COLUMN

2023.6.13 SHOWROOM

初夏のデコレーション

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.405(大阪・心斎橋ショールーム)
全国的に梅雨に入り、じめじめとした暑い日が増えてきました。エーディコア・ディバイズ各ショールームでは、ご来場のお客様にこんな時期ならではの涼しさを感じていただける演出をしています。

植物はそのままでも、花器や合わせるアイテムを少し変えるだけで季節感を出すことができます。花器のカラーや素材を夏らしいシルバーやガラスに変えたり、クッションをブルー系に合わせたりすることで随分印象が変わってきます。淡いブルーやパープルは涼しげな印象になりこの季節にピッタリなカラーです。クッションやランチョンマットなどにも取り入れたいですね。
この時期の植物では、緑が鮮やかな風通しの良いシダ植物のブレクナムシルバーレディや、旬のお花、紫陽花などもおすすめです。大阪・心斎橋ショールームではパープルのダリアなどを生けています。ショールームのディスプレイでは、それぞれのブランドのイメージによって使い分けをしています。A-modeにはナチュラルな質感があるもの、AD COREにはモダンでシャープなもの等、より世界観を表現できるようにディスプレイしています。

雨が続いたり、暑さが増してくると外出するのが億劫になってしまいがちですが、季節に合わせた小物やディスプレイで楽しんでみてはいかがでしょうか。皆様のご予約・ご来場を心よりお待ちしております。
(大阪・心斎橋ショールーム:天川 唯)
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花器のカラーや素材を夏らしくシルバーやガラスに変えたり、クッションをブルー系に合わせたりして季節感を演出しています。
左:ダリアをメインに生けています。 右:ブルー系のクッションとディスプレイもコーディネートしています。

2023.5.30 DESIGNER

これからの高級車のシート素材

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.143
今の高級車のシートは革張りが一般的で、ダッシュボードやドアパネルのインテリアにも革が使用され、革と色違いの糸でWステッチ仕上げなどラグジュアリーな内装の代名詞になっています。昔の国産高級車は毛足の長いモケットが使われ、メルセデスベンツSクラスでも一番手間がかかっていたと言われるW126の上位モデルの560SELは平織りの布が使われていました。車が発明されて1940年代までの高級車は馬車の名残が残っていて、馬車時代は馬を操る人は御者と言われ、主人の乗る屋根ありの馬車の前に座っていました。その名残りでイギリス車の高級車では運転席と後ろ席は区別され、運転席は雨ざらしの中で使える油を染み込ませた硬い革のシートで、主人用の後ろ席は高級な絹などのファブリックが使われて柔らかな仕上げになっていました。

革のなめす技術と表面塗装の耐久性が上がり、高温多湿が多い車のインテリアにも革素材が使われるようになり、本革が高級車のインテリアの代名詞になってきました。滑りやすい革も耐久性の上がった革にパンチング穴で通気性を持たせ、滑りやすかった表面を滑りにくい仕上げにして使えるようになった結果です。上位モデルでは、メルセデスはナッパレザー、BMWはメリノレザーと言われるスタンダードの革より手触りの良い上質な革も用意されています。フェラーリやランボリギーニのようなスーパースポーツカーには滑りにくい素材としてアルカンターラ(ウルトラスエード)と言われる人工スエードがシートだけでなくハンドルにも使われますが、最近では動物愛護や革製造時の公害問題の観点から自然素材のファブリックや人工レザーを使用する車が増えてきました。電気自動車やエコロジーを謳う輸入ファミリーカーが多かったのですが、最近では革素材が標準だった高級車の世界でも環境問題から変化が見られるようになりました。

革の使用については牛肉を食べる副産物からの有効活用されるサステイナブルな素材なのに、環境問題が言われるようになってきたのは地球温暖化に対する人々の意識の高まりからです。温室効果ガスの排出量で畜産業は14%を占め、牛は豚の4倍になり牛のゲップはCO2より温室効果がはるかに高いメタンガスを大量に排出してしまう事から問題視されるようになりました。また、環境問題に敏感なヴィーガンの増加もその影響と言われています。イギリスのランドローバーでは2017年発表のレンジローバー最上位グレードで革とファブリックシートを選択できるようにしました。これはイギリスでヴィーガンの増加に対応と言われています。北欧スウェーデンの自動車メーカーVOLVOでは2019年に2030年までに新車の全てをEV (電気自動車)にする目標と同時に本革を使用しないと宣言しました。ESG(環境・社会・ガバナンス)の関心が高まる中、動物福祉への姿勢を強調することで投資家からの評価を得る狙いとも言われています。

今、様々なメーカーで革に変わる素材の提案が活発になり、植物由来の樹脂やPET再生素材のファブリックなど環境配慮型の素材を当たり前のように謳うようになりました。しかし今、環境問題だけでなく上質な素材としてファブリックが使われるようになったのも少し驚きでした。ドイツBMWのフラッグシップモデルの7シリーズでは標準仕様のシートは革で上位クラスのメリノレザーなのですが、オプションでメリノレザーとカシミヤ・ウールのコンビネーションが136万プラスで選択できます。上質な革より高価なファブリックで、手触りと通気性が優れているそうですが、コンパクトカーが買えるほどの値段とは、、。トヨタのフラッグシップ車で2,000万円を超えるセンチュリーの標準シートはウールモケットで、冬の暖かさだけでなく、夏の通気性にも優れている事から使用されているそうです。これからは高級車のインテリアは見た目の演出だけでなく、環境問題や快適性から天然素材のウールなどを使用した素材も多く出てくるのではないでしょうか。

日本では昔から捕鯨についても骨からヒゲまで全てを使い尽くす文化があり、私自身は食肉の為に生まれた皮を無駄なく革に加工したり、コラーゲンに使用するのはサステナブルで、丈夫で永く使える革素材は環境に優しい素材だと思います。その製造方法については環境に配慮した事はもちろんなのですが、、。当社ではファブリックに関しては規格布の半数以上をエコテックスタンダード100を取得した安全な物を選択しています。使用されるお客様はもちろん製造工場の安全を守るためでもあります。これからの上質さとは見た目と使い心地や耐久性だけでなく環境性能も必要とされる時代になってきました。新しい上質さとは何かを探していかなければいけません。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

左上:BMWi7 2023モデル。未来的な外観とBMWを象徴する巨大なキドニー・グリルが賛否を呼びましたが、確固たるアイコンとして存在します。左下:柔らかなナチュラルなアッシュ素材とグレーの組み合わせは今までの高級車とは違う印象です。右:背上の白い箇所がメリノ・レザーでメリノレザーは南ドイツの高地で育てられた最上級の牛革を丹念に鞣した希少性の高い革だそうです。座面と背下のグレー部がカシミアとウールの混毛で手触りの良い柔らかさが特徴です。
左上:アウディの電動スポーツセダンe-tron GT。ペットボトルをリサイクルの糸で織ったカスケードを使用したレザーフリーパッケージ内装。左下:VOLVOのEV-C40はレザーフリーの内装材ノルディコを採用。右:レンジローバー・ヴェラールのインテリア。ヴィーガン対応としてデンマークのテキスタイルメーカーのクヴァドラ社のウールを使ったシート地を採用。

2023.5.30 PRODUCT INFO.

MD-605

クリエイティブ・ディレクター瀬戸 昇が、デザイナーからの視点で写真だけでは伝わらない製品の魅力を動画でお伝えします。
今回はA-modeからナチュラル感とモダンな雰囲気を合わせ持ったカリフォルニアスタイルのソファ、MD-605をご紹介します。

◾︎ MD-605 SOFA 製品ページ

2023.5.29 DESIGN

ミラノデザインウィークレポート

今回は開発部富所から先日開催されたミラノデザインウィークをレポートしたいと思います。私はミラノデザインウィークに初参戦、どころかヨーロッパ大陸に初上陸なので、展示会場以外の町並みや食事、ファッションやライフスタイルなど刺激の多い旅になりました。
ご存じの方も多いと思いますがミラノデザインウィーク(Milan Design Week)は、イタリアのミラノで毎年開催される国際的なデザインイベントです。ミラノデザインウィークの中心地は、展示会やイベントが行われるフィエラ・ミラノ会場の「サローネ・デル・モービレ」(Salone del Mobile)です。この会場では、イタリアだけでなく世界各国の主要な家具メーカーやデザイナーが最新の作品を発表します。一般的にミラノ・サローネというとサローネ・デル・モービレを指すことが多いですが、展示そのものはサローネ・デル・モービレの行われるフィエラ・ミラノだけでなく、ミラノ市内のさまざまな地域やショールーム、ギャラリーでも展示やイベントが行われます。

今回は3日間のミラノ滞在で、午前中はサローネ・デル・モービレを見学し午後はミラノ市街のショールームやギャラリーを見学するスケジュールでした。サローネ・デル・モービレの会場については事前にクリエイティブ・ディレクターの瀬戸から「見るブランドを絞って見ないととてもじゃないが見きれない」と聞いていたものの、実際に行って見ると東京ビッグサイト4つ分の広さの巨大な会場にぎっしりと詰まった展示ブースに圧倒されることになりました。特に主要のブランドは展示ブースも巨大で、植栽や外壁など仮設空間であることを忘れるような手の込みようでした。各ブランドともにブランドイメージや新製品の空気感が伝わるブースづくりに注力しており、予算と時間のかけ方が今まで見てきた様々な展示の中でも群を抜いていました。ミラノ市街の展示は自社のショールームだけでなくスタジオや歴史的な建造物を借り切っての展示もあり、入場まで30分以上並ぶブランドもありました。日本国内のインテリアイベントではなかなか考えられない現象ですが、インテリアそのものへの関心が一般人レベルでも高いためなのかもしれません。

肝心のプロダクトは全体的な傾向として柔らかく重心の低い印象を与えるデザインを多く感じました。システムソファであればコーナー部分をゆるいアールでつなげたり、クッションの形状の角が丸い物が多く、テーブルにしても角が丸いものが多い印象でした。素材としては一時期のようなオーク材のブームは過ぎ、明るい色味のウォールナットなどが見られました。色の組み合わせとしてもあまりヘビーではない柔らかな色彩が多く、薄めのブラウンを使用したリラックスした空気感を感じ取ることができました。瀬戸曰く、先端を行く主要ブランドのデザインテイストを翌年以降それに準じるブランドが追従していく、とのこと。

各ブランドごとのレポートを始めるとキリがないので割愛させていただきますが、今まで見たことのない素材や細部の収まり、塗装など、頭の中にあった家具で出来ることとできないことの垣根が取り払われる鮮烈な体験ができました。新製品の開発や特注製品などでより良い提案をお客様にできるよう質の良いインプットを続けていかねばならないと感じたミラノデザインウィークでした。(開発部 富所 駿)

サローネ・デル・モービレ会場のベッドブランド「Flou」のブース。製品は屋外用ではありませんが庭のような展示空間です。

左上 : Minottiのブース 顧客以外は入場できないエリアがあります。 右上 : Flexformの製品 日本ではなかなかお目にかからないボリュームのソファ。 左下 : PoltronaFlouのミラノ市街での展示 貴族の住宅を使用した展示空間で壁にはフレスコ画が描かれています。 右下 : PEUGEOTのコンセプトカー ミラノデザインウィークの名の通り、家具だけでなく最新のプロダクトデザインを見ることができます。

2023.5.29 SHOWROOM

張地と機能性と用途について

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.404(東京・広尾ショールーム)
エーディコア・ディバイズが採用しているソファやチェアの張地は、天然皮革を含め28種類152色と豊富なバリエーションをご用意しております。当社の基準に基づいて、高品質で機能性の高い生地を選定しています。家具は毎日肌に触れるため手触りはもちろん高品質なものを選定しお客様のご要望に合わせた機能性を備えた生地もご用意しています。
例えば、ペットと暮らすご家庭には引っ掻きに強い生地や防臭効果のある生地、小さなお子様がいるご家庭では汚れに強い生地やイージークリーン機能を備えた生地がお勧めです。医療関連のクリニックや高齢者施設などでは抗菌や止水機能がある生地がお勧めです。それぞれのご要望に合わせて、当社のラインナップの中からお勧めの張り地をご紹介いたします。

・ペットを飼っているご家庭、クリニックや高齢者施設にお勧めの張地
最近ではペット可のマンションも増え、室内でペットを飼われているご家庭も増えてきました。ショールームにご来場のお客様からも「ペットを飼っているので、汚れや引っ掻きに強い生地が良い」というご要望をお聞きします。ペットを飼われているご家庭にお勧めしているのがdランクの「VMシリーズ」と「USシリーズ」です。どちらの生地も表面がフラットなのでペットの爪が引っ掛かりにくく、汚れたり粗相をした場合でも水で汚れを落としやすいイージークリーンが特徴です。VMシリーズはさらに、止水機能や防臭・抗菌効果もありますのでペットのいるご家庭だけでなくクリニックや高齢者施設にもお勧めです。

・小さなお子様がいるご家庭にお勧めの張地
お子様がいるご家庭では特にダイニングでの食べこぼし等の汚れを気にされる方が多いです。リビングスペースでは、大きな面積を占めるソファを、明るい張地にしたいけれど汚れが気になり躊躇される方が多くいらっしゃいます。そんな場合は、aランクの「RXシリーズ」やbランクの「TC_ACシリーズ」がお勧めです。RXシリーズは撥水機能が施されておりますので、飲み物をこぼしてしまった時などはすぐに拭き取っていただければ染み込みずらいです。TC_ACシリーズは防汚機能や防臭機能がありますので、汚れにくい張地です。張込みタイプのソファなどには汚れにくい張地をお選びいただくと安心です。また、前述のVMシリーズもお子様がいるご家庭にもお勧めです。

・クリニックや高齢者施設にお勧めのオプション加工
クリニックや高齢者施設では耐久性や衛生面の配慮が求められます。オプション加工のファブリックの抗ウイルスコーティングは、光触媒と銀イオンにより菌、ウイルスなどに対して不活性化させますのでお勧めの加工です。

ご紹介した張地は、あらかじめ機能が備わっている生地になりますが、オプションで撥水加工や抗ウィルスコーティングを施せる生地もございます。ご要望に合わせてご紹介いたしますので、ぜひショールームでご相談ください。また当社では、安全な製品づくりのため有害な価格物質を含まないことを証明する「エコテックス®️スタンダード100」を取得した張地の採用を進めております。ホームページやマテリアルブックにそれぞれの機能を記載しておりますので、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
(ショールーム担当:西條 恵理)
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左:ラウンジチェア 001L-MODELには、撥水加工が施されたRX-5を張っています。
右上:一人掛けソファのMD-210Bには、RX-4を張っています。
右下:RXシリーズは撥水加工が施されておりますので、お水が玉状になりはじきます。
左:020-MODELチェアには、撥水加工が施されたVM-2を張っています。
右上:抗菌・防臭・防汚・静電気防止・耐次亜塩素酸の機能を備えたファブリックTC_ACシリーズ。
右下:高耐久性の人工スェードのUSシリーズ。