COLUMN

2018.8.29 DESIGN

製品保証とメーカー保証

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.76
先日、本社のトイレのウォシュレットが購入してからまだ2年あまりで故障してしまいました。メーカーに修理の問い合わせをしたところ、確認するだけである程度の出張費が掛かり、さらに修理費用も含めると新品以上にコスト掛かりそうなので新規購入を勧められました。まだ2年しか使用していないのでそれほど痛みもなくまだまだ使えそうなのですが、メーカーから「買い換えた方が良い」と言われたら諦めるしかありません。

一般的に家電製品では、補修用部品の保有期間が8年間とされています。その期間内なら故障をしても修理対応は可能なはずですが、コストや効率を優先してしまうと修理するよりも「買い換えを勧めします」という対応になるのかもしれません。「資源を大切に」と言われ続けていますが、身の回りの製品はますます効率を優先した使い捨ての時代になっているような気がします。家具の場合でもそれなりに見栄えのする家具が、驚くような低価格で販売されていて、ある程度使用できますがガタがきたら修理が効かないので買い換える、という消費スタイルも見受けられます。しかし、家具は使い込む事により身体に馴染んできて愛着が湧き、生活に無くてはならないアイテム。昔は、そんなにコストが変わらなければ修理より買い換える方がほとんどでしたが、最近は割高になってもメンテナンスをして、永く使い続けたいお客様も増えています。家具は、修理をしながらも永く使い続けられる現代では数少ないプロダクト製品になりつつあります。

エーディコア・ディバイズは「時代を超えて愛される家具」というコンセプトのもと、30数年前ブランドをスタートしました。そこには、お届けした家具をできるだけ長くお使いいただきたいという思いがありました。当社の製品はお取扱いに問題が無ければ、納品日から1年間は無償修理させていただき、保証期間が過ぎても有償にてメンテナンス対応を行なっています。エーディコア・ディバイズの製品はバリエーションの変更以外、基本スペックの廃番がないので、製品の構造にもよりますが何年前の製品でも修理やパーツ交換が可能です。実際に20年以上前にご購入いただいたお客様から、当社を探してパーツ交換や張り替えのご相談や、追加でご注文をいただく場合もあります。大切にお使いいただいた家具を、メンテナンスをしてさらに永くお使いいただく、家具をお届けしているブランドとしてこれほど嬉しいことはありません。

結局、会社のウォシュレットは、メーカーに出張してもらう事も修理の見積もりをする事もなく、新しいウォシュレットをネットで購入しました。因みに・・・ウォシュレットは自分たちで取り付け交換を行い、事なきを得ました。
(開発 武田伸郎)

1986年当時の「CERVO」のビジュアル。懐かしさを感じさせる画像ですが、製品の仕様は全く変わっていません。今も人気製品です。

2018.7.25 DESIGN

真夏の搬入経路調査

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.75
本当にうだるような毎日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。ゆらゆらと熱気が上昇しているのが見えるような、この夏一番の気温を記録しようかという日に、特注物件の案件で建設中の現場に現調に行ってまいりました。

場所は邸宅が並ぶ都内某所の閑静な住宅街。今回ご相談いただいている家具は、地下1Fのリビングスペースにお納めする収納キャビネットとTVボード。建物に合わせた特注仕様です。問題はTVボードの大きさと搬入経路です。4m近いサイズのTVボードの甲板を、分割せずに1枚でお納めするご希望です。搬入経路を確認する場合、図面でシュミレーションを行い確認のため現調を行いますが、この案件は図面と同時に搬入経路の支持もいただきました。「地下のリビングに収める家具を、地下から一旦1階へ釣り上げ、建物横の犬走りを通り1階の入り口から搬入して室内の階段から地下のリビングへ収める」というもの。図面を見ると地下の駐車場からそのままリビングへ搬入出来そうなのですが・・・。現調するにあり、天板と同じサイズにダンボールを繋げたシミュレーション用の部材と、レーザー距離計を持参して確認に向かいました。

最近の住宅では、地下や2階・3階と高低差を活かした間取りが増えていて、空間は広々としているのに一部の出入り口が狭いため希望のサイズの家具が入らない場合があります。今回のご物件も非常に大きい住宅ですが、入り口からお部屋への導入部がクランク状になっていて、図面上ではそこが廻れないと判断したようです。早速、開発のスタッフと2人掛かりで段ボール・シミュレーションです。4mともなると取り回しが大変ですが、繋いだ段ボールを2人で引っ張りながら徐々に搬入経路を移動して検証しました。すると、廊下から外階段へ出て天板を上方に逃していけば通れる事が確認できました。さらに、地下の開口部から1Fへ登らずにそのまま搬入出来ることも分かりました。スケールやレーザー距離計では検証が難しい物件でしたが、段ボールのおかげで無事搬入経路を確認することが出来ました。

現調を終えて、ご担当者の方へご挨拶。搬入を心配されていましたが、搬入できることを確認して安心していただけました。これで秋の納品に向けて安心して特注家具の製作を進めることができます。納品が楽しみですね。エーディコア・ディバイズでは規格製品のアレンジから建物に合わせた特注品の製作も行っています。ご検討の際はぜひご相談ください。(開発 武田伸郎)

地下のリビングルームスペース。開発のスタッフが検証用のダンボールを抱え、レーザー距離計で計測中。画像では伝わりませんがすごい暑さです。

2018.6.20 DESIGN

ホワイトオーク材の樽物語

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.74
先日、社内研修の一環で九州は日田市にある焼酎の蒸留所を見学してきました。日田市はきれいで美味しい水が有名で、「日田天領水」のネーミングでコンビニでも販売しています。美味しいだけではなく活性水素水として健康にも良いそうです。そんな天然水が豊富な日田市には、水が命であるお酒の工場が沢山あります。今回見てきたのはCMでもおなじみの焼酎「いいちこ」の蒸留所です。梅雨時には珍しい、日田市としては過し易いさわやかな天気に見学する事が出来ました。

樹木が生い茂る敷地の中にいいちこの蒸留所はありました。ピカピカに清掃された工場では、巨大な貯蔵タンクや磨き込まれた管楽器のような蒸留機を見る事が出来ました。稼働中の仕込みタンクの中には発酵して泡が立ちこめているタンクもあり、建物の中にはほんのりと麦の匂いがします。見学コースには使われる麦の解説から、焼酎が出来るまでのディスプレイがあり、おしまいの方で「樽」の解説と展示がありました。樽で仕込むってなんとなくウィスキーをイメージしますが、焼酎でも使われるんですね。展示では楢の原木から樽が出来るまでの説明がありました。日本の樽といえば、世界でも名高い「楢(ナラ)材」を用いると思いがちですが、ここではあえてホワイトオークを使用していました。ホワイトオーク材と言えば、A-modeやNEOCLASSICOのHeritageシリーズに用いている材料です。牽牛で表情豊かな家具の材料で、僕の中ではちょっと男らしいイメージの独特な雰囲気を醸し出す木材です。

樽材には、材料の中でも最上の部分を用います。液体を保管する訳ですから節や亀裂はもちろん使えません。木の宿命である経年による収縮を避けるため木目の通った柾目取りをした材料のみ使用します。近年のウィスキーブームにより、ホワイトオーク材は年々入手が難しくなっていて、家具材や内装材は、オーク材の一番いい材料を樽材に取られてしまった(?)後で確保しなければならないのが現状のようです。展示してあったホワイトオーク材もほれぼれするほどきれいに目の詰まった材料でした。「こんなにいい材料なら、樽じゃなくて家具に使ったらきっと素晴らしいモノが出来るんだろうなぁ・・・」なんて妄想しつつ、見学蒸留工場を後にして、別館の試飲コーナーにて飲めないお酒を物珍しさにチビチビ試飲してまいりました。(開発 武田伸郎)

日田市のいいちこ蒸留所。とても気持ちの良いところです。
左:木取りから樽になるまで。右:部材は全て最上級の柾目材です。

2018.5.27 DESIGN

デザイナーの模型作り

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.73
今回のメールマガジンでは、エーディコアの開発室では「こんな事もやってます」的な紹介をします。モノを作る過程で「イメージを具現化する」ことはとっても重要です。イメージ出来ないものは作る事が出来ません。

デザイナーによってアプローチは様々ですが、エーディコア・クリェイティブディレクターの瀬戸が図面を手掛ける前に描くスケッチは、ラフなタッチに見えますがほぼ完成に近いラインで描かれてます。正式に図面化する際にそのスケッチをなぞることもしばしば。フォルムやラインだけでなく寸法やバランスも表現されています。さらに、製品のデザインによっては細部のディテールを立体的に確認をするため、模型を製作することがあります。通常は5分の1スケール、場合によっては10分の1、原寸大で作った事もありました。最近ではめっきり製作する事が少なくなった「模型」ですが、先日久々に製作する機会がありました。

模型は、形のディテールを確認するため真っ白な紙(ケント紙やホワイトボード)で作ります。「平面の紙」から作るので、原則的に3次元の曲面は作れません。そこで立体的な3次元を表現するために工夫を凝らします。リブを付けて立体的に見せたり、成型合板と全く同じ原理でコピー用紙を重ねて接着し、椅子のシェルを製作した事もありました。5分の1スケールですが、コンマ数ミリの誤差が命取り。紙の厚みやカッターの刃の動きによって精度が変わってしまいます。昔は夜な夜な製作していた模型作り、気持ちが入ってきたときの瀬戸の集中力は凄まじいものがありました。

今回の模型作りは、あるプロジェクトの製作過程で行なったものです。平面図ではイメージし難い、曲面の流れを確認するために製作したモデルです。開発の富所君のデータを基に、今回初めて図面データから主要なパーツをレーザーカッターでカットしました。主なパーツは精密なマシンカットで出来ていますが、どう形にしていくかは手作業によって決まります。こだわる部分とアバウトで良いところを見極めつつ、立体的にイメージしながら製作を進めていきます。作業途中で分かった事ですが、レーザーカッターでも精度が出ていない事がありました。瀬戸の総指揮のもと、徐々に模型の全体が組み上がってきます。完成が近づくにつれて、さらにいろんなアイディアが出てきて模型の完成度も上がっていきました。

数日掛けて製作した模型は無事完成、予定していたミーティングに持ち込まれました。丹誠込めて製作したモデルはすでに手元を離れてしまったのですが、このプロジェクトを完成するために活躍してくれることと思います。模型作りも楽しみましたが、プロジェクトの出来上がりが楽しみです。(開発・武田伸郎)

商品の型の模型作り。次第に熱がこもってきます。
17年以上前に作られた1/5スケールの製品模型。シェルは紙の型で成型したコピー用紙!!

2018.4.25 DESIGN

身体を動かす季節です。

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.72
エーディコア・ディバイズ東京広尾の本社では、毎週月曜日にスタッフが集まって朝礼ミーティングがあります。週の始まりに各自の動きや予定を確認するのですが、毎週当番制朝一番の挨拶から一人がテーマを決めて話をする事になっています。日頃気になっている事、仕事にまつわるテーマから、プライベートな話題、巷で話題になっている事などテーマは様々。ビジネスに関する役立ち話から、みんなで注意したい事など、いろんな話が出てきます。社内の朝礼といっても、テーマを決めて上手くまとめて話をするのって中々難しいものですが、最近テーマに上るのが、体力不足解消や身体のケアや健康に役立つ話題です。

今週月曜日の話題は、当社で最も若い女性スタッフのお話。最近運動不足気味なので、先日ちょっとトレーニングがてら2駅分歩いたようなのですが翌日筋肉痛になったと・・・。自分の体力のなさを痛感し、日頃簡単に出来るエクササイズや簡単なトレーニング法を紹介していました。先月には営業のYがゴルフのプレイ中に肉離れを起こし、松葉杖をついて大騒ぎだったのですが、身体のケアやストレッチの大切さの話が有りました。(社員の年齢層も上がってきているので、注意しないといけないポイントです・・・)

トレーニングや身体のケアも大事ですが、ダイエットなんかも気になる人が多いですよね。開発の女性スタッフは腰痛や肩こりに悩まされていたのですが、今年から流行の?パーソナルトレーナーに付いてトレーニングを始めたそうです。週一回、体幹トレーニングや筋トレを行い、肩こりや腰痛も改善し、筋肉量は増えながら減量にも成功したそうです。(TVの広告で別人になっちゃうようなすごい効果のモノも有りますが、そこまでの変化は無いようです・・・)トレーナーの方が言うには「やり過ぎ」は良くないそうです。大事なのは、継続する地道な努力なのだとか。会長の北島は、最近健康診断を受けた際に年齢的にも注意が必要な体重増加の注意などを受けたので「体質改善に向けて、帰宅は徒歩で」と言っていましたが、実行やいかに。

デザイナーの瀬戸のルーティーンは、毎日欠かさずのストレッチと筋トレ。365日、海外出張の際もルーティーンは欠かしません。激しいエクササイズや筋トレはしないのですが、ぎっくり腰になった事がないのもきっとそのおかげなんでしょうね。僕は昨年痛めた膝の影響からあまり長距離を走れなくなってしまったので、長い距離を歩くようにしています。先週は、自動車免許の更新があったので、鮫洲の試験場から品川まで歩いてみました。歩くには今が一番良い季節、普段は歩かないようなコースでなのですごく新鮮でした。みなさんは運動不足解消にどんな事を実践しているのでしょうか?ぜひ教えて下さい。(開発/武田伸郎)

花粉も一段落し、歩くには一番良い季節です。以前納めた建物を目にしたりするのも楽しみの一つです。