COLUMN

2017.10.30 DESIGN

新カタログ製作中、完成間近!!

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.66
いよいよ来週に迫ってきました2018年新作発表会。新製品を見ていただく展示会に合わせて、カタログ製作を進めていました。新製品の製作後、国内でのスタジオ撮影からロサンゼルスのロケーション撮影を行い、新カタログのコンセプトを基にまずはデレクション作業です。カタログのイメージ、見せ方など、クリエイティブディレクターの瀬戸を中心にまとめ上げて行きます。

AD CORE にとってカタログはブランドが生まれたときから最も大切なもの、製品と同じくらい重要なツールです。どんなに素晴らしいものを作っても、見せ方が良くなければ思いが伝わりません。形は決まっても製品の色やファブリックなどで、印象も大きく変わります。最近は時代性やファッションの動向なんかも無関係ではいられません。そんな沢山の要素をまとめあげて製作するのがAD COREのカタログです。様々なファクターが、あらゆる要素が有機的に繋がっています。いろんなイメージが飛び交いパンクしてしまいそうですが、最終的には手に持った感じや、紙の手触りなども良いカタログの印象に繋がります。カタログを製作するにあたっては、先月のメルマガでお伝えしているように撮影がとても大事なのですが、製品のデザインをしながら「どんなインテリアのどんなシュチュエーションで見せるのか」瀬戸はイメージして進めていきます。建物から部屋のしつらえ、調度品やディスプレイ、飾ってある花や植物まで、ちょっと総合芸術みたいなものですよね。そんなところから詳細を詰めていき、カタログ製作に落とし込んでいきます。レイアウトをどうまとめるか、グラフィックデザイナーと調整しながら、変えるべきところと継続して見せて行きたいもの、そんな要素を取捨選択するのもカタログ改版の大きな目的です。ページ立てや印刷の折なども考慮しないといけません。レイアウトやデザインが決まってきたら今度は膨大な校正作業が始まります。文字や数字の確認は、根気だけが頼りの作業。老眼が進んで良く見えない者にとっては大変な仕事ですがそれを何度も繰り返します。しっかり見たつもりでも「え!!」と思うような修正を見つけて・・・しばし不安になったりします。

このメルマガをお送りする頃には印刷も進んで、断裁や綴じ加工等も始まっていると思います。新作展示会で、皆様に新しいカタログをお渡し出来るよう急ピッチで作業を進めています。ぜひ、新作展示会にお越し下さい。お待ちしております。(開発/武田伸郎)

たくさんの校正紙と格闘中。印刷物は通常8ページが繋がった面付け状態で印刷されます。

2017.9.27 DESIGN

2018 撮影 in ロサンゼルス

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.65
今月初め、ロサンゼルスでカタログの撮影を行ってきました。6月のロケハンの際は薄曇りのはっきりしない空模様(ロスではジューンブルームと言うそうです)でしたが、撮影本番の今回はロサンゼルスらしい真っ青な空。天候の心配なく撮影を進める事が出来ました。

撮影時間がキッチリ限られているので、スタート時間を待っていざ撮影開始です。車の駐車、製品の荷下ろし、荷扱いの場所や動線確保など、しっかり決めておかないと作業が滞ってしまいます。撮影にまつわる家具の配送や移動をお願いしているのがラテン系の人達。リーダーのラウールさんとは今回が3回目の撮影です。ラウールさんが招集するエルサルバドルの人達は小柄ではありますが力持ち、そしてとてもシャイ。今までは作業の説明や梱包の仕方など、細かく指示をして作業をチェックしていたのですが、今回のスタッフの中には作業用の手袋やカッター持参の人もいて「やる気」を感じました。(こんな事は初めてです)今までのお願いした作業スタッフの中には、巨漢のバスケットボール選手のような人やプロレスラーみたいなスタッフが来た事もありましたが(見た目の迫力だけで圧倒されます)、これが全く見かけ倒し。休憩ばかりでドリンクやフードを食べたり飲んだり・・・。見た目だけでは働き振りは判断出来ません。6年前のシルバーレイクでの撮影のときは、野性味溢れるグァテマラ人のスタッフで、力もあって動きも良いのですが作業が荒い。カッターがあるのに梱包のテープを歯で噛み切ろうとするのには困りました。(休憩用に用意したリンゴを、皮はもちろんのこと芯まで食べてしまい驚いた記憶があります・・・)今回の作業スタッフは20代の若いスタッフばかりで、フットワークも良く助かりました。今年の撮影は住宅使用の時間の関係でかなりタイトな条件でしたが、ラウールさんをはじめ作業スタッフ皆の働きぶりもあって、2日間の撮影作業を時間内に完了する事が出来ました。(最後のカットが終了するやいなや、瀬戸をはじめスタッフ全員が撤収作業に奔走する様は中々見事でした)

ロスの撮影は無事に終了。撮影後の製品戻しも、トラックで2往復する予定を1台に積み込んで作業する事が出来ました。今はカタログの製作、編集作業の真っ最中です。とても良いカットが撮影出来たので、皆様に素晴らしいカタログをお届け出来ると思います。(開発/武田伸郎)

倉庫での製品チェック。注意しないと熱中症になってしまいます。
製品移動で活躍したトラック。見た目より以外に大きいんです。

2017.8.29 DESIGN

豪華絢爛の赤坂離宮

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.64
先日、赤坂の迎賓館を見学してきました。以前は夏のみの一般公開でしたが、明治以降の建造物として初めて国宝に指定され、2016年より通年公開になりました。ネット申し込みによる抽選ですが、公開当時よりは倍率も下がり今回当選して見る事が出来ました。

現在の迎賓館は、外国の賓客に対して接遇を行うための施設ですが、もとは大正天皇がお住まいになる「東宮御所」として建設されました。10余年の歳月をかけて明治42年に完成。西洋文化を取り入れ、日本の建築技術の総力を挙げて完成した一大モニュメントでした。設計は片山東熊(かたやまとうくま)氏。「東京国立博物館 表慶館」を設計した明治を代表する建築家です。東宮御所は、第二次世界大戦の後、皇室財産から国に移管され「国立国会図書館」などの公館として使用されていましたが、外国の来賓を迎える迎賓館が必要となり昭和43年に赤坂離宮として6年の歳月をかけて改修されました。改修設計は村野藤吾氏です。

残念ながら室内は全館撮影禁止です。(この日は迎賓館所蔵の藤田嗣治氏の天井画6点が特別に展示してありました)西門から入館して、気高さを感じさせる本館玄関ホールから2階の小ホールへ導く中央階段を経て見学していきます。通路やホールも絢爛豪華。室内も天井画やシャンデリアが華やかさを引き立てます。家具のディテールも日本で言う「クラシック家具」とは一線を画す、ルネッサンス期の様式に則ったとても素晴らしいモノばかり。椅子の彫刻やテーブルの象眼の鮮やかな張り分けなど、本場欧州のクラシック家具にも引けを取らない見事な仕上がりでした。技術習得の為に職人を欧州に派遣したとも言われています。当時の日本が西洋の列強諸国に肩を並べるため、渾身の力を込め妥協を許さず造り上げた宮殿は、内装も調度品も博物館級で、前庭からの一望は都心の中心にあるとは思えないような景観でした。

1時間ほどの見学でしたが、絢爛豪華な装飾には圧倒されまくりでした。日本の技術の粋を集めた赤坂離宮、ぜひ一度は見ておきたい建築作品だと思います。
*実は、東宮御所として完成した当初、あまりに豪奢な宮殿は「豪華すぎる」という理由から明治天皇の意向に沿わず、皇太子ご夫婦が過ごすことが叶わなかったそうです。生活する空間で想像すると、何となく分かるような気がしました・・・。(企画開発/武田伸郎)

前庭からの本館の眺め。まさしく宮殿です。
こちらは主庭の噴水からの眺望です。

2017.7.27 DESIGN

2018モデルスタジオ撮影速報

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.63
うだるような暑さが続いていますが、今週今年の秋に発表する新製品のスタジオ撮影を行いました。今年の新製品の製作は、大雨や悪天候の影響で物流や配送にも影響が出てしまい、ただでさえタイトなスケジュールなのですが、さらに厳しい日程になってしまいました。撮影の前々日にようやく倉庫に製品が届いたばかり。朝イチにスタジオにトラックを着けて慎重に荷下ろし、予定に沿って撮影に入りました。

スタジオに入ると採光する窓がないので、天気や時間が徐々に麻痺してきます。そんなに時間が経ってないような気がしても実はもう日が暮れて夜になっているなんてこともしばしば。カメラマンと段取りを確認して、撮影を進めていきます。どんな順序で撮っていくか、組み合わせをどうするか。アングルを決めることも大事ですが、その「カット」をどのように使うかも重要です。いくらカッコいい写真が撮れたとしても、用途にそぐわなければ意味が有りません。瀬戸のデレクションのもと、グラフィックデザイナーとカメラマンとでイメージを固めていきます。ちょっとの振り(見え方の角度)、微妙な視線の高さが製品の見え方に大きく影響します。肉眼と撮影された画像でも見え方が全く違う場合が有ります。

製品の出し入れや移動等、撮影は体力勝負ですが最も大事なのが集中力。丸2日に渡って撮影を行いますが、集中力を切らさず乗り切るのは至難の業です。どうしても中だるみや終盤に駆け足で流したりしがちですが、瀬戸の場合は集中力が切れることがほとんど有りません。長いおつきあいになるカメラマンの丸山さんも淡々と撮影を進める方で、気分によってスピードが変わったりノリによって調子が乱れる事が有りません。今回の撮影も60カット近い撮影、最初は難航しましたが無事撮影を完了しました。

これから秋の新作展示会に向けて、製品の準備やカタログ製作が本格的にはじまります。今回撮影した画像もしっかり活かして、完成度の高いカタログに仕上げていきたいと思います。(企画開発/武田伸郎)

撮影画像をモニターでチェックしながら作業を進めていきます。

2017.6.28 DESIGN

GIACOMETTI(ジャコメッティ)展、観てきました。

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.62
先週、六本木の新国立美術館で開催されているGIACOMETTI(ジャコメッティ)展を観てきました。今月ロサンゼルスを訪れた際に、コーディネーターのYasukoさんから、ロンドンのテートモダンで開催されているジャコメッティの回顧展(250点もの作品を集めたイギリスでは最大級のジャコメッティの回顧展)が素晴らしかったとお聞きして、ぜひとも行かなきゃ思っていました。日本でのジャコメッティ回顧展を知っていたのですが、調べてみたら6月から開催予定、Yasukoさんはすでにチケット入手済みという事でした。僕はてっきりロンドンの回顧展が日本に巡ってきたのだと思っていたのですが、日本でのジャコメッティ回顧展は6月から9月まで、ロンドンで開催されている回顧展は6月から8月までと時期は重なりますが展示作品も異なるそれぞれの回顧展でした。

ジャコメッティといえば20世紀を代表する彫刻家ですが、何と言ってもその不思議なフォルムが特徴です。そのスタイルに至るまでの経過や苦悩、日本人の哲学者との交流や芸術的な背景等、この展示会で観る事が出来ました。なかでも「グッ」ときたのが、数センチにも満たない程の小さなブロンズ像。老眼の僕では視認するのも一苦労な作品ですが、その小ささとは裏腹な非常にインパクトのある作品でした。撮影禁止で残念ながら画像でご紹介が出来ないのですが、ぜひその目でご覧になって下さい。かならずやその小さな作品に見入ってしまうはずです。視力が悪い方は眼鏡を忘れずに。

実はこの回顧展を観に行くまで、自宅に置いてあるブロンズ像はジャコメッティのレプリカだと思っていました。青銅色の高さ30センチ程の置物で、大理石の上にひょろっとした独特のプロポーション。どこで手に入れたか定かではないのですが MADE IN ITALYと表記してあり 20年ほど飾ってあるブロンズ像です。ジャコメッティ展を観た後に「あれっ?」、一目でジャコメッティのレプリカでは無い事が分かりました。どこで思い違いをしていたのかなぁ・・・・(企画開発/武田伸郎)

回顧展のエントランス。大変な混雑も無くゆっくり観る事が出来ました。
左が展示会場のブロンズ像。写り込んでる人の大きさでスケールが分かります。右が20年前から鎮座する「ジャコメッティ」的な30センチ程のブロンズ像。