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2022.9.30 DESIGNER
アメリカ西海岸の今
AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.136
久しぶりにアメリカロサンゼルスへ行ってきました。2020年2月から2年半ぶりの海外です。アメリカ西海岸建築ツアーが復活できるか、現地のコロナ感染の状況や建築インテリア状況を見る事が目的です。2年半ぶりのロサンゼルス空港は少ない入国者数で混乱も無く、短時間に入国する事が出来ました。日本と違うのはマスク無しの人がほとんどで、空港内でのマスク着用を呼びかける垂れ幕だけが虚しく揺れていました。レンタカー会社のカウンターに並ぶ人のほとんどはマスク無しで、マスクをしている方が恥ずかしく思えるほどで、コロナ感染は無かったような雰囲気です。急激な円安で覚悟はしていましたがレンタカーもホテルも値上がりで、2年半前の2倍近い値段になっています。
定宿のウエストハリウッドのホテルは改装が終わり新しくなっていましたが、駐車場代が2年半前に1泊32ドルだったのが55ドルになっていたのには驚きました。いつも行くスーパーのTrader Joe’sでの生活必需品の値上がりはそんなに感じませんでしたが、高級オーガニック系のホールフーズではかなり値段が高く感じる物が多く、一般的な食品でもクラスの価格差が大きくなっているようです。ガソリンは市内の安い所でレギュラーで1ガロン(3.78L)5.2ドルと日本円で約200円と、2年半前の3.5ドルとはかなり値上がりしています。一般的なハンバーガーのFATBURGERのオリジナルが6.5ドルでドリンク付けて10ドルなので、日本円で1,450円。日本では同じ物が980円なのでかなりの割高です。エリアの価格差も大きく、サンタモニカのアボットキニー通りの普通のテイクアウトのサンドウイッチが20ドルと3,000円近くするので、ランチで1人5,000円払う事もありました。今のアメリカではエリアやクラスの差が大きくなったと感じました。
感染予防で外食する事はありませんでしたが、街の飲食店は感染前の賑わいに戻っています。インテリアやファッションの店がどうなっているか、ラ・ブレアにあるショッピングセンターのグローブを見に行きました。ザ・グローブはショーッピングモールの中でも勝ち組でしたが、行くとアパレルショップの多くが閉店していて中堅アパレルの苦境を感じ、いつも行く2階建の大きなスペースを持つインテリアのクリエイト&バレルだった場所がアップルストアに変わっていました。今、世界の企業の中で最も収益を上げているアップルは各地で新ストアをオープンさせていて、ザ・グローブの新ストアは昨年11月にオープン、同時期にダウンタウンにもアップルタワーシアターを新オープンさせいました。現地でも話題になっている2箇所を見てきました。
現在、主なアップルストアはノーマン・フォスターが率いるイギリスの建築設計事務所フォスターアンドパートナーズが設計しています。Apple at The Groveはグローブの中で最も大きなスペースがあり、9.5メーターの高さの全ての天井には鏡面素材が使用されその鏡天井が外まで伸び、店舗内の空気感を外まで伝える効果があり、道の向こうを歩いているのに店舗内にいるような感じを受けます。外のファザードには横3メートル、高さ9.5メートルの大きな引き戸があり、開け放された扉から反対側の扉を通して自然換気されています。両側の展示壁の前には16本の生木のベンジャミンツリーが床下に掘られたポッドに植えら、天井の直線状の天窓から自然光が取り入れられ外にいるようです。また、外のベンジャミンツリーと一体になったインテリアが建物内と外の空気の境界を無くしています。シャープでモダンな素材とナチュラル素材の組み合わせは、こらからのインテリアの方向性を感じます。
ダウンタウンのApple Tower TheatreはLAのダウンタウンの大規模都市再生のプロジェクトとして1927年にチャールズ リーによって設計された映画館を再生した店舗で、特徴的な時計台とテラコッタファサードと漆喰のインテリアを復元し、劇場の天井中心にあるドームには南カリフォルニアの空を再解釈したフレスコ画が描かれていました。一階の客席部は展示スペースで、二階の階段席には革張りのベンチが置かれ使い方レクチャーの席として使用されています。様々なフォーラムを行うアップル劇場としての機能もある店舗でした。アップルザグローブ、アップルタワーシアターどちらの店舗も劇場的要素を入れ、売るだけでなくブランドの世界観を見せるための店舗は、世界で最も収益を上げる会社の勢いを感じる店舗でした。
ザ・グローブのアップルストアにいて当社の広尾本社を思い出しました。エントランスも吹き抜け展示空間の前に大きな樹木があり、3階の天窓まで届く大きなベンジャミンツリーはここより背が高いかもと。やはり、生木の植物は癒されるなと思いました、ちょうど、11月初旬の新作展示前の展示品セールが始まりました。この機会にショールームへお越し下さい。アメリカ西海岸ツアーは現地プロデューサーYASUKOさんの完全帰国に伴い2023年2月に最後のツアー開催を予定しています。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)