家具製造の現場を知るということ
先日、九州や山形の当社の協力工場を訪問する機会がありました。それぞれ訪問の目的は異なりましたが、改めて感じたのは「メイドインジャパン」のものづくりを支える現場の力です。工場の皆様と直接顔を合わせ、意見を交わしながらコミュニケーションを図ることも、私たちにとって非常に重要な業務の一つです。九州では3社、当社の家具製造をお願いする工場へ研修でお伺いしました。家具を含むプロダクトを販売する会社では、新入社員研修の一環として工場見学を実施する企業は少なくありません。しかし、当社のように業務スタッフを含む全社員が毎年工場研修に参加する企業はそれほど多くないのではないでしょうか。営業部や業務部、経理など、普段は製造現場と直接関わる機会が少ない社員も参加し、自社の家具がどのような工程を経て完成するのかを実際に見学します。図面やカタログだけでは伝わらない加工工程や、職人の手仕事、一つの製品に込められた多くの工程を目の当たりにすることで、改めてものづくりへの理解を深める貴重な機会となっています。
ソファ工場では、当社の売れ筋であるNC-075ソファの製造工程を見学しました。内部フレームの組み立てから張り込み、仕上げに至るまで、一つひとつの工程を間近で見ることができました。NC-075では、環境に配慮した針葉樹合板を使用しており、見えない部分の構造にもこだわることで、美しい曲線を実現しています。特に背もたれと座面を組み上げる工程では、わずかな調整の違いが完成度を大きく左右するため、高い技術力と熟練した職人の経験が求められることを実感しました。細部まで丁寧に仕上げることで、製品の品質が支えられていることを学ぶことができました。
テーブル工場では、無垢材ならではの加工の難しさや、ものづくりへのこだわりについて学びました。木は自然素材であるため、一つひとつ表情が異なり、ある程度予測はできるものの、実際に削ってみるまで木目や色合いがどのように現れるか分かりません。そのため、素材の個性を見極めながら加工を進めることが重要であり、職人の経験と技術が品質を大きく左右することを教えていただきました。工業製品のように均一な仕上がりを目指すものとは異なり、無垢材の家具には一つとして同じものがありません。それぞれが世界に一つだけの木目や風合いを持ち、自然素材ならではの魅力を楽しめることを改めて実感した工場見学となりました。
今回は新製品の試作製作をする工場へもお伺いし、新製品の打ち合わせ、試作製作の立ち会いを行いました。図面では問題なく見えていた寸法や納まりも、実際に製品になると印象が変わることがあります。実際に座り、触れ、細部を確認しながら、工場の職人さんと意見を交わして改善を重ねていきます。設計と製造が一体となって作り上げていく、この積み重ねこそが当社の家具づくりの大切なプロセスです。当社の家具は、日本各地多くの協力工場の皆様の技術と想いによって支えられています。これからも現場との対話を大切にしながら、国内生産だからこそ実現できる品質を守り、お客様に安心して長くお使いいただける家具づくりを続けて行きます。
6月の梅雨入り前の九州日田市は30度前後と例年より少し過ごしやすい気候でしたが、先日のニュースでは九州での観測史上初の酷暑日(最高気温が40℃以上、、、工場内はさらに暑くなることも、、、)が報道され、その厳しい暑さに驚かされました。工場内は機械の熱も加わり、さらに過酷な環境となることもある中で、日々品質を守りながらものづくりに取り組まれている皆さんには、改めて尊敬するばかりです。普段は完成した製品を見る機会がほとんどですが、その裏側を知ることで、自社製品への理解と自信がより一層深まる貴重な研修となりました。今回学んだことを日々の業務にも生かし、製造現場と同じ目線でお客様へ当社製品の魅力を伝えていきたいと思います。(開発部 渡辺)