COLUMN

2024.7.1 DESIGNER

ミラノサローネの変化

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.157
ミラノデザインウィークレポートを先日開催しましたが、Webセミナーでの参加者の記録を更新して1500名以上のお客様に参加いただき、終了後に電話や途中退席で見れなかったのでアーカイブはありませんか?再公演はないの?のお問い合わせを多くいただき、再開催をする事になりました。その再開催も600名を越えるお客様に申し込みをいただき、反響の大きさに驚いています。他社など多くの会社がレポートを始めたのでミラノレポートを引退し、当社でないとできないレポートをしていたのですが、今年の参加者の多さを見ると、個人的には複雑な気持ちになります。当社は輸入メーカーでもミラノサローネでの出展も無くPRにはならないのにと、、。

何人かミラノレポートへ参加したお客様にお聞きすると、輸入メーカーは自社PRがメインで、素材メーカーは表面的な印象の話しなので理由が分からない事と、何よりクライアントからミラノデザインウィークの事を聞かれる事が多く、情報を獲る事は必須になってきているので、瀬戸さんの話は聞きたいのではないでしょうか。また、雑誌で紹介されていないブランドも多く紹介されるので、分かりやすいのです。と聞きました。私自身、プレスとして25年以上前から取材を行い、雑誌に紹介されていない主要ブランドを紹介してきました。ミラノ特集する雑誌では日本で販売され広告を取れるブランドしか紹介していませんでした。しかし、実際にミラノへ行くと知らない上位ブランドが多く存在し、そのブランドが注目を集めている事も知りました。

取材を進めるとデザイナーが勝手にコンセプトやデザインを出す事は無く、各社の経営者やクリエイティブディレクターがその年のテーマを決めてデザイナーに発注するのですが、そのテーマは売り先が必ずあり、その販売国の好みやターゲット層によって変化している事が分かってきました。中東、ロシアや新興国、中国や東南アジアなど販売が好調な売り先によってデザインや色、ファブリックなどが使い分けられます。商売人のイタリア人らしいターゲットをはっきりさせた製品作りです。ファッションのスーパーブランドでも同様で、販売が好調な国へのデザインをする事が売上を持続させ伸ばす事にもつながります。

残念ながら、日本はそのターゲットからは外れている事も知り、有名ベッドブランドでは日本の家具会社に出していたけど、真似され終わってしまうからあまり販売したくないとの事も聞きました。その事を知り、ミラノでは各ブランドの営業責任者やディレクターからそのターゲットを聞くようになりました。毎年定点観測として同じ上位ブランドを回り、その際に昨年は〇〇への販売が好調と聞いたけど、その後はどうなんですか?と聞くと、分かってる人だと思われ、本当の話を聞く事ができるようになりました。そうやってレポートを続け最大で全国30箇所へPCとプロジェクターを持参してレポート周りをしていました。それが、再評価されたようで、少し嬉しく思っています。

ミラノサローネ(見本市会場での展示会)を40年近く見ていて感じた変化は、この20年で変わったのは製品の見せ方で、単品で製品だけを見せる展示から、インテリアをスタイルとして見せる方法です。単品で見せる方法はシンプルな空間に作品的に置かれデザイナー色を強めた見せ方でしたが、スタイルとして見せる方法はインテリアを作り上げた空間で単品ではなく、空間バランスを重要視した見せ方です。インテリアに使われる製品は単品の物だけの使い方ではありません。上位のブランドは私達は製品を販売しているのではなく、スタイルを売っているのです。というブランドが増えていきました。ブランドの売上が伸びてきた事もあり、今のミラノサローネ見本市会場での展示はインテリアのしつらえをしたスタイル展示がメインになり、多くの集客しているブースはスタイル展示でになって、旧来の製品だけを見せているブースは閑散としていました。

私自身デザイナーとして仕事をしてきましたが、いつの頃からか肩書きがクリエィティブディレクターになりました。家具はデザインしていますが、単品としての物でなく、インテリア空間に調和するスタイルを大切にしています。アメリカでの建築巡りをしていると家具はプロダクトとして存在しているのではなく、空間の中に存在していることを認識されられ、市場に出て初めてトレンドになる事を再認識させられます。再開催のミラノレポートは本編に当社のPRは全くありません。最後の営業PRを最後までお聞き下さいませ。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2005年のミラノサローネ会場の写真。この頃から少しずつインテリアスタイルの見せ方が増えてきて、それをしていた会社は今も売上を伸ばしています。左上:Morteni&Cの展示は部屋のインテリアを少し作っていました。右上:Minottiブース。まだまだシンプルな展示のMinottiで、デコレーションもあまりされていません。左下:Poliformブース。ガラスで仕切りシンプルな展示。右下:LEMAブース。今のようなデコレーションはまだまだされていません。これらのブランドがインテリアシーン展示として見せるようになっていましたが、まだ製品中心の展示です。
2024年のミラノサローネ会場の写真。どのブランドもインテリアシーンを作り込み、デコレーションにも力が入っています。製品を見せるというより、トータルシーンでの展示です。左上:Morteni&Cブース。右上:Minottiブース。左下:Poliformブース。右下:LEMAブース。なんとなく同じような色合いや素材使いは似ていて個性は無いように感じますが、、。

2024.6.28 DESIGN

モノ作りの現場を見るということ

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.146

エーディコア・ディバイズでは当社の家具を生産している工場を訪問して、毎年モノ作りの現場を見学する研修を行なっています。設計や開発スタッフだけでなく、営業や業務管理、経理業務に携わるスタッフ全員が工場を見学する研修です。モノ作りをしている会社では、新人研修の際に工場見学を実施することはあると思いますが、当社のように業務スタッフ含めて全員が毎年工場研修を実施する企業は少ないのではないでしょうか。自社製品がどのように作られているのかを理解することも目的の一つですが、モノ作りの大変さ、人の手がどれだけ掛かっているかということを感じてもらうための研修でもあります。今年は九州の4つの工場を見学してまいりました。

初めに訪問したのは、昨年の新製品から本格的に採用を開始した国産針葉樹合板の工場です。新製品に採用するにあたり、昨年初めて工場を見学させていただいたのですが、とても素晴らしい工場だったので今回全員で訪問させていただきました。九州の山間に広がる広大な敷地、檜の香りがする敷地内には九州から集められた針葉樹の丸太が整然と積み上げられていました。建物の中だけでなく屋外の貯木場までゴミ一つ落ちていない綺麗な工場です。木材を加工する工場で、これだけきれいな工場を見たことがありません。高度にオートメーション化された工場は、加工途中で発生する廃棄物から熱、蒸気に至るまで一切の無駄なく効率的に利用されています。資材の組み合わせ選別等もAI技術を利用し、目にも止まらぬ早さで処理していました。こんなに効率的に製品が出来る工場を見てしまったら「機械化すれば手間をかけなくても製品が出来るのでは?」と、思ってしまいがちですが・・・合板製造の肝心要の作業である、最終のプレス作業前の単板セッティングは2名体制で人の手で行っていました。どんなに自動化されてもこの作業だけは熟練した人の目でチェックする必要があるのだそうです、納得!!

ソファ工場では、見学したばかりの針葉樹合板工場を資材に用いたソファの製作工程を見ることができました。普段は仕上がった製品しか見ることがないので、ソファの骨組み、構造を見学できるのは貴重な体験です。粗々しい合板の木枠の骨組みから、座り心地の良い柔らかいソファが出来上がっていく工程は、何度見ても新鮮な驚きを感じます。様々なクッション性や丸みのある柔らかな形状の中にも、稜線を立たせながらソファを仕上げていく術は職人技そのものです。主にテーブル生産をお願いしている工場の見学では、「木」を扱う難しさ、杢理を読んだ材料の組み合わせから、木の収縮の動きをコントロールして制作する難しさを説明いただきました。どんなに正確な加工を施したとしても、それぞれの「木」の特性を掴まないとキチンとした製品には仕上がりません。そんな「木」の良さや特性をお客様にお伝えするのも私たちの大事な役目なんだと社員も感じ取ったと思います。

今回訪問したのは梅雨入り前の九州地方。ソファとテーブル工場は先日も天気予報のニュースに出ていましたが、全国でも1、2位を争う暑さの厳しい日田市。通常だったら工場内の熱気で汗だくになって視察を行なう時期でしたが、今年は梅雨入り前の曇り空のおかげもあってそこまで厳しい暑さを感じることなく研修を実施することができました。普段は会話をする機会が少ない営業や業務管理スタッフも、職人の皆さんとコミュニケーションを取ることが出来、有意義な研修になりました。研修で得た情報は、皆様にもしっかり伝えてまいりたいと思います。(開発 武田伸郎)

左上:全社員で移動する工場研修はバスで各所を回ります 左下:針葉樹合板工場の敷地内、屋外にもゴミひとつ落ちていません 右上・右下:敷地内には爽やかな檜の匂いが漂っていました。工場から100km圏内から採取された針葉樹が貯木場に整然と積まれています。樹皮を剥いた丸太が合板加工へと運ばれていきます。
左上:見学した玖珠の工場で生産された針葉樹合板は、新製品以外の規格製品でも木枠の構造体に使用しています 左下:工場研修では工場の方の説明以外にも、加工中の製品を間近に見ながら、瀬戸のモノ作りのこだわり解説があります 右上・右下:普段見ることのない手加工の作業や、一点一点手作業で行う張り地の型取り、断裁の様子を熱心に見学します

2024.6.26 PRODUCT INFO.

PACE AD-111S,A

クリエイティブ・ディレクター瀬戸 昇が、デザイナーからの視点で写真だけでは伝わらない製品の魅力を動画でお伝えします。
今回はAD COREより、エーディコアらしいシャープなイタリアンモダンテイストを持ちながら、柔らかな優しい印象を持つダイニングシリーズのAD-111 PACEを紹介します。

◾︎ PACE AD-111 CHAIR 製品ページ

2024.6.25 SHOWROOM

過ごし方で考えるソファ選び

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.443(東京・広尾ショールーム)
家で過ごす生活スタイルやくつろぎ方が多様化し、リビングでメインとなるソファの使い方も様々なスタイルが求められるようになりました。当社では、2023年モデルに発表したボリューム感のあるシステムソファのMASSAⅡや、2024年モデルで発表した柔らかなカーブを持つシステムソファMD-3211が、そのようなニーズにマッチし大変人気です。そこで、人気モデルのお勧めポイントや使い方をご紹介したいと思います。

家の中心となるリビングでは、家族や友人、親しい人が集まって楽しく過ごす時間には、くつろぎながら会話を楽しめるように、様々な座り方ができる大きなソファがお勧めです。2023年モデルで発表したシステムソファのMASSAⅡは、そんなスタイルにピッタリです。奥行きが950mmあるのでゆったりとリラックスしてお座りいただけるうえに、サイズバリエーションが豊富なので、パズルのように自由に組み合わせることで、様々な広さの空間にフィットします。背やアームがないユニットを組み合わせればいろいろな方向から座ることができ、ちょっとした合間に腰掛けたりできるので気軽にコミュニケーションをとることができます。また、買い足しや組み替えも可能ですので、生活スタイルが変化しても使い続けることができます。
2024年モデルで発表したシステムソファMD-3211は、ミニマムサイズの奥行き(800mm)ながらゆったりとした掛け心地を感じていただけます。様々なサイズバリエーションがあり、120度のコーナーソファを組み合わせれば囲むように緩やかな角度が付き、座る人の顔が見渡せるので自然と会話が弾みます。90度のコーナーソファを組み合わせればL字型やコの字型のレイアウトもでき、空間の使い方のバリエーションが広がります。また、3PLのサイズは、両端に座っても自然と中心を向く座り方が新しいラブチェアのスタイルです。背と座の柔らかなカーブが特別感を与えてくれます。

ソファといっても様々なスタイルがあり、リビングでの過ごし方によってお勧めのモデルが異なります。日頃のリビングでの過ごし方やご新居での生活をイメージしながら、お気軽にご相談ください。ご来場をお待ちしております。
(ショールーム担当:西條 恵理)
ショールームご来場予約はこちら▷

上:システムソファMASSAⅡ。窓側にオットマンを配置すると抜け感も出て、窓を向いて座ることもできフレキシブルにお使いいただけます。 下:コナーにオットマンを配置することで、ダイニングに座っている人とも会話ができます。
左上:システムソファMD-3211。120度コーナーソファを組み合わせて緩やかなカーブのコンビネーションに。 左下・右:MD-3211-3PLソファ。自然と中心を向いて座れるアームの角度により、会話がしやすいデザインのソファです。

2024.6.21 SHOWROOM

和の空間に馴染む家具

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.442(名古屋・栄ショールーム)
日本特有の梅雨の季節となり、ご自宅で過ごす時間も多くなりがちですが、エーディコア・ディバイズの家具でくつろぎの時間を過ごされませんか?今回は洋室だけでなく、和の空間にも調和するエーディコア・ディバイズの家具をご紹介します。

エーディコア・ディバイズのA-mode(エーモード)ブランドは、素材にこだわり、ナチュラルで優しいデザインなので和室にもマッチします。また、建具と家具の塗装色を合わせることが可能なので、統一感のあるコーディネートに仕上がります。フレームの直線を基調としたデザインや肘あたりを広くしたアーム、脚部が印象的なチェアのMD-103Nは、粋な和モダンなチェアとしても人気があります。タタミの上でご使用いただく場合には、タタミ用の保護材を取り付けできますので傷つけることなくご使用いただけます。
また、和モダンなイメージのリビングには木材をふんだんに使用したソファはいかがでしょうか。AD CORE(エーディコア)ブランドZONA(AD-015)は、側面と背面に木製パネルが施されており、和の空間にも調和してお使いいただけます。お好みで選択いただける木製パネルのメープル材の木質や、チーク材の高級感のある木目が凛とした和の空間をよりグレードアップしてくれます。座面中材にはポケットコイルを使用しているので、独立したコイルが「点」で身体を支えてくれます。フィット感があり、並んで座っても振動が伝わりにくいので、お互いの動きが気になりません。AD COREブランドのエッジの効いたイタリアンモダンなデザインを和室にも取り入れ、ひと味違った空気感をお楽しみください。

他にも和室に合う家具を多数ご用意しております。張地や木部との色合わせでも雰囲気を変えてお使いいただけますので、どうぞお気軽にショールームでスタッフまでご相談ください。お好みに合ったご提案をさせていただきます。皆様のご来店を心よりお待ち致しております。
(ショールーム担当:水野 未佳子)
▷ご来場予約フォームはこちらから

左上:品格のある佇まいの和室でも劣らない存在感のMD-103N 左下:固定概念にとらわれず、和室でもテーブルスタイルをお楽しみください。 右:スッキリとしたデザインが、和洋問わず人気なチェアです。
左上:AD-015の木製パネルの木色を、建具や内装意匠と合わせてコーディネートしています。 左下:エッジの効いたAD COREシリーズの家具が和モダンな空間に染みます。 右上:AD-015の木製パネルには、13色からお選びいただけるメープル材と、独特の風合いが特徴的なチーク材をお選びいただけます。 右下:AD-015の座面にはポケットコイルスプリングを使用しています。