COLUMN

2023.7.31 DESIGNER

深みのある仕事の理由

真夏の猛暑が続いています、この10年で一番の暑さだとか、。うだるような暑さになるとアメリカのロサンゼルスへ行きたくなります。ロサンゼルスは日差しが強いのですが、海側のハリウッド辺りは真夏でも最高気温は30度を超えることはあまりなく、最低20度と過ごしやすい気温で、真冬もそんなに気温が下がりません。それは西海岸はカリフォルニア海流と言われる寒流の関係で一年中過ごしやすい気温になっています。若い頃にベニスビーチの夏に海に飛び込んで、あまりの寒さに驚いた事がありますが、冷たい海流のせいで温暖な事を知りました。逆に日本は黒潮という暖流なのに、冬寒く夏暑いのはなぜだろうと思ったことです。

7月15日から東京都現代美術家でデイヴィッド・ホックニー展が開催されています。デイヴィッド・ホックニーは86歳のイギリス人で現在はロセンゼルスに居を構えるの現代アートの巨匠です。ホックニーは1972年の作品「芸術家の肖像画・プールと2人の人物」が9,031万ドル(現在価値約127億)で落札され、未だ破られていない存命作家による最高落札価格を記録をしています。今年2月に訪問したホンビーヒルにあるワイズマン アート ファウンデーションにホックニーのフォトコラージュアートが飾られていて、同行していたロス在住のプロデューサーのYASUKOさんから、自宅のあるウエストハリウッドの近くに彼の家があり、ホックニーの代表作にもなっているフォトコラージュ作品の「ペアブロッサム・ハイウェイ」のロケーション探しと、作品製作の手伝いをして、それが代表作になっている事を誇りに思っている事を聞いていたので、自分にも近しい人のように思っていました。

YASUKOさんはパームウスプリングに建築家ドナルド・ウェクスラー設計のミッドセンチュリー住宅を別荘として所有していて、ホックニーの作品に関わる事になったのですが、YASUKOさんの造詣の深さからそうなったと想像できます。YASUKOさんと仕事をするようになり感じたのは、YASUKOさんの本来の仕事であるファッション撮影のプロデューサーであるために、ファッションやフォトグラファーなどの撮影関係だけで無く、建築、インテリア、アート、デコレーション、映画、音楽までありとあらゆる事に通じていて、今でも勉強されているという事です。YASUKOさんと知り合う20年前まではプロダクトの事は好きで家具以外の事も知りながら仕事をしていましたが、物作り中心の知識の狭い範囲での考えでした。

アメリカ西海岸に通って、インテリアスタイルの重要性を感じるようになり、建物だけでなく、家具だけでもなく、本や小物など生活するための道具だけでなく、アートやファッションや音楽、車など、生活する全てが、人の生活に関わっていて、それがインテリアスタイルにつながっている事を知りました。YASUKOさんと西海岸住宅のロケハンや取材に行くと、家のオーナーが最初は硬い表情から、だんだん笑顔になり話が弾んでいく光景を毎回見ていて、それも全ての事に通じているYASUKOさんだからこそ、オーナーと共通の知り合いがいたり、飾っているアートを深く知っていたり、置いてある本のフォトグラファーが友人だったり、どこまでつながっているの?と感心します。ミック・ジャガーやジョン・レノンとも友人とは驚きましたが、私が中学生の時に聞いていたイギリスのロックグループのELPとも近かったと聞いた時は本当に驚いて、どこまで広い友人関係なのと感心しました。

アメリカ西海岸に通うようになり、私自身の家具デザインの仕事も、プロダクトというより、インテリアスタイルの一つとして考えたデザインになってきたように思います。それも一つに偏ったスタイルではなく、様々な様式と生活に関われるように時代に合わせながら変化してきました。今では、どんな仕事もそうですが、仕事以外の事もある程度分かっていないと、深みのある仕事にならないように思います。それが分かったのが40歳を過ぎた頃なので、遅いスタートだったかもしれませんが、。でも、YASUKOさんの今でも新しい知識を知ろうとする意欲や、ホックニー自身もポラロイド写真や72歳の時に発売されたiPadを使っての画像作成など時代ごとに新しい手法に取り組んでいます。専門職以外の違う知識の多さが深みのある仕事につながっているのではないでしょうか。

8月に開催するアメリカ西海岸レポートでは初めてプロデューサーのYASUKOさんの家も紹介します。アートに囲まれた自邸はモダンすぎず、オリジナルヴィンテージ家具が置かれるセンス抜群のインテリアで岩合光昭の世界ネコ歩きでも撮影されました。その他、1970年代から90年代のハーパスバザーの全盛時代を築いたフォトグラファーのフィリップ・ディクソンの自邸やスイミングファッションデザイナーの自邸を紹介します。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

左上:1968年建築のYASUKO邸。ウエストハリウッドの山に建つ邸宅です。向こうに見える住宅はトミーフィルフィガーの息子の家で数年前に1000万ドルで購入したそうです。右上:様々なアートがあり、置かれる家具はオリジナルのヴィンテージ物です。右下:家具・彫刻アーティストのポール・エバンス(1931-1987)のダイニングセット。これほど大きなセットは珍しく8万ドル以上の価値があります。左下:デイヴィッド・ホックニーの1986年の「ペアブロッサム・ハイウェイ」ポラロイド写真を使った複数の視点から見る事をテーマにした作品。
8月末のセミナーで紹介する建築です。左上、右上:ロサンゼルスのダウンタウンにある、チャールズ・リーが1926年に設計したシアターをアップル社が買取り、7年かけて修復をしたアップルショップ。左下:1989年建築のフィリップ・ディクソン邸。世界的フォトグラファーの彼自身の住まいとスタジオを兼ねた家で、フィリップ・ディクソンの世界観で作られた空間の家。右下:1950年代に建てられたスイムファッションデザイナーのブルーロッド・ビーティの住宅。

2023.7.28 DESIGN

エレクトリックギターは木が命

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.135

先日、東京原宿の明治通り沿いに、世界初となるアメリカのギターブランド「フェンダー社」のフラッグシップショップがオープンしました。さまざまなメディアでも取り上げられていますが世界的にも注目を集めているカスタムショップです。ショップデザイン設計をクライン ダイサム アーキテクトが手がけていて、単にギターを販売するお店ではなく、フェンダー社の世界観を世界に発信する空間になっていました。ちょっとのぞいてみるつもりでしたが、ウェルカムなショップスタッフ(半数以上が海外スタッフ)の対応もあってすっかり長居してしまいました。

現代のポピュラーミュージックにおいて、フェンダー社エレクトリックギターやベースを抜きには語れないほど、世界中のあらゆるミュージシャンに愛されているブランドです。以前、このコラムでもご紹介したロサンゼルスでのカタログ撮影のロケハンの際に、世界的なロックバンド「マルーン5」のギタリスト、ジェームス・バレンタイン邸をお伺いしたことがありました。リビングにドラムセットやピアノが鎮座した、まさにミュージシャン然とした邸宅でしたが、貴重なヴィンテージギターがいたるところに置かれていました。その中にはもちろんフェンダー社のギターがあったことは言うまでもありません。マニア垂涎の正真正銘のヴィンテージギターでしたが、そんな貴重なギターをその場でアンプに繋いで弾かせてもらったのですが、とてもワンダフルな思い出です。

ソリッドボディのエレクトリックギターの製作から始まったフェンダー社は、70年以上の歴史を誇るまさにエレクトリックギターの歴史そのもののブランド。憧れのミュージシャンが奏でるフェンダーギターは、デザインや様々なカラーリングに目がいってしまいがちですが、ギターで最も重要なのが使用されている「木材」です。エレクトリックギターは、アンプに繋いで電気で音を増幅して鳴らす楽器ですが、音の良し悪しを決定するのは使われている木材です。エレクトリックギター人気No.1と言っても過言ではないフェンダー・ストラトキャスターモデルは、ボディにアルダー、ネックがメープル材の仕様がスタンダードですが、上級ラインにはボディにアッシュ材が使われています。

このショップでもアッシュ材のボディにメープル材のネックがセットされた人気のモデルが展示されていましたが、アッシュもメープルも最近更に貴重な木材となっています。アッシュとメープル材は、エーディコア製品でも最も使われている素材です。A-modeには素材感溢れるアッシュ材、NEO CLASSICOには滑らかな木肌のメープル材がメインに用いられています。家具に用いる木材は、手に触れる木肌の感触や木目の質感、デザイン的な要素が重要視されますが、楽器は奏でる音を表現するために素材を選択します。アッシュ材がボディーでメイプル材がネックのストラトキャスターは、重厚で硬質、ピッキングの反応が早いクリアで抜けの音がします。皆さんも家具に使われている木材を確かめながら、どんな音を奏でるのかイメージを膨らませてみても楽しいかもしれません。

ギター好きにはたまらないフェンダー・フラッグシップショップトーキョー、見ているだけでワクワクしてしまう空間ですが、先日ついつい再訪してしまいました。2Fのフロアをうろうろしていたら、先日試奏を勧めてくれたスタッフが僕に気がついて声を掛けてくれました。店内のギターは貴重で高価なものばかりですが、どんどん試奏を勧めてきます。ベンチに据え付けられたシステムにプラグインすれば、ヘッドフォンで自由に試奏を楽しめます。ギターショップでありがちな人の試奏を爆音で聞くこともありません。世界でも注目のお店、ギターを弾かない方でも楽しめるので一度覗いて見てはいかがでしょうか(開発 武田伸郎)

左上:世界初、オープンしたばかりのフェンダーカスタムショップ。入り口のドアにスタッフが常駐していてちょっと入り難い・・・ 左下:3Fのカスタムショップモデル展示のフロア。カリフォルニアの工房に在中するカスタムビルダーだけが制作を許されている完全オーダーメイドモデルです 右上:ロサンゼルスの撮影ロケハンでお伺いしたマルーン5のギタリスト、ジェームス・バレンタインさん 右下:ジェームスさんのご自宅には至る所に貴重なギターが・・・その中にはもちろんフェンダーのギター
左:ボディは表情豊かなアッシュ材、ネックがメープル材仕様のフェンダーストラトキャスターモデル。 右上:スタッフもお客様も海外の方多し。積極的に試奏を勧めてくれます。ベンチ脇のエフェクターにプラグインすればヘッドフォンで試奏を楽しめます。 右下:1Fにはフェンダー初のアパレルショップがあります。デニムはアメリカ製の501をリメイクしたモノ

2023.7.28 PRODUCT INFO.

ARCO

クリエイティブ・ディレクター瀬戸 昇が、デザイナーからの視点で写真だけでは伝わらない製品の魅力を動画でお伝えします。
今回はAD COREから精巧な曲線美を持つチェアシリーズ、ARCOをご紹介します。

◾︎ AD-011 CHAIR 製品ページ

2023.7.25 SHOWROOM

カウチソファとコーナーソファ

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.410(東京・広尾ショールーム)
ソファをご検討いただいているお客様は、L字型のソファをご要望される方が増えています。L字型といっても、カウチソファやコーナーソファなどバリエーションがあります。ゆったりとした広さで贅沢感があり、脚を伸ばしてくつろげて大人数で座れるのが人気の理由です。憧れる方が多い一方で、「圧迫感がでるのでは?」「狭い部屋には向かないのでは?」といった声も耳にします。自分の家にはどのタイプが合うのか?カウチソファとコーナーソファの違い、配置のバリエーションなどL字型ソファ選びのヒントをご紹介いたします。

どのタイプのソファでも、購入前にサイズを確認するのは大切なことですが、L字型のソファはお部屋に占める面積も大きく窓に掛かる場合も多いので、周囲の家具との距離や動線が確保できているか確認が重要です。動線が取れない場合は、サイズや向きを変える検討をすることが必要です。部屋の平面図をお持ちでしたら、図面にレイアウトいたしますのでご来場の際にお持ちください。
L字部分があるソファは大きく分けて「カウチソファ(シェーズロング)」といわれる寝椅子タイプのソファと「コーナーソファ」です。カウチソファは、脚を伸ばしてゆったりと座れる寝椅子部分がついているのが特徴です。片肘タイプのソファと組み合わせて使うことが多いです。カウチソファを置くときは、背もたれをどちら側にセットするかが重要です。壁や窓側につけると部屋の中央が空き、お部屋が広く見えます。背もたれが部屋の中央にくるように配置すると、スペースがソフトに区切られ、リビングとダイニングのゾーニングがで、サイズによってはコンパクトな空間にも設置ができます。一方、コーナーソファはL字のコーナーを持つソファで、部屋の角を有効に使えるのが魅力です。もともと大勢で座ることを目的としたソファですので、二辺に背もたれがついています。また、パーツを組み合わせるユニット型やモジュールタイプも多いので、部分的にオットマンを組合せることもでき、部屋の広さや用途に合わせてアレンジが可能です。広い空間ではコの字型に組合せをしたり、横長のリビングに配置したりアレンジが豊富にできるのも魅力の一つです。

エーディコア・ディバイズでは様々なバリエーションのソファをご用意しています。カウチソファ、コーナーソファそれぞれの特徴を理解して目的やお部屋に合ったソファをお選びいただければ、リビングで過ごす時間も快適です。ショールームではご相談を承っておりますので、ぜひご来場ください。
(ショールーム担当:西條 恵理)
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カウチソファのMD-805。肩肘タイプのソファは2人掛けと3人掛けがありますので、スペースに合わせてサイズをお選びいただけます。
MD-805プロダクトページ▷
左上:ユニットタイプのコーナーソファMASSAⅡ。L字型のコーナー部分はオットマンにして抜け感を出しています。 MASSAⅡプロダクトページ▷
右上:3人掛けソファと肩肘タイプのソファを合わせコーナーソファに配置したMD-705。 MD-705プロダクトページ▷
左下:コンパクトなサイズ(約W2100)でカウチソファが可能なMD-505。 MD-505プロダクトページ▷
右下:120°のコーナーを持つソファMD-211。 MD-211プロダクトページ▷

2023.7.21 SHOWROOM

お部屋にぴったりな収納家具

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.409(名古屋・栄ショールーム)
皆様はご自宅でどのような収納家具をお使いでしょうか。日常使うちょっとした小物や常備薬、毎日は使わないけど無いと困るグッズなど、日々の生活で溢れてしまう物を収納できる家具はやはり重宝します。収納するための家具ではなく“見せる収納” “様々な用途を持たせた収納家具”として、キャビネットやTVボードは多くのお客様からご要望をいただいています。今回は特注品も含めてお部屋に合わせた収納家具をご紹介します。

最近は、壁掛けやスタンドタイプのテレビも多くなり、リビングで存在感のあるTVボードは敬遠されがちですが、インテリアの風格を高めてくれるTVボードには根強い人気があります。当社のTVボードは、木扉だけでなくAV機器のリモコン受信ができるようガラス扉やルーバー扉のご用意があります。ご要望がありましたら、お部屋に合わせて仕様やサイズの変更も承っております。TVボードは、テレビのサイズによって大きさのバランスは重要です。レイアウトなどでお困りの際は、お気軽にスタッフまでご相談下さい。また、飾り棚としてお使いいただけるキャビネットも見せる収納としてご要望が多い家具です。飾るアイテムに合わせて扉や棚板をガラスにしたり、内側に照明を入れるなど特注製作が可能です。TVボードやキャビネット以外にも、使い勝手の良さにこだわった収納のあるデスクやドレッサーなど、デザインにも機能面にも配慮をした家具をオーダーできるのは、受注生産をしている当社ならではです。

こんな収納があったら良いな、といったお客様の声をどんどんお聞かせください。ご希望に合った収納家具をご提案させていただきます。どうぞお気軽にショールームへお越しいただき、スタッフにご相談ください。                                        (ショールーム担当:水野 未佳子)
ショールームご来場予約はこちら▷

左:有効壁面に合わせたサイズで、材や仕様にもこだわった特注TVボードと特注キャビネット。 右上:規格製品のTVボードに合わせて、サイドボードを特注いただきました。 右下:前面をガラス扉とした特注TVボード。お好みで唯一無二の特注家具をお造りします。
左:デスクの奥にデザイン性のある収納を設けた特注デスク 右:鏡がセットされた特注ドレッサーです。通常はデスクとしてご使用いただけます。