軽減を図っていたり、国産材を用いることで運搬途中の二酸化炭素の排出を抑えたりと、環境への配慮にもとことんこだわったサステナブルなラウンジチェアです。 このラウンジチェアの先駆けとして発表されたコンフォートチェアMD-1201はダイニングチェアとして大変人気があります。クラフト感のあるデザインがお手持ちのテーブルにも合わせ易く、インテリアを問わず空間に馴染むシンプルなチェアです。ユニバーサルなサイズ感で、お食事のシーンだけでなく食後のくつろぎ時間や、在宅ワークでのワークチェアとしても幅広くご使用いただいています。コロナ禍で発表されたこともあり、手が触れるアーム部分を木仕上げにするなど衛生面にも配慮したメンテナンス性にも優れたチェアです。 MD-1201シリーズは同シリーズでコーディネートを楽しむだけでなく、お使いの家具と組み合わせ易いなど汎用性の高さも人気の秘訣です。まずは座り心地の快適さをショールームでお試しください。きっとお気に召していただけるはずです。東京・大阪・名古屋の各ショールームで皆様のご来場をお待ちいたしております。 (ショールーム担当:水野 未佳子) ▷MD-1201Lラウンジチェアはこちらから ▷MD-1201A/Cコンフォートチェアはこちらから ▷ご来場予約フォームはこちらから

2026.08.19|

SHOWROOM

ダイニングテーブルの選び方

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.519(大阪・心斎橋ショールーム) ダイニングテーブルを選ぶとき、何を基準に選びますか?「部屋に置けるサイズなら大丈夫」と思いがちですが、実際には使う人数や過ごし方、合わせるチェアによって選ぶテーブルは変わります。置いたときの美しさだけでなく、毎日使うことを想像しながら選んでみてはいかがでしょうか。今回は、ダイニングテーブルを選ぶ際に意識したいポイントをご紹介します。 ポイント1-まずは「どんなふうに使うか」を考える まず考えたいのは、何人で使うかだけではなく、テーブルを囲んでどんな時間を過ごすかです。家族で食事をするだけなのか、来客が多いのか、食事の後もゆっくり会話を楽しむのかなど、使い方によって適したな大きさが変わってきます。また、テーブルの大きさだけでなく、チェアを引いたときのスペースや人が通るための動線まで考えておくと実際に使い始めてからも快適です。エーディコア・ディバイズのダイニングテーブルはサイズ展開が豊富です。例えば、木目の美しさが魅力のMD-905ダイニングテーブルは、W1500・1800・2100のサイズから選ぶことができます。使う人数やお部屋の広さに合わせてサイズを選べるため、空間とのバランスを考えながら取り入れやすいテーブルです。 ポイント2-「形状」で空間の雰囲気を変える サイズが決まったら、次に考えたいのがテーブルの形状です。長方形のテーブルは、空間にすっきりと収まりやすく、レイアウトもしやすいのが魅力です。その一方では角のない楕円形は、空間にやわらかな印象を与えてくれます。MD-3212D楕円テーブルは、美しい曲線が印象的な一台です。角がないことで圧迫感を感じにくく、テーブルを囲む人同士の距離も自然と近く感じられます。ダイニングに柔らかな雰囲気を取り入れたい方にもおすすめです。同じダイニングテーブルでも、形状が変わるだけでお部屋の印象は大きく変わります。家具を置いたときの空間全体をイメージして選ぶことも、大切なポイントです。 ポイント3-チェアと合わせて考える テーブルだけを見て選ぶのではなく、合わせるチェアまでイメージしてみることもおすすめです。テーブルの高さとチェアの座面の高さが合っているか、チェアを引いたときに十分なスペースがあるか確認が必要です。実際に組み合わせてみることで、写真や図面だけでは分からない使いやすさを確認することができます。大阪ショールームでは、MD-905とMD-3212Dを実際に展示しております。テーブルそのもののサイズ感やフォルムだけでなく、チェアと組み合わせたときの印象もご覧いただけます。 ダイニングテーブルは、毎日の食事や会話の時間を過ごす家具だからこそ、「何人用」というだけではなく、どのように使いたいかを考えて選ぶことが大切です。実際にテーブルを囲み、座って、空間に置いたときのサイズ感を確かめてみることで、自分に合った一台が見つかります。大阪ショールームで、ぜひ実際のテーブルとチェアを組み合わせながら、お気に入りの一台を探してみてください。 (大阪・心斎橋ショールーム 天川 唯) ▷ご予約はこちらから

2026.07.31|

DESIGNER

ファッションとインテリアのヴィンテージ家具の効果

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.182 ミラノサローネなどの展示会へ行くと、スタイル展示が主流になっていて、作りこんだインテリアでの展示なのですがよそよそしく居心地が悪く感じることが多くあります。新製品をPRするための展示なのでしかたがありませんが、同じ製品で統一された展示では特に冷たく感じます。来場者がたくさんいる場合は空間の全容が見えないのであまり感じることはありませんでしたが、今回はサローネ時期が終わってから回ったショールームでは、展示製品はゆっくり見ることはできたのですが、整いすぎている空間は冷たく感じて居心地が少し悪く感じました。アメリカ西海岸での住宅で実際に使用されているインテリアとは違い、リアリティがないのは理解できるのですが、何かが足りないように感じました。 2026年3月に開催された2026-27年秋冬シーズンのパリ・ファッションウィークで話題になったのはクリスチャン・ディオールのジョナサン・アンダーソンが手掛けた2026年秋冬ウィメンズコレクションで招待客に送られたミニチュアの緑色のセナチェアです。セナチェアは1923年にパリの公共庭園のためにデザインされた椅子でパリのリュクサンブール公園に設置されました。その後、パリ中の公園や庭園に急速に広まりました。これらの椅子はパリの象徴的な存在ですが、オリジナルのデザイナーと製造者は不明だそうです。1990年椅子が老朽化し始めたため、フランス上院は入札を行い、リュクサンブール公園、チュイルリー庭園、パレ・ロワイヤル庭園向けに2,000脚の新しい緑色の椅子を製造する業者としてフェルモブ社を選定して製造されたそうです。そのヴィンテージ家具のミニチュアがコレクションの象徴として、ジョナサン・アンダーソンが使用したことで話題になりました。 クリスチャン・ディオールだけでなく、ルイ・ヴィトン メンズのクリエイティブディレクターであるファレル・ウィリアムスはショーでミッドセンチュリー風の家庭的なセット「Drophaus」を制作し、ラルフ・ローレンのコレクションでは、ランウェイにヴィンテージラグが使われ、椅子はアンティークやヴィンテージの椅子が並べられました。昨年12月には、ファッションデザイナーのマチュー・ブラジーが、マンハッタンのダウンタウンにある使われなくなった地下鉄駅に到着したヴィンテージ列車を背景にコレクションを発表しました。ヴィンテージデザインは職人技をイメージさせ、それがファッションの目指すものの象徴として多くのブランドで使用されたそうです。最初に話したクリスチャン・ディオールのジョナサン・アンダーソンもパリで最も有名な公園の1つのアイテムの椅子がレジャーを連想させる意味として招待客に送られたそうです。 今、インテリアの主流はエクレクティックスタイルでヴィンテージ、コンテンポラリー、個人的なアイテムを入れ、時間をかけて作り上げたような部屋が魅力的といわれます。新しく作られた空間に入る前に、長い歴史を刻んできたヴィンテージの品々には、本来的な豊かさが感じられ、それらを取り込むことによってインテリアに安定感を与え新しい家具とのコントラストを生み出し、洗練された印象を生み出し、それらに、個人的なアートや小物などのアイテムをデコレーションすることによって自然な印象を与える効果があるそうです。過度に均一で、流行に左右されたインテリアで、一つのトレンドに偏りすぎたり、あまりにもセットのような雰囲気の空間は、本物らしさを失ってしまう可能性があり、トレンドは出発点にはなりますが、適用しすぎると空間はすぐに時代遅れに感じられてしまいます。ミラノで感じた冷たさはこれだったのではないでしょうか。 それが実感できるようになったのは当社のショールームでのことでした。広尾ショールーム時代の展示は以前は当社製品だけで置かれ、当社オリジナルで統一されることが良いと思いこんでいました。六本木へ移転しショールーム作りをしたときに、アメリカ西海岸撮影でお世話になったプロデューサー靖子さんから譲り受けたヴィンテージの家具、照明、アートをショールームの中へ置き、デコレーションとして買い集めたヴィンテージ小物を置くと、固かった空間が柔らかく安定感を与えているように感じられたことです。当社も日本国内で職人が一つ一つ丁寧に作られた製品です。それを職人技を感じさせるヴィンテージ小物と合わせることによってイメージしていただけるのではないでしょうか。テーブルや飾り棚に置かれる品は明治から昭和の小物が多く使われています。家具や照明も1950年代のオリジナルものが置かれていますので、当社製品だけでなく小物もお楽しみください。 (クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.07.30|

DESIGN

家具製造の現場を知るということ

先日、九州や山形の当社の協力工場を訪問する機会がありました。それぞれ訪問の目的は異なりましたが、改めて感じたのは「メイドインジャパン」のものづくりを支える現場の力です。工場の皆様と直接顔を合わせ、意見を交わしながらコミュニケーションを図ることも、私たちにとって非常に重要な業務の一つです。九州では3社、当社の家具製造をお願いする工場へ研修でお伺いしました。家具を含むプロダクトを販売する会社では、新入社員研修の一環として工場見学を実施する企業は少なくありません。しかし、当社のように業務スタッフを含む全社員が毎年工場研修に参加する企業はそれほど多くないのではないでしょうか。営業部や業務部、経理など、普段は製造現場と直接関わる機会が少ない社員も参加し、自社の家具がどのような工程を経て完成するのかを実際に見学します。図面やカタログだけでは伝わらない加工工程や、職人の手仕事、一つの製品に込められた多くの工程を目の当たりにすることで、改めてものづくりへの理解を深める貴重な機会となっています。 ソファ工場では、当社の売れ筋であるNC-075ソファの製造工程を見学しました。内部フレームの組み立てから張り込み、仕上げに至るまで、一つひとつの工程を間近で見ることができました。NC-075では、環境に配慮した針葉樹合板を使用しており、見えない部分の構造にもこだわることで、美しい曲線を実現しています。特に背もたれと座面を組み上げる工程では、わずかな調整の違いが完成度を大きく左右するため、高い技術力と熟練した職人の経験が求められることを実感しました。細部まで丁寧に仕上げることで、製品の品質が支えられていることを学ぶことができました。 テーブル工場では、無垢材ならではの加工の難しさや、ものづくりへのこだわりについて学びました。木は自然素材であるため、一つひとつ表情が異なり、ある程度予測はできるものの、実際に削ってみるまで木目や色合いがどのように現れるか分かりません。そのため、素材の個性を見極めながら加工を進めることが重要であり、職人の経験と技術が品質を大きく左右することを教えていただきました。工業製品のように均一な仕上がりを目指すものとは異なり、無垢材の家具には一つとして同じものがありません。それぞれが世界に一つだけの木目や風合いを持ち、自然素材ならではの魅力を楽しめることを改めて実感した工場見学となりました。 今回は新製品の試作製作をする工場へもお伺いし、新製品の打ち合わせ、試作製作の立ち会いを行いました。図面では問題なく見えていた寸法や納まりも、実際に製品になると印象が変わることがあります。実際に座り、触れ、細部を確認しながら、工場の職人さんと意見を交わして改善を重ねていきます。設計と製造が一体となって作り上げていく、この積み重ねこそが当社の家具づくりの大切なプロセスです。当社の家具は、日本各地多くの協力工場の皆様の技術と想いによって支えられています。これからも現場との対話を大切にしながら、国内生産だからこそ実現できる品質を守り、お客様に安心して長くお使いいただける家具づくりを続けて行きます。 6月の梅雨入り前の九州日田市は30度前後と例年より少し過ごしやすい気候でしたが、先日のニュースでは九州での観測史上初の酷暑日(最高気温が40℃以上、、、工場内はさらに暑くなることも、、、)が報道され、その厳しい暑さに驚かされました。工場内は機械の熱も加わり、さらに過酷な環境となることもある中で、日々品質を守りながらものづくりに取り組まれている皆さんには、改めて尊敬するばかりです。普段は完成した製品を見る機会がほとんどですが、その裏側を知ることで、自社製品への理解と自信がより一層深まる貴重な研修となりました。今回学んだことを日々の業務にも生かし、製造現場と同じ目線でお客様へ当社製品の魅力を伝えていきたいと思います。(開発部 渡辺)

2026.07.29|

SHOWROOM

五感で涼む天然素材で作る、夏のインテリア

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.518(東京・六本木ショールーム) 連日厳しい暑さが続くこの季節、お部屋の中に一歩足を踏み入れた瞬間、ふっと気持ちが和らぐような清涼感のある空間をつくりませんか?冷房だけに頼るのではなく、肌に触れる素材や目に届く色に工夫を凝らすことで、五感から涼しさを感じることができます。今回は、天然素材のファブリックやレザーを取り入れながら、夏を快適に美しく過ごすインテリアのポイントをご紹介します。 夏のおうち時間を快適にするカギは、直接肌が触れる家具の「素材選び」にあります。リネンやコットンといった天然素材の生地を張ったチェアは、優れた吸湿性と通気性が魅力です。汗ばむ夏場でも肌にまとわりつかず、サラリとしたシャリ感のある肌触りが続きます。ダイニングチェアやパーソナルチェアに取り入れると、見た目にも軽やかで涼しげな印象を与えてくれます。また、レザー=冬というイメージを持たれがちですが、上質な本革はエアコンの効いた室内に入ると心地よいひんやり感を肌に届けてくれます。しっとりとなめらかな肌触りは、夏の火照った身体を優しく包み込んでくれます。 また、お気に入りの家具を傷めず、夏でもベタつかずに心地よく使い続けるためには、ちょっとしたお手入れの工夫が必要です。ファブリックチェアのお手入れは、日常的に掃除機で隙間のホコリを吸い取り、通気性を保ちましょう。カバーリングタイプであれば、夏前に一度ドライクリーニングや洗濯(洗濯可能生地の場合)をしておくと、コットンのふんわり感やリネンのハリ感が蘇ります。レザーソファーの皮脂や汗が気になる夏場は、専用のレザークリームで保湿・保護をしておくと汚れがつきにくくなります。日常のお手入れは、柔らかい乾いた布で優しく汗を拭き取るだけで十分です。 さらに快適に過ごすなら、薄手のリネンブランケットやスローを1枚ふわっと掛けておくのがおすすめです。汗を吸収してくれるうえ、見た目にも涼しげなアクセントになり、エアコンの冷気で革が冷えすぎるのも防いでくれます。 さらに、目から入る色づかいを整えることで、お部屋の体感温度はぐっと下がります。ベースとなるインテリアに、夏らしい差し色を組み合わせてみましょう。ソファやラグに清潔感を演出するホワイトを広く使うことで、光を反射し、お部屋全体を明るく開放的な印象に導きます。そこにクールダウンを促すブルー」をクッションカバーやアート、ガラスの花瓶などで取り入れます。深いネイビーなら洗練されたモダンな印象に、爽やかなシアンやペールブルーなら軽やかなリゾート感を演出できます。アクセントで癒やしをもたらすドウダンツツジなどの涼しげな枝ものや、大ぶりの観葉植物を飾ることで、自然の瑞々しさがプラスされ木陰にいるようなリラックス空間が完成します。 肌に触れる素材の心地よさと、目に入る色の清涼感の2つを整えるだけで、いつものリビングが涼やかで特別な空間へと生まれ変わります。ぜひショールームで、天然素材ならではのサラリとした肌触りや心地よさを実際に体感してみてください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。 (東京・六本木ショールーム 西條 恵理) ▷ご予約はこちらから

2026.07.24|

SHOWROOM

広がりのあるレイアウトを楽しむスラントソファ

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.517(名古屋・栄ショールーム) 梅雨も明け、あっという間に夏の到来です。近年は季節の中間期が短く、背後から次の季節にどんどん急かされているように感じるのは私だけでしょうか。 NewMODELを発表してから約半年が過ぎ、皆様にも新作を周知いただいています。ショールームへご来場いただくお客様からも「ホームページで拝見したソファを見に来ました」「新しい展開が増えたのでレイアウトを相談したい」など、嬉しいお言葉をいただいています。発表当初から大変好評いただいているキドニーソファNC-075は不動の人気ですが、最近はMASSAⅡのブラッシュアップアイテムとして追加発表された、斜めに広がるスラントソファに興味を示されるお客様が大変多くなりました。角度を持たせた斬新なレイアウトスタイルが実現出来るので、ソファセットのご提案の幅もぐんと広がりました。 MASSAⅡ(マッサ・ドゥエ)AD-229ソファは、以前より展開のあるMASSAから大幅にサイズ展開を増やし、進化版として発表されたシステムソファです。直線を活かしたシンプルなデザインですが、幅広の背やアーム、ボリュームのある座面に重厚感があり、ラグジュアリーなシーンにピッタリのソファセットです。ボリューム感がありながらも厚みのある座面の効果で視線が下がり、全体的にすっきりとした印象でご使用いただけます。そして、このMASSAⅡで追加発表されたのがスラントソファです。スラント(slant)とは、英語で「傾斜」「傾くこと」を意味しますが、その言葉の通り、突き合わせ面から角度を持たせて斜めに広がるレイアウトを楽しむことができます。スラントソファにはシェーズロング、コーナーソファ、オットマンの展開があります。一般的なI型、L型のレイアウトにスラントソファをプラスすると、今までのソファレイアウトにはない、空間をフル活用した新しい配置が叶います。また、角度が生まれることで同席している人との距離感がとれ、よりゆったりとくつろぐことができます。今までとは違った新しいレイアウトにトライしたい!といったお客様や、ソファで横になりたい。といったご要望のあるお客様にお薦めすると大変喜んでいただけます。 新しいスタイルのソファセットを配置するだけで、住み慣れた空間も一気にリフレッシュできます。斬新な配置を楽しめるMASSAⅡスラントソファをお近くの各ショールームで是非ご体感ください。座り心地にもきっとご満足いただけると思います。 (ショールーム担当:水野 未佳子) ▷AD-229ソファはこちらから ▷ご来場予約フォームはこちらから

2026.07.10|

SHOWROOM

暮らしに寄り添うチェア

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.516(大阪・心斎橋ショールーム) ダイニングチェアは、食事の時間だけでなく、家族との団らんや読書、仕事など、日々の暮らしのさまざまなシーンを支える家具です。毎日何気なく座るものだからこそ、デザインだけでなく、座り心地や使いやすさも考えて選ぶことが大切です。 チェア選びでまず意識したいのが、座面の高さです。ダイニングテーブルとのバランスはもちろん、足裏がしっかり床につく高さであることは、自然な姿勢を保ち、快適な座り心地につながります。身体に合ったサイズを選ぶことで、日々の食事や作業もより心地よい時間になります。次に、背もたれの形状も重要なポイントです。身体にやさしくフィットする背もたれは、長時間座っていても負担を感じにくく、食事だけでなく、会話やくつろぎの時間も快適に過ごすことができます。また、肘付き・肘なしの違いも、使い方に合わせて選びたいポイントです。肘付きはゆったりとくつろぎたい方におすすめで、立ち座りの際も身体を支えやすいという魅力があります。肘なしはテーブルへの出入りがしやすく、すっきりとした印象を与えます。 大阪ショールームでは、「実際に座り心地を確かめてから選びたい」とご来場されるお客様が多くいらっしゃいます。ショールームで実際にお掛けいただく中で、特にご好評いただいているのが、MD-1301です。身体包み込むような座り心地と、長時間座っても疲れにくい設計により、食事はもちろん、読書やくつろぎの時間まで快適にお過ごしいただけます。他にも、NC-020は、シンプルですっきりとしたフォルムが美しく、さまざまな空間に調和するチェアです。ゆったりとしたサイズ感でありながら、軽やかな印象を与えるデザインは、空間に圧迫感を感じさせません。立ち座りや出入りのしやすさも兼ね備え、快適な座り心地とデザイン性を両立した一脚です。それぞれ異なる魅力があり、実際に座り比べることで、ご自身の暮らしや過ごし方に合った一脚を見つけていただけます。 ライフスタイルや空間に合わせて選ぶことで、より快適な暮らしにつながります。チェアは、毎日の暮らしに寄り添い何気ない時間をより豊かにしてくれる存在です。ショールームでは実際に座り比べながら、それぞれの座り心地やデザインの違いをご体感いただけます。ぜひ、ご自身の暮らしに寄り添う一脚を見つけに、大阪ショールームへお越しください。 (大阪・心斎橋ショールーム 天川 唯) ▷ご予約はこちらから

2026.06.30|

DESIGNER

ミラノ空の庭園とサローネの植物

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.181 先日開催したミラノデザインウィークレポートは1500名をこえる方に視聴いただき、今までのWeb開催では最高の参加数でした。今回もZoomウェビナーでの開催でしたが、写真がきれいで分かりやすかったとアンケートに書いていただき励みになりました。一部の方から画像が荒かったとのご指摘がありましたが、Zoomソフト以外のブラウザを使用しての視聴環境の方がいらっしゃいましたので、次回はぜひ、Zoomソフトでお楽しみいただければと思います。今回のミラノレポートは30か所のイベントを500枚近い画像でお見せしましたが、すべて私自身が撮影した写真を画像修正した画像です。その画像を整理しながら、ミラノデザインウィーク中の取材写真と、終わってから普段の街を歩いたスナップを見比べると、終わってから歩いた写真にミラノ市内の集合住宅の上層階の緑の多さに気がつきました。今回のコラムではミラノイベント中展示の植物とその集合住宅の植物についてお話しします。 毎年歩いてきたミラノは、市内だけで650か所ある会場を地図(今はスマホのグーグルマッピング)を片手に歩く、フルマラソンのような限界ギリギリで歩いているので、上を見る余裕なんてありませんでした。今回はデザインウィークが終わって静かな街を歩いている時にふと、水滴が落ちる道の上を見上げると、集合住宅の上層階のベランダの植栽からでした。そうして上に気をつけて歩くようになると、公園以外の緑が少ないと思っていたミラノ中心街に植物が意外と多いことに気づかされました。それから見上げて街を歩くようになると、下から見ても素敵なベランダが多く、緑の多いペントハウスが多いことに気づかされました。ミラノといえば2014年に完成したステファノ・ボエリ設計のタワーマンション「垂直の森」が有名ですが、完成した時には管理の難しさとミラノの冬の環境で、植物の成長が可能か疑問に思われていましたが、この垂直の森は10年近く経て手入れが追いつかないくらい生い茂っていました。 4月のミラノは街路樹の「ピオッポ/セイヨウハコヤナギ」という、ポプラ科の木から綿毛のような花粉が飛んでいます。例年は4月初めのサローネなのであまり感じませんでしたが、4月末に近かったということで、この花粉が舞っているのが見えるくらいすごくて、花粉症の重症でない私もミラノでひどい花粉症になりました。ミラノデザインウィークが終わって、雨が少し降ったこともあり花粉が落ち着いたこともあり、よけいに建物を見る余裕もできて、建物の上層階を見られるようになりました。旧市街地に街路樹や道路に面した庭がないこともあり、植物を置いて癒しにしているのかもしれませんが、高級そうな集合住宅の、それもペントハウスや広いベランダに住めるだけの財力がある家だからできることなのかもと思いました。中心地の上層階に限られた富裕層の生活が自分の生活を楽しむために育てているのかもしれませんが、道路からだけでなく、家の前の建物の方には良い眺めになることは間違いありません。上の遠くなので何の植物かは分かりませんが、歴史ある暗い建物のある街を明るくしていました。 道路を歩きながら、今年のミラノサローネのフィエラ会場のブース内の植物や、市内ショールーム内の植物が寂しかったことを思い出していました。いつも置かれている植物もインテリアの重要なデコラポイントで、時代に合わせて変わってくるのですが、市内にできた有名家具ブランドのショールーム内には植物が置かれていませんでした。植物を置くと占有面積が取られてしまい狭くなるのもありますが、空間が無機質に感じられました。一方、フィエラ会場でも植物を感じることが少なくなっているように感じました。しかし、余裕のありそうな上位ブランドには植物が置かれ、インテリアの一部として使われていました。モンステラなど南洋植物の人気はまだ続いていて、シダ類やアレカヤシ科のように鉢からすぐ葉が出て場所が取られる植物も多く見られました。一方、ゴムの木やベンジャミンは1970年〜90年代のインテリアブームからでしょうか。 インテリアのトレンドはエクレクティックスタイルと言われる、ヴィンテージ、コンテンポラリー、そして個人的なアイテムが重ね合わせられたインテリアが主流になって、均一に流行でだけで集められたインテリアはあまり好まれなくなっています。観葉植物も同様なのでしょうか。均一な種類で集められた植物でなく、中心になる植物の周りに他の種を上手く集めたような置き方が、今の植物のトレンドのように感じました。適度にゆるいことがリラックスできる空間になっているのでしょうね。当社の六本木ショールームの植物も大きく育ってきました。広尾で事務所内に置いていたモンステラも大きく背丈を越えるように立派になり、今はショールーム内でピカピカな葉を見せています。フィカスも植え替えられ少し大きくなってきました。足元に置かれる胡蝶蘭もオープンのときにいただいた花が終わったものを植え替えて置いて花をつけはじめました。ぜひ、中庭の植物と合わせショールームでご覧ください。(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.06.26|

DESIGN

長く使うという価値

先日開催いたしました当社のオンラインセミナー「ミラノサローネレポート」には、2日間で1500名を超える多くのお客様にお申し込みいただきました。ご参加ありがとうございました。リアルタイムでご視聴いただき、この場を借りて御礼申し上げます。今回は私もミラノサローネを視察するためイタリア・ミラノを訪れました。最新の家具やインテリアデザインに触れることはもちろんですが、展示会場だけでなく、実際にミラノの街を歩くことで見えてくる発見も数多くありました。 ミラノの街を歩いていると、歴史ある建築物が数多く残され普段歩いている東京とは全く違う風景なことに気づきます。何百年も前に建てられたであろう建物が現代でも当たり前のように使われ、住宅はもちろんカフェやショップ、オフィスとして人々の暮らしに溶け込んでいます。その中に時折現れる新しい建築は、むしろ新鮮に見えるほどでした。ヨーロッパで古い建物が多く残る背景には、石やレンガ、コンクリートを用いた堅牢な建築であることや、日本ほど地震が多くないことが理由だそうです。歴史的建造物を保護する制度や法律も整っています。しかし、実際に現地を歩いて感じたのは、それだけでは説明できない文化的な価値観の存在です。特に印象的だったのが、市内を走るトラムでした。最新車両もありますしたが、長年使われてきた古い車両(サビだらけの外観で、いかにも長く使われている個体)も現役で活躍していました。大切に整備されながら街の風景の一部として受け入れられている姿を見ていると、法や制度での制約にとどまることのない「古いものを活かし続ける」という考え方が人々の暮らしに根付いているように感じました。 日本の街並みは少し異なります。木造建築を中心に発展してきた歴史や、地震・台風など自然災害への対応、戦後の急速な都市開発などを背景に、建て替えを前提としたスクラップ&ビルドの文化が形成されてきました。東京を歩けば、新しい高層ビルや再開発が次々と進み、常に街が更新されています。もちろん、どちらが優れているという話ではありません。近年の日本でもリノベーションや既存建築の活用が広がり、「ストック活用」という考え方は着実に浸透しています。一方で、ヨーロッパでは古いものに新たな価値を与えながら使い続ける文化が色濃く残っています。そうした人々の価値観そのものが、街並みや暮らし方の違いとして表れているように思いました。また、この考え方は環境負荷の低減という観点からも注目されています。建物の構造体を活かしながら改修を行うことは、新築に比べて資源やエネルギーの消費を抑えることにつながります。長く使うことそのものが価値になるという発想は、今後ますます重要になっていくのかもしれません。 私たちの家具づくりも、この考え方に通じる部分があります。当社では見た目のデザインだけでなく、長く使い続けていただける構造や内部仕様にもこだわっています。また、多くの製品でメンテナンスや張り替えに対応しており、長年ご愛用いただいているお客様から修理のご依頼をいただくことも数多くあります。先日も20年以上前に納品した製品のメンテナンス・リペアを行いました。時を経て再び活躍する姿を見ると、とても嬉しく感じます。流行を追うだけでなく、長く愛されること、使い続けることで価値が深まること、ミラノの街を歩きながら改めてその大切さを実感しました。これからも、お客様に安心して長く使っていただける家具づくりを続けていきます。(開発部 渡辺)