COLUMN

2024.5.29 DESIGN

流行に左右されないデザイン

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.145
昔も今も芸術やファッション、デザインやインテリアに至るまでイタリアからの情報発信が世界に大きな影響を与えています。家具やインテリアの世界では先日開催されたミラノサローネ国際家具見本市が世界的なインテリアの情報発信源になっています。今年はこれまでの来場者数の記録を更新し、過去最高の集客を達成したようです。7割が国外からの参加者ということからも世界規模のデザインイベントだということが伺えます。世界のインテリアの動向を左右するこのイベント、視察してきた印象を少しだけお伝えしたいと思います。

エーディコア・ディバイズのブランド「AD CORE 」の製品には、イタリアのデザインに敬意を評してイタリア語で製品名を付けています。日本の伝統美や技術力を活かした製品作りを目指しながら、それだけイタリアのデザインを意識していました。エーディコア・ディバイズとして新たにスタートした90年後半からは、ミラノサローネを視察した後に新製品の開発に取り掛かるルーティンが定着しました。ややもすると「サローネで視察した情報を活かした製品作り」と思われがちですがそうではありません。巨大なトップメゾンが提案するデザインを当社が追従してもあまり意味がありません。今世界で流行しているデザインを注視しながら、それとは違ったアプローチを提案をするためにサローネ視察を重ねてきました。過去最高の来場者を記録した今年のミラノサローネですが、人気のブランドのブースやイベント会場には、以前はあまり見られなかった入り口の大行列がたくさん見受けられました。近年はネットやSNSのさまざまな情報がリアルタイムで飛び交うためか、人気のイベントに集客も偏ってしまうのかもしれません。事前登録をしないと入場できないイベントも増えていたのですが、今回も瀬戸の超綿密なスケジュール管理のおかげで、効率よく世界のトップメゾンの展示を見ることができました。世界のトップブランドの展示やインスタレーションは、デザインや製品の仕上がりも素晴らしくインテリアの展示も目を見張るものばかりでしたが、今年のミラノサローネは協調して大きな流行を作り出すようなトレンドを見て取ることができました。

大きなトレンドとなっているアイテムは、スクェアで重心の低いシステムソファ、扇型に組み合わせるソファ、有機曲線でデザインされた雲のような形のソファや丸みを帯びたコンパクトなラウンジチェア等々。白を貴重としたブークレ調のファブリックを用いて柔らかなラインを醸し出す製品も多く見られました。これって・・・エーディコア・ディバイズで昨年、一昨年に発表した製品アイテムではありませんか!!メインストリートとは違ったアプローチをしてきた当社でしたが、ここに来て時代の潮流に合い始めてきたのでしょうか?(確かに一昨年から昨年発表した製品は、たくさんのご注文をいただいております)まだ製品をご覧になっていない方は各ショールームに展示がございますのでぜひご覧になって下さい。サローネのデザイン流行をジャパンメイドの製品で見ていただけると思います。

注目のミラノサローネでは、デザインの他にも素材使いの面白さや歴史的アーカイブの復刻、ファッションやモーターサイクルとのコラボレーションなどたくさんのイベントがありました。そんなサローネの模様は来月開催しますオンラインでの「プレミアムセミナー  ミラノデザインウィークレポート」で詳しくご報告する予定です。ご登録いただいての参加となります。まだ若干空きがございますので皆様のご参加お待ちしています。(開発 武田伸郎)

左:FIERA会場の某ブランドブース前。朝一番で並んだのですが、あっという間にこの行列。人気ぶりが伺えます。 右:今年は家具の見本市とキッチン展のEuro Cucinaが同時開催。食を絡めた展示やイベントがFIERA会場やミラノ市街で賑わいを見せていました。
今年のミラノサローネは、昨年・一昨年に当社で発表したデザインアプローチのアイテムが主流になっていました。左上:2022年モデル A-mode MD-1301 と MD-1302 丸天板に支柱タイプの一本脚テーブルと丸みを帯びた脚を持たないシェル型のチェア 左下:低くて柔らかなフォルムのボリューミーなシステムソファはAD-229 のMASSA  右上:昨年発表したMD-3211 は扇型にも組めるシステムソファ 右下:有機的なフォルムのキドニーソファ NC-075。今年のサローネでは様々なタイプが提案されていました。