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2026.09.30|

DESIGNER

地球に優しいものづくりは当たり前に

D CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.184 7月26日に発生したネパールの大規模土石流では多くの方が亡くなり、今でも捜索が続いています。ネットで流れるニュースは、最初はフェイクニュースかと思うほどの衝撃映像で、川を流れ下る土石流が人々を飲み込む映像に恐怖を覚えました。その映像を見ながら、2017年7月7日に九州北部を襲った豪雨を思い出しました。大分県と熊本県を襲った豪雨の当日、大分県の日田市にある工場へ出張する予定で向かいましたが、高速道路や一般道も通行止めでたどり着けず、翌日、回り道をしながら、やっとの思いで日田市内を訪れました。山から流れた樹木が橋や鉄橋を押し流し、被害の大きさと状況を目の当たりにして、その場に立ち尽くしたことを今でも鮮明に思い出します。災害を引き起こしているのは地球環境の変動ですが、直接的な要因は、森林の手入れが追いつかず、山が荒れていたことだと後で知りました。その時から、当社の環境問題への取り組みが本格的に始まりました。当社でも何かできないか、小さなことでも構わないから取り組んでいかなくてはたいへんなことになる。今からでも遅くないと……。 世の中ではSDGsのマークが見られるようになり、SDGsのマークを使うのは大企業がするべきことなのかなと思っていたのですが、大水害を目の当たりにし、地球環境に悪いと思われることはやめるという取り組みを、当社でも進めていこうと心に決めました。まず始めたのは梱包材の見直しで、石油由来の素材から地球環境に優しい素材へ変更することにしました。椅子やソファの養生材をビニール袋から不織布へ変更し、その不織布も自然由来で土に還る素材としました。テーブルなどの養生材は発泡スチロールから再生紙に変更し、養生用テープやエアパッキンなど、どうしても石油由来になる素材にはリサイクルされた素材を使用するなど、徹底した見直しを行いました。しかし、一番たいへんだったのは、協力していただいているすべての工場で取り扱いがなく入手が困難だったことや、素材のコストアップなど、さまざまな理由でなかなか進まなかったことです。当社ではコストアップしても構わないという強い意志を示し、進めることにしました。説得する際には、数年後には家具業界でもそれが当たり前になっているはずだと説明しました。あれから10年近くになりますが、家具業界ではなかなか進んでいないのが実情です。 その後、2020年からは二酸化炭素削減のために、家具本体の素材の見直しを行い、南洋材など海外からの輸入材の削減に取り組みました。ソファの骨格を作る材は、それまではラワン材と呼ばれる東南アジア産の木材(フタバガキ科などの広葉樹の総称)を合板にしたラワン合板を使用していました。その合板は、4000キロ以上離れた東南アジアで伐採された材を合板に加工し、船で運ばれ、日本の港に着いてから、地方にある家具工場まで数百キロ運ばれます。その合板を、大分県日田市にあるソファ工場の近くの合板工場で作られた針葉樹合板に切り替えることにしました。その合板工場では、半径100キロ以内で伐採された杉やヒノキ材だけを使用しています。主に使われるのは、建築材に不向きで、二酸化炭素を吸収できなくなった大径木で、これを合板に加工しています。12ミリ以上の主材に使用しているラワン合板を、すべてその工場で作られた針葉樹合板に切り替えることにしました。その時にもあったのが、材料が現在のルートでは入手困難であること、コストアップ、節の多さ、強度不足など、さまざまな理由から、工場が使いたがらないという問題です。強度がラワン合板より少し劣るのであれば、12ミリ合板を24ミリにすることで同等の強度を保てます。当然、コストアップしても構わないと、強行して仕様変更を行いました。 その時に同時に行ったのは、主材の見直しだけではありません。ソファの骨格を覆う薄板を、再生紙を使用した板材に変更したり、バネの上のクッション材にリサイクルされたリボンデッドフォームを80%以上使用したり、置きクッションの中身をポリ綿から、ウレタンフォームの製造時に出た端材に変更したりするなど、徹底したカーボンニュートラル化を実施しました。今では、当社で販売されるソファは、新たな石油由来素材の使用率を極限まで減らした製品になっています。二酸化炭素を吸収する森林の杉やヒノキなどの針葉樹を伐採してカーボンニュートラルになるのは不思議に思われるかもしれませんが、針葉樹は二酸化炭素をセルロースという物質に変えて体内に吸収します。しかし、杉などは40年以上経つと二酸化炭素を吸収しなくなります。そのため、計画的な森林管理が重要になります。また、その材を燃やすのではなく、住宅や家具として使用することによって、二酸化炭素を固定することになります。当社のソファは外国産の材を極力減らし、工場近くで育った針葉樹を使用することで、輸入時の二酸化炭素排出を抑えています。さらに、二酸化炭素を固定した材を使用することによって、カーボンニュートラルを実現しています。 当社では、1985年から不要な製品を作らない受注生産を行っており、廃棄製品のゼロ化を実現するとともに、製品を廃盤にせず、息の長いデザインと製品化を行ってきました。そして、中身や梱包材についても、環境に優しい製品化を行っています。最近のイラン情勢によるナフサ不足からビニール袋不足が生じましたが、当社では自然由来の不織布を使用していたため、まったく影響はありませんでした。当社の取り組みを続けていて良かったと思える時でした。関東では豪雨災害が続き、今も34日以上にわたって雨が続いています。ますます環境への配慮が求められる時代になると思います。この秋の新作では、新しい取り組みとしてクッションの素材を一新します。試作の最終段階に来ています。地球に優しいデザインと性能をお見せできると思います。お楽しみに!(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.09.30|

DESIGN

全社員で作り上げるセミナーの裏側

先日開催いたしました「2026 September アメリカ西海岸建築レポート VOL.30」では、2日間合わせて約1,000名の多くのお客様にご参加いただきました。皆様に御礼申し上げます。当社ではお客様にとっての新しい発見や、日々の仕事に活かしていただける情報をお届けするため、年に数回オンラインセミナーを開催しています。当社代表の瀬戸が毎回テーマを設定し、旬な情報や長年の家具づくりで蓄積した知識、さらにアメリカで撮り続けてきた住宅や建築の紹介などさまざまな内容をお届けしています。今回はそんなセミナーを皆様に少しでも快適にご覧いただくために、陰ながら支えている裏側をご紹介します。 セミナーでは瀬戸が作成したスライドや写真、資料などの映像素材をパソコンから出力しスイッチャーを介してZoomへ配信しています。スイッチャーには瀬戸のカメラをはじめ、営業・PR用や司会用のカメラなど複数のカメラが接続されており、進行に合わせてスタッフが映像を切り替えています。タイミングを間違えないよう慎重に、そしてできるだけスムーズにスイッチングします(配信には映りませんが、操作する側も毎回意外と緊張しています、、、)。もちろん映像だけを確認すれば終わりというわけではありません。日によって変わる日の光の入り方に合わせて照明を調整し、顔の明るさや色味を確認します。音声についても、マイクの音量や音質、映像との遅延などを事前にさまざまなデバイスでチェックします。テスト配信で問題が見つかった場合には、使用するケーブルを変更したり、配線経路を見直したりと、原因を探しながら一つひとつ対策を行います。使用する機材やケーブルの組み合わせによって映像や音声に違いが出ることもあり、毎回試行錯誤を繰り返しています。ネット環境も安定した配信には欠かせません。当社では配信時にWi-Fiを使用せず有線接続することで、できる限り通信を安定させています。カメラの電源が突然落ちたり、配信が止まったりしてしまえば、せっかく貴重なお時間を使って参加していただいた皆様にご迷惑をおかけしてしまいます。 近年では動画をセミナーに取り入れる機会も増え、これまではあまり意識していなかった動画の解像度やフレームレート(1秒間に何フレームを入れるのか、動画のカクツキに影響します)、配信に適した設定についても検証するようになりました。代表の瀬戸をはじめ、スタッフも経験を重ねる中で、少しずつこうした知識が増えています。同じセッティングで開催しているように見えても、毎回「ここをもう少し見やすくできないか」「前回はここが見づらかったから、今回は変えてみよう」と、開催中や終了後にさまざまな意見が出ます。その一つひとつを次回へ反映し、少しずつ配信をブラッシュアップしています。オンラインセミナーの大きな魅力は、遠方のお客様や、なかなか当社ショールームへ足を運ぶことが難しいお客様にもご参加いただけることです。リアルセミナーでは直接お顔を見ながら反応や声を伺える良さがありますが、オンラインではより多くのお客様に情報をお届けすることができます。家具づくりもセミナーも、見えないところまで準備することが大切です。代表の瀬戸を中心に、営業スタッフ、そして裏方を担当するスタッフまで、全社で一つのセミナーをつくり上げています。 これからも皆様にとって見やすく、分かりやすく、そして新しい発見のあるセミナーを目指して試行錯誤を重ねていきます。お客様目線を大切にした当社のオンラインセミナーに今後も是非ご参加ください。今年も新作家具の準備を着々と進めており、12月にはお客様へ発表できる予定です。セミナーと同じように準備を重ね、何度もブラッシュアップして製品化となります。発表会ではお客様を当社ショールームにお越しいただき、家具を実際にリアルにご覧いただきます。WEB上では感じることが難しい質感やディテールを余すところなくご覧いただけるよう、当社一丸となって準備を進めてまいります。(開発部 渡辺)

2026.09.29|

SHOWROOM

非日常の空間造り

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.523(名古屋・栄ショールーム) 日中の暑さも徐々に和らぎ、秋の訪れを感じられるようになりました。日が落ちる時間も早くなり、自宅でゆっくりと過ごす時間も長くなったように感じます。皆様それぞれくつろぎ時間の過ごし方は異なりますが、日常の喧騒を離れ別荘やセカンドハウスで過ごされる方もいらっしゃると思います。今回は非日常空間の家具選びや、おすすめ製品をご紹介したいと思います。 別荘やセカンドハウスの家具をご検討のお客様には、通常のお打ち合わせとは視点を変えてご要望をお伺いしています。どのように別荘をご使用になるのか、また、ご使用頻度やご利用者数、時にはご利用者の方のご年齢層など、詳細な情報を元に大まかな必要アイテムを想定しながらお打ち合わせを進めます。以前ご来場いただいたオーナー様はコンセプトがはっきりとされており、イメージも明瞭でしたので当初からプランを絞り込んでご提案をさせていただきました。週末にご友人と集まり、ゆっくりアフターゴルフを楽しまれるための空間造りのお手伝いでした。建物全体のイメージや、日中に過ごすより夕刻から過ごされる時間が長い事、お子様のご利用はない事を受けて、より生活感をおさえたプランをご提案しました。また、ご友人の皆様の生活スタイルやオーナー様のお好みを充分に考慮し、シンプルでクラス感のあるMASSAⅡをご提案させていただきました。張地も気をてらわず、クォリティ重視のベーシックなものをチョイスをされたことで、空間のイメージを損なわずより製品の良さが際立つソファセットとなり、オーナー様にも大変ご満足いただけました。MASSAⅡ(AD-229)はシンプルなデザインですが、パーツ毎のボリューム感が空間をラグジュアリーな印象に演出してくれます。背の高さも程よく、座面にボリュームがあることで今回のように大きなレイアウトでも目線が下がり、圧迫感も軽減されます。別荘やセカンドハウスだけに限らず、ホテルのような家具をお探しのお客様にも是非ご提案させていただきたい製品の一つです。 このように非日常的な空間でご使用になる家具も、お客様の用途やご希望に合わせて幅広くご提案させていただきます。日常とは異なるロケーション造りから、日常生活を快適にお過ごしいただける製品提案まで、4つのブランドからベストなプランをご提案させていただきます。まずはショールームで皆様のご要望をお聞かせください。そしてショールームでは、展示品を40〜80%offでご購入いただける展示品セールを10月に開催します。また、期間中ご来場いただいたお客様への特典として、新規オーダー品も30%offでご注文いただける企画もご用意しております。この機会に是非お気軽にショールームへご来場ください。事前のショールーム見学も大歓迎です!スタッフ一同、皆様のご来場をお待ちいたしております。 (ショールーム担当:水野 未佳子) ▷ご来場予約フォームはこちらから

2026.09.26|

SHOWROOM

年に1度のスペシャルセールを開催します

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.524(東京・六本木ショールーム) 今年の初秋は長雨でどんよりとした日も多いですが、朝晩の空気は秋を感じるようになり過ごしやすい季節になってまいりました。秋はインテリアやデザインイベントがたくさん行われる時期でもありますが、エーディコア・ディバイズ各ショールームでは2027モデルの新作発表会に向けて、恒例のショールーム展示現品のセールを開催します。10月24日(土)~10月31日(土)まで各ショールームとWEB STOREで販売いたします。今年はスペシャル企画としてセール期間中は新規オーダー品も30%OFFでご提供いたします。 各ショールームの展示品は、お客様からのお問合せが多い商品や人気の商品、昨年秋に発表した新商品を中心に展示しています。2026モデルの新製品や展示1年未満の商品がセール価格になり大変お買い得です。展示1年未満とあり、状態が良いものが多く魅力的です。セット商品はサイズ感が大きい物が中心となりますので、広いスペースでご検討ください。また、リビングセット、ダイニングセットでコーディネートしていますので、これからお引越のご予定のお客様やお急ぎで家具を必要とされているお客様にもご好評をいただいております。昨年に引き続き、人気のキドニーソファ075-MODELやゆったりとした奥行きとシンプルなデザインのシステムソファMASSAⅡセット、ホールド感が人気のチェアMD-901と楕円形状の脚部を持った柔らかなデザインのダイニングテーブルMD-905のダイニングセットなどお勧め商品をご案内しますので、お気軽にご相談ください。既に家具がお揃いの方でも、ラウンジチェアや単品チェア、照明、クッションなど、空間を彩るアイテムなども特別価格でご提供しています。中には、70%offや80%offのお買い得品もございますので、掘り出し物を見つけて下さい。また、遠方の方はWEB STOREよりご購入いただけますので、ぜひご覧ください。 毎年、心待ちにされているお客様も多く、事前に下見に来場されるお客様もいらっしゃいます。今年はセール開催期間が8日間と短いため、ご予約無しでもご覧いただけますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。また、セール開催期間中は混み合いますので、新規オーダーのご相談などは事前にお打ち合わせをお勧めしております。皆様のご来場を心よりお待ちしております。 (ショールーム担当:西條 恵理) ▷ご予約はこちらから ▷WEB STOREはこちら

2026.09.17|

SHOWROOM

秋を感じるインテリアディスプレイ

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.519(大阪・心斎橋ショールーム) 季節が少しずつ秋へと移り変わるこの頃。街中のショーウインドウも一気に秋の装いへと変わり、深みのある色や温かみのある素材が目に入るようになってきました。エーディコア・ディバイズ各ショールームでも、季節に合わせてディスプレイを秋色にチェンジし、皆様をお迎えしています。 街が秋へと変わっていくように、住まいの中にも季節の変化を取り入れることで、日々の暮らしの中でも秋の訪れを感じることができます。いつものインテリアに、秋らしい色や素材を取り入れてみませんか。秋のインテリアというと、ブラウンや深みのある赤、オリーブなど、落ち着いた色を思い浮かべる方も多いかもしれません。そんな中で、今年の大阪ショールームでは、イエローやオレンジをアクセントにしたディスプレイで、明るさと温かみのある秋の季節感を表現しています。色を取り入れるときは、すべてを秋色に変えるのではなく、いつものインテリアにアクセントとして少し取り入れるのもおすすめです。例えば、クッションやブランケットなどのファブリックを季節に合わせて変えたり、テーブルの上に花や器を飾ったりするだけでも、空間の印象は大きく変わります。家具を変えなくても、クッションや花、器など、身近なアイテムを少し変えるだけで、季節に合わせたインテリアを楽しむことができます。ディスプレイを変えながら、暮らしの表情を感じたり、その時々の季節や気分に合わせて色や素材を選ぶことも、インテリアを楽しむひとつの方法です。 この秋は、いつもの空間にお気に入りの色をひとつ加えて、楽しんでみてはいかがでしょうか。エーディコア・ディバイズのショールームでは、家具だけでなく、植物、小物などをコーディネートしながら、実際の暮らしをイメージしていただける空間をご用意しています。家具単体で見るのとはまた違い、「このソファにこの色のクッションを合わせると、こんな雰囲気になる」「このテーブルには、こんなディスプレイが似合う」など、実際の空間だからこそ感じていただけるデコレーションもあります。これから家具を選ばれる方はもちろん、今お使いの家具に合わせたインテリアのご相談や、季節のディスプレイの参考としても、ぜひお気軽にショールームへお立ち寄りください。 そして10月には、ショールームにて展示品を40〜80%OFFでご購入いただける展示品セールを開催いたします。さらに、期間中にご来場いただいたお客様への特典として、新規オーダー品も30%OFFでご注文いただける企画をご用意しております。事前のお問い合わせや、下見でのご来場も大歓迎です。気になる商品やサイズ、ご希望のコーディネートなどございましたら、スタッフまでお気軽にご相談ください。ご家族やご友人とご一緒に、この特別な機会にぜひご来場ください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。 (大阪・心斎橋ショールーム 天川 唯) ▷ご予約はこちらから

2026.08.31|

DESIGNER

デイヴィッド・ホックニーの「ペアブロッサム・ハイウェイ」

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.183 8月14日、草間彌生さんが亡くなりました。現代アートの巨匠としてもっとも活躍し、作品は高額取引されたアーティストの一人で、海外に行くとその作品の人気に驚きました。草間彌生さんの大きな作品を初めて見たのは20年以上前で、カタログ撮影でロサンゼルスを訪れるようになり、ビバリーヒルズの住宅街の入口にあるビバリーガーデンパークの中に置かれた巨大なアートでした。それまでは存在は知っていましたが、撮影でお世話になったプロデューサーのYASUKOさんが草間さんのアートが大好きで、勧めもありロサンゼルス現代美術館などで見るようになりました。その後、撮影や取材で訪問する住宅では現代アートがインテリアに使われ、家具同様デコレーションの大切な一部になっていることを知りました。さすがに草間さんのアートは見ませんでしたが、村上隆氏や奈良美智氏の作品は見ることが多くありました。 現代アートのもう一人の巨匠、デイヴィッド・ホックニー氏が今年の6月に88歳で亡くなりました。2018年11月にクリスティーズ・ニューヨークで行われたオークションで1972年の作品「芸術家の肖像画―プールと2人の人物」が9031万2500ドル(約144億円)で落札され、まだ破られていない存命時の作家による最高落札価格を記録しています。ホックニー氏は1937年イギリスのブラッドフォードに生まれ、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに学んでいます。その後、1963年にアメリカ合衆国ニューヨークを訪れ、アンディ・ウォーホルと出会い、1964年からカリフォルニア州に滞在し、長期間にわたりロサンゼルスで活動するようになりました。当時まだ比較的新しい画材であったアクリル素材でプールを描いた作品群を多く制作することになりました。その後もロサンゼルスを拠点に制作を続け、ロサンゼルスの風景画は、ホックニーの作品群の中で、もっとも知られている彼のアートイメージになりました。 ホックニー氏の代表作品の一つに「Pearblossom Hwy 11-18th April 1986,#」があります。1988年に制作された作品で、ピカソのキュビズムのアプローチを基にした、フォト・コラージュ作品です。キュビズムは、絵画表現を西洋絵画の一点透視法から解放し複数の時間・動き・視点を一つの画面上に表現することを試みた手法で、複数の視点からものを見ることは、ホックニーの作品の中で、大きなテーマとなっていました。その作品に日本人の女性が関わっていたことは知られていません。その女性とは当社のカタログ撮影でもプロデューサーとして関わっていたYASUKOさんです。YASUKOさんはイギリスで女優をされた後、ロサンゼルスでヨーロッパの有名フォトグラファーと仕事をしていました。その一人の女性フォトグラファーのアニー・リーボヴィッツで、彼女からホックニー氏のアートの題材になる砂漠の場所を相談され、YASUKOさん運転でアニー・リーボヴィッツとホックニーを連れ砂漠のロケハンをしたそうです。 アニー・リーボヴィッツは1973年にローリング・ストーン誌のチーフ・カメラマンとなり、1975年にザ・ローリング・ストーンズのツアー撮影を手がけ、一躍有名になりました。1980年にジョン・レノンと妻オノ・ヨーコの写真を撮影。この数時間後にジョンは暗殺され、写真はローリング・ストーン誌のジョン・レノン追悼号の表紙となりました。YASUKOさんはロンドン在住の女優をする前にジョン・レノンの家でベビーシッターもしていたということで近しい関係にもすぐなれたのではないでしょうか。そのアニーさんからホックニー氏の絵の題材になる砂漠のロケハンを依頼されたそうです。ホックニー氏のロサンゼルスの自宅もウエストハリウッドのYASUKO邸からすぐ近くということもあり、彼とも友人になったそうです。作品の名前にもなったペアブロッサム・ハイウェイはロサンゼルス北部にある実在する道で、砂漠の道路脇にジョシュア・ツリー(観葉植物のユッカの仲間)が生えている荒涼とした風景で、その風景がホックニー氏が一目で気に入り、その場で写真をいろいろな角度で撮り、数百枚の写真を撮影したそうです。 目の前でアート作業が始まり、YASUKOさんは驚いたそうですが、自ら案内した場所が世界的に有名な「ペアブロッサム・ハイウェイ」になったということは、プロデューサーの仕事をしていた中でも誇りに思える仕事だったと話されていました。本当に幅広い交友関係のYASUKOさんは驚きます。YASUKOさんの長い仕事の中で最後に当社のカタログ撮影をお願いできたことは奇跡のようですが、そのYASUKOさんから一番やりがいのある好きな仕事だったと言われたのは私自身も誇りに思います。そのYASUKOさんの友人関係で続けてこられた撮影や取材や建築ツアーは奇跡のようでした。9月2日のセミナーは今までのアーカイブからですが、その中でも最上位に入る住宅ですので、お楽しみください。(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.08.29|

DESIGN

20年前の製品をこれからもつくり続けるために

先日、これまで約20年間にわたり当社の金物製品を製造していただいていた工場から、製造機械の老朽化により今後の生産を継続することが難しいとの相談がありました。長年お願いしてきた工場での製造を終え、新たな金物工場で生産を引き継ぐことになりました。長い年月の中で製品そのものはもちろん、製造方法や設備も大きく変化しています。 今回改めて当時の図面と現物を確認してみると、20年前に描かれた詳細図は手書きで、実際の製品を測定してみると、図面上の寸法と現物には数ミリ単位の違いもありました。当時の開発が間違っていたということではありませんが、20年前は現在のように3D CADやCGを使って完成形状を画面上で簡単に確認できる環境ではありませんでした。当時は工場の職人さんが図面をもとに加工し、実際の現物を確認しながら当社の開発担当と打ち合わせや微調整を重ねて製品を完成させていました。いわゆる現物合わせの要素も多く、長年の経験や職人さんの技術によって成立していた部分も大きかったのだと思います。もちろん人の手による製造にも大きな強みがあります。細かな寸法変更や治具の調整、特注品への対応など、その場の状況に応じて柔軟に対応できることは、職人さんによる製造ならではの良さです。一方で、時代が変わるにつれて製造現場を取り巻く環境も大きく変化しています。 新しくお願いするの金物製造工場では、ロボットアームによる溶接やCADデータをもとに複雑な曲げ加工を自動で行うマルチベンダー機など、製造設備そのものが大きく進化しています。こうした設備を使うことで、加工精度を安定させ、同じ製品を高い再現性で生産することが可能になりました。ただし近年では、製造業全体で人材不足や設備の老朽化が課題となっています。古い機械を維持するための部品をつくっていたメーカー自体が廃業してしまい、修理したくても必要な部品が手に入らないというケースも増えています。長年続いてきた製品を、これまでとまったく同じ方法でつくり続けることが少しずつ難しくなっているのも現実です。以前は柔軟に対応できていたことが、設備や人材の問題によって難しくなってきています。今回の工場変更では、これまでの製品をそのまま新しい工場へ移すという考え方ではなく、新しい工場の設備や加工方法に合わせて構造そのものを一からすり合わせることにしました。新しい設備だからこそ可能になる加工や、品質をさらに向上させられるという点も多く、それぞれの特性を理解した上で製品に合った製造方法を選ぶことが重要です。 今回は20年前の図面をもとに、新しい工場で製造するためのCADデータを新しく作成しました。ところが、CAD上で正確に寸法を入力していくと、手書きの図面では気づかなかった寸法同士の辻褄が合わない部分も見つかります(CADは良くも悪くも、入力した寸法を正確に表現します、、、)。実際につくってみると、今度は加工上の公差や溶接によるわずかな歪みなど、図面だけでは分からない部分が出てきます。一度試作をつくって終わり、というわけにはいきません。従来品と並べて見比べ、寸法や形状、仕上がりを確認し、必要であればまた図面を修正して試作を行う。この繰り返しによって、従来の製品をできるだけ忠実に再現しながらさらに品質を高めていきます。20年前の製品を20年前とまったく同じ方法でつくり直すのではなく、製品の形状や品質を再確認し現在の設備と技術でもう一度製品をつくり直していきます。 今期で41年目の当社では、長くご愛用いただいている製品をできる限り廃盤にせず、これからもつくり続けていくことを大切にしています。何年も前に生まれた製品を現在も変わらずお客様に届ける、そのためには、昔の技術をそのまま残すだけではなく時代に合わせて製造方法や設備を更新して柔軟に対応していくことも必要です。長く使える家具をつくるためには、長くつくり続けられる仕組みも必要です。これからも長く製品をつくり続けていくために、従来品の良さをしっかりと引き継ぎながら製品開発や品質向上を進めていきたいと思います。(開発部 渡辺)

2026.08.25|

SHOWROOM

オーク材がつくる、やさしい空間

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.521(東京・六本木ショールーム) 家具に使われる木材は多数あり、当社でも主なものでオーク・アッシュ・メープル・マホガニーなど様々な種類をご用意しております。その中でも人気のオーク材を取り入れたインテリアは、ナチュラルで温かみのある空間を演出し、心地よく過ごせる空間づくりに適しています。天然木ならではの木目や質感は飽きのこない魅力を持ち、幅広いインテリアスタイルに調和します。今回は、オーク材の特徴や空間づくりの魅力をご紹介いたします。 1.長く愛される理由。オーク材の魅力と特徴 オーク材は家具や床材として非常に人気の高い天然木です。ホワイトオークやレッドオークといった種類があり、それぞれ異なる色味や木目を楽しめます。オーク材は高い耐久性と美しい木目が特徴で、硬く傷がつきにくいため、ダイニングテーブルやチェアなど日常的に使う家具に最適です。直線的で落ち着いた木目がお部屋全体を穏やかな印象にします。また、使い込むほどに艶が増し、深い色味へと変化していくのも天然木ならではの魅力です。日々の暮らしとともに味わい深く育っていく経年変化が楽しめます。中には、「虎斑」と呼ばれる木材の表面に虎の毛並みのような縞模様が現れることがあります。光の当たり方でキラキラと輝くような表情を見せてくれる独特な個性は、天然木ならではの貴重な価値のひとつです。 2.イメージは自由自在。オーク材で作るコーディネート オーク材は北欧、ナチュラル、ミニマル、モダンまで、幅広いインテリアスタイルと相性が抜群です。色味やバランスを考慮して配置することで、LDKから寝室まで統一感のある空間が生まれます。装飾を抑えたミニマルな空間にもオーク材はよく馴染みます。ホワイトやグレーを基調としたお部屋に、オーク材のテーブルやチェアを足すことで、冷たくなりすぎず落ち着いた温かみが生まれます。また、スチールやガラスなどの異素材を組み合わせると、オークの温かみと工業的なシャープさが心地よく融合し、異素材がミックスした魅力的なモダン空間が出来上がります。当社では、オーク材の天板とスチール脚という異素材の組み合わせが特徴的なA-modeのMD-105Nテーブルが人気です。ミニマルな空間からシャビーなインテリアまで幅広くマッチし、素材の温かみを引き立てます。コロニアルスタイルのキャビネット048-MODELは、素材感あふれるホワイトオーク材にガラス扉を組み合わせ、素材の違いが美しく際立つ存在感のある一台です。 オーク材のインテリアは、ただナチュラルなだけでなく、暮らしの中にゆるやかな統一感と安心感をもたらしてくれます。使い込むほどに深まる色合いや風合いは、日々の時間を受け止めながら空間に奥行きを与え、住まいそのものを育てる楽しさを教えてくれます。時代や流行に左右されず、自分らしいスタイルを長く大切にしたい方にこそ選んでいただきたい素材です。暮らしに寄り添い続けてくれるオーク材の家具を取り入れ、自分らしい心地よい空間づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。 (東京・六本木ショールーム 西條 恵理) ▷ご予約はこちらから

2026.08.25|

SHOWROOM

時代にマッチしたMD-1201シリーズ

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.520(名古屋・栄ショールーム) 8月も後半に差し掛かりましたが年々夏の暑さは厳しさを増し、外出も億劫になるようなの猛暑が続いています。日中の疲れを癒すべく、くつろぎの時間に最適なラウンジチェアと、シリーズで展開をしているコンフォートチェアのMD-1201シリーズを今回はご紹介したいと思います。 ラウンジチェアMD-1201Lは、大変好評をいただいたコンフォートチェアMD-1201A/Cの進化版として発表しました。ゆったりと設計された座面とアームから伸びたボリューム感のある背が優しく身体を支えてくれるので、時間を忘れておくつろぎいただけます。インテリアを選ばないニュートラルなデザインなので、単体使いだけでなくお使いの家具と組み合わせていただいてもバランスよくご使用いただけます。また、アームから背にかけて丸みのあるフォルムが小柄なお子様から、体格のよい成人男性まで窮屈感なくお使いいただけます。立ち上がりし易いデザインは、ご年配の方にも心地良くご使用いただけます。お使いになるシーンやご使用になる方を選ばないMD-1201Lラウンジチェアは、ユニバーサルなラウンジチェアとしてもお薦めしたい一品です。そして、カンパニーポリシーの一つとして掲げている「自然環境に配慮したものづくり」の観点から、強度を保ちながら内部に使用している木材の使用量の軽減を図っていたり、国産材を用いることで運搬途中の二酸化炭素の排出を抑えたりと、環境への配慮にもとことんこだわったサステナブルなラウンジチェアです。 このラウンジチェアの先駆けとして発表されたコンフォートチェアMD-1201はダイニングチェアとして大変人気があります。クラフト感のあるデザインがお手持ちのテーブルにも合わせ易く、インテリアを問わず空間に馴染むシンプルなチェアです。ユニバーサルなサイズ感で、お食事のシーンだけでなく食後のくつろぎ時間や、在宅ワークでのワークチェアとしても幅広くご使用いただいています。コロナ禍で発表されたこともあり、手が触れるアーム部分を木仕上げにするなど衛生面にも配慮したメンテナンス性にも優れたチェアです。 MD-1201シリーズは同シリーズでコーディネートを楽しむだけでなく、お使いの家具と組み合わせ易いなど汎用性の高さも人気の秘訣です。まずは座り心地の快適さをショールームでお試しください。きっとお気に召していただけるはずです。東京・大阪・名古屋の各ショールームで皆様のご来場をお待ちいたしております。 (ショールーム担当:水野 未佳子) ▷MD-1201Lラウンジチェアはこちらから ▷MD-1201A/Cコンフォートチェアはこちらから ▷ご来場予約フォームはこちらから

2026.08.19|

SHOWROOM

ダイニングテーブルの選び方

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.519(大阪・心斎橋ショールーム) ダイニングテーブルを選ぶとき、何を基準に選びますか?「部屋に置けるサイズなら大丈夫」と思いがちですが、実際には使う人数や過ごし方、合わせるチェアによって選ぶテーブルは変わります。置いたときの美しさだけでなく、毎日使うことを想像しながら選んでみてはいかがでしょうか。今回は、ダイニングテーブルを選ぶ際に意識したいポイントをご紹介します。 ポイント1-まずは「どんなふうに使うか」を考える まず考えたいのは、何人で使うかだけではなく、テーブルを囲んでどんな時間を過ごすかです。家族で食事をするだけなのか、来客が多いのか、食事の後もゆっくり会話を楽しむのかなど、使い方によって適したな大きさが変わってきます。また、テーブルの大きさだけでなく、チェアを引いたときのスペースや人が通るための動線まで考えておくと実際に使い始めてからも快適です。エーディコア・ディバイズのダイニングテーブルはサイズ展開が豊富です。例えば、木目の美しさが魅力のMD-905ダイニングテーブルは、W1500・1800・2100のサイズから選ぶことができます。使う人数やお部屋の広さに合わせてサイズを選べるため、空間とのバランスを考えながら取り入れやすいテーブルです。 ポイント2-「形状」で空間の雰囲気を変える サイズが決まったら、次に考えたいのがテーブルの形状です。長方形のテーブルは、空間にすっきりと収まりやすく、レイアウトもしやすいのが魅力です。その一方では角のない楕円形は、空間にやわらかな印象を与えてくれます。MD-3212D楕円テーブルは、美しい曲線が印象的な一台です。角がないことで圧迫感を感じにくく、テーブルを囲む人同士の距離も自然と近く感じられます。ダイニングに柔らかな雰囲気を取り入れたい方にもおすすめです。同じダイニングテーブルでも、形状が変わるだけでお部屋の印象は大きく変わります。家具を置いたときの空間全体をイメージして選ぶことも、大切なポイントです。 ポイント3-チェアと合わせて考える テーブルだけを見て選ぶのではなく、合わせるチェアまでイメージしてみることもおすすめです。テーブルの高さとチェアの座面の高さが合っているか、チェアを引いたときに十分なスペースがあるか確認が必要です。実際に組み合わせてみることで、写真や図面だけでは分からない使いやすさを確認することができます。大阪ショールームでは、MD-905とMD-3212Dを実際に展示しております。テーブルそのもののサイズ感やフォルムだけでなく、チェアと組み合わせたときの印象もご覧いただけます。 ダイニングテーブルは、毎日の食事や会話の時間を過ごす家具だからこそ、「何人用」というだけではなく、どのように使いたいかを考えて選ぶことが大切です。実際にテーブルを囲み、座って、空間に置いたときのサイズ感を確かめてみることで、自分に合った一台が見つかります。大阪ショールームで、ぜひ実際のテーブルとチェアを組み合わせながら、お気に入りの一台を探してみてください。 (大阪・心斎橋ショールーム 天川 唯) ▷ご予約はこちらから

2026.07.31|

DESIGNER

ファッションとインテリアのヴィンテージ家具の効果

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.182 ミラノサローネなどの展示会へ行くと、スタイル展示が主流になっていて、作りこんだインテリアでの展示なのですがよそよそしく居心地が悪く感じることが多くあります。新製品をPRするための展示なのでしかたがありませんが、同じ製品で統一された展示では特に冷たく感じます。来場者がたくさんいる場合は空間の全容が見えないのであまり感じることはありませんでしたが、今回はサローネ時期が終わってから回ったショールームでは、展示製品はゆっくり見ることはできたのですが、整いすぎている空間は冷たく感じて居心地が少し悪く感じました。アメリカ西海岸での住宅で実際に使用されているインテリアとは違い、リアリティがないのは理解できるのですが、何かが足りないように感じました。 2026年3月に開催された2026-27年秋冬シーズンのパリ・ファッションウィークで話題になったのはクリスチャン・ディオールのジョナサン・アンダーソンが手掛けた2026年秋冬ウィメンズコレクションで招待客に送られたミニチュアの緑色のセナチェアです。セナチェアは1923年にパリの公共庭園のためにデザインされた椅子でパリのリュクサンブール公園に設置されました。その後、パリ中の公園や庭園に急速に広まりました。これらの椅子はパリの象徴的な存在ですが、オリジナルのデザイナーと製造者は不明だそうです。1990年椅子が老朽化し始めたため、フランス上院は入札を行い、リュクサンブール公園、チュイルリー庭園、パレ・ロワイヤル庭園向けに2,000脚の新しい緑色の椅子を製造する業者としてフェルモブ社を選定して製造されたそうです。そのヴィンテージ家具のミニチュアがコレクションの象徴として、ジョナサン・アンダーソンが使用したことで話題になりました。 クリスチャン・ディオールだけでなく、ルイ・ヴィトン メンズのクリエイティブディレクターであるファレル・ウィリアムスはショーでミッドセンチュリー風の家庭的なセット「Drophaus」を制作し、ラルフ・ローレンのコレクションでは、ランウェイにヴィンテージラグが使われ、椅子はアンティークやヴィンテージの椅子が並べられました。昨年12月には、ファッションデザイナーのマチュー・ブラジーが、マンハッタンのダウンタウンにある使われなくなった地下鉄駅に到着したヴィンテージ列車を背景にコレクションを発表しました。ヴィンテージデザインは職人技をイメージさせ、それがファッションの目指すものの象徴として多くのブランドで使用されたそうです。最初に話したクリスチャン・ディオールのジョナサン・アンダーソンもパリで最も有名な公園の1つのアイテムの椅子がレジャーを連想させる意味として招待客に送られたそうです。 今、インテリアの主流はエクレクティックスタイルでヴィンテージ、コンテンポラリー、個人的なアイテムを入れ、時間をかけて作り上げたような部屋が魅力的といわれます。新しく作られた空間に入る前に、長い歴史を刻んできたヴィンテージの品々には、本来的な豊かさが感じられ、それらを取り込むことによってインテリアに安定感を与え新しい家具とのコントラストを生み出し、洗練された印象を生み出し、それらに、個人的なアートや小物などのアイテムをデコレーションすることによって自然な印象を与える効果があるそうです。過度に均一で、流行に左右されたインテリアで、一つのトレンドに偏りすぎたり、あまりにもセットのような雰囲気の空間は、本物らしさを失ってしまう可能性があり、トレンドは出発点にはなりますが、適用しすぎると空間はすぐに時代遅れに感じられてしまいます。ミラノで感じた冷たさはこれだったのではないでしょうか。 それが実感できるようになったのは当社のショールームでのことでした。広尾ショールーム時代の展示は以前は当社製品だけで置かれ、当社オリジナルで統一されることが良いと思いこんでいました。六本木へ移転しショールーム作りをしたときに、アメリカ西海岸撮影でお世話になったプロデューサー靖子さんから譲り受けたヴィンテージの家具、照明、アートをショールームの中へ置き、デコレーションとして買い集めたヴィンテージ小物を置くと、固かった空間が柔らかく安定感を与えているように感じられたことです。当社も日本国内で職人が一つ一つ丁寧に作られた製品です。それを職人技を感じさせるヴィンテージ小物と合わせることによってイメージしていただけるのではないでしょうか。テーブルや飾り棚に置かれる品は明治から昭和の小物が多く使われています。家具や照明も1950年代のオリジナルものが置かれていますので、当社製品だけでなく小物もお楽しみください。 (クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)

2026.07.30|

DESIGN

家具製造の現場を知るということ

先日、九州や山形の当社の協力工場を訪問する機会がありました。それぞれ訪問の目的は異なりましたが、改めて感じたのは「メイドインジャパン」のものづくりを支える現場の力です。工場の皆様と直接顔を合わせ、意見を交わしながらコミュニケーションを図ることも、私たちにとって非常に重要な業務の一つです。九州では3社、当社の家具製造をお願いする工場へ研修でお伺いしました。家具を含むプロダクトを販売する会社では、新入社員研修の一環として工場見学を実施する企業は少なくありません。しかし、当社のように業務スタッフを含む全社員が毎年工場研修に参加する企業はそれほど多くないのではないでしょうか。営業部や業務部、経理など、普段は製造現場と直接関わる機会が少ない社員も参加し、自社の家具がどのような工程を経て完成するのかを実際に見学します。図面やカタログだけでは伝わらない加工工程や、職人の手仕事、一つの製品に込められた多くの工程を目の当たりにすることで、改めてものづくりへの理解を深める貴重な機会となっています。 ソファ工場では、当社の売れ筋であるNC-075ソファの製造工程を見学しました。内部フレームの組み立てから張り込み、仕上げに至るまで、一つひとつの工程を間近で見ることができました。NC-075では、環境に配慮した針葉樹合板を使用しており、見えない部分の構造にもこだわることで、美しい曲線を実現しています。特に背もたれと座面を組み上げる工程では、わずかな調整の違いが完成度を大きく左右するため、高い技術力と熟練した職人の経験が求められることを実感しました。細部まで丁寧に仕上げることで、製品の品質が支えられていることを学ぶことができました。 テーブル工場では、無垢材ならではの加工の難しさや、ものづくりへのこだわりについて学びました。木は自然素材であるため、一つひとつ表情が異なり、ある程度予測はできるものの、実際に削ってみるまで木目や色合いがどのように現れるか分かりません。そのため、素材の個性を見極めながら加工を進めることが重要であり、職人の経験と技術が品質を大きく左右することを教えていただきました。工業製品のように均一な仕上がりを目指すものとは異なり、無垢材の家具には一つとして同じものがありません。それぞれが世界に一つだけの木目や風合いを持ち、自然素材ならではの魅力を楽しめることを改めて実感した工場見学となりました。 今回は新製品の試作製作をする工場へもお伺いし、新製品の打ち合わせ、試作製作の立ち会いを行いました。図面では問題なく見えていた寸法や納まりも、実際に製品になると印象が変わることがあります。実際に座り、触れ、細部を確認しながら、工場の職人さんと意見を交わして改善を重ねていきます。設計と製造が一体となって作り上げていく、この積み重ねこそが当社の家具づくりの大切なプロセスです。当社の家具は、日本各地多くの協力工場の皆様の技術と想いによって支えられています。これからも現場との対話を大切にしながら、国内生産だからこそ実現できる品質を守り、お客様に安心して長くお使いいただける家具づくりを続けて行きます。 6月の梅雨入り前の九州日田市は30度前後と例年より少し過ごしやすい気候でしたが、先日のニュースでは九州での観測史上初の酷暑日(最高気温が40℃以上、、、工場内はさらに暑くなることも、、、)が報道され、その厳しい暑さに驚かされました。工場内は機械の熱も加わり、さらに過酷な環境となることもある中で、日々品質を守りながらものづくりに取り組まれている皆さんには、改めて尊敬するばかりです。普段は完成した製品を見る機会がほとんどですが、その裏側を知ることで、自社製品への理解と自信がより一層深まる貴重な研修となりました。今回学んだことを日々の業務にも生かし、製造現場と同じ目線でお客様へ当社製品の魅力を伝えていきたいと思います。(開発部 渡辺)