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ピアノに使われているビーチ材
AD CORE DEVISE DESIGN COLUMN Vol.118
ショパンの故郷、ポーランドのワルシャワで5年に1度開催される、ピアニストが目指す世界最高峰の舞台「ショパン国際ピアノコンクール」。昨年の10月、日本人の反田恭平さんと小林愛実さんが、2位と4位に同時入賞するという快挙を成し遂げた事で話題になりました。日本人が2位に入賞するのは50年振りということで様々なメディアで紹介されていたのでご存知の方も多いと思います。このピアノコンクールもコロナ渦の中で開催されたわけですが、昨今のコロナによる巣籠り需要によりピアノの販売が好調で、世界的に販売台数を伸ばしているそうです。ピアノのシェア争いは世界のメーカーがしのぎを削っていますが、日本のピアノの品質は世界的に認知されていて、世界のピアノの生産台数の1、2位を浜松市のメーカーが占めています。このピアノの主要な構造体に、椅子の成型合板にも使っている「ビーチ材」が使われていることを初めて知りました。
ピアノの製作には木材が重要な要素で、音の良し悪しが決まってしまうといっても過言ではありません。乾燥や湿度管理を慎重に行い、材料を吟味します。ピアノに使用される木材には、「スプルース」「カエデ」「ビーチ」などがありますが、本体の構造を支える側板(リム)や鍵盤蓋に使われているのが「ビーチ」材です。ビーチ材はコストパフォーマンスに優れ、強度や耐久性のある木材ですが、成型合板の材料として多用され、椅子を始め家具の材料としてもたくさん使われています。単板と呼ばれる1~2ミリ程度の厚みにスライスしたビーチ材を、何枚も重ねて「型」にセットして高周波を流して指定の形にします。ピアノ本体の流麗な即板や、鍵盤蓋の曲面はビーチ材の特性を活かし、成型合板技術で作られています。家具でも無垢材では得られない形状と強度を保つため、この技術を活かした製品があり、エーディコア・ディバイズの製品では、人気の高いMD-901やMD-501などの、椅子のアームから背を形つくるシェルに活かされています。成型合板にウレタンなどのクッション材を貼り、ファブリックをかぶせてしまうので表面には見えないのですが椅子の主役となるパーツになります。
このビーチ材ですが、ヨーロッパの森林循環型の木材から計画伐採した材料を使用しているのですが、このビーチ材がコロナ渦の資材不足と流通の混乱によって世界的な不足状態にあり深刻な問題になっています。家具の業界でも、成型合板用の「ビーチ単板」が不足してしまい深刻な状況でした。そんな中、当社の瀬戸が国内中の情報を集め、仔細に連絡を取った結果、前述のピアノ用のビーチ単板を確保することが出来ました。国内はもとより、世界的に不足している状況下での資材確保だったので、まさに救世主、現在順次生産に進んでいるところです。本来、ピアノに使用される資材が当社の椅子に活かされる事になります。
コロナ渦でのあらゆる資材不足はしばらくは続くと思われますが、成型合板の資材確保は、皆様にはご迷惑が掛からないよう様々な手配により対応を進めておりますが、早めの情報確認、出来るだけ納期を取っていただけるよう早期の発注をお願いしたいと思います。一刻も早く感染が収束し、皆様のご要望にお応えできるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。(開発 武田伸郎)