COLUMN

2015.7.7 DESIGNER

2015新春アメリカ西海岸レポートのアンケート結果!

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.47
2015アメリカ西海岸レポート(Vol.9)は今年の1月の東京から4月の沖縄まで全国8カ所でセミナーを開催しました。昨年の10月に取材した9軒の住宅、アパートメント、ホテルなどテイストの違うインテリアスタイルを紹介したレポートは、500名近いお客様にご覧になっていただき、セミナー後に参加の皆様にどの住宅が良かったのかアンケートしました。プロの皆さんがどのスタイル、どの建築が良かったのか聞けるのは興味深く、私自身楽しみなアンケートです。次の2015Summerアメリカ西海岸レポート(Vol.10)がお盆休み明けに始まりますので、その前に結果を発表いたします。

1位:Beverly hills house /イーストコーストスタイルのアメリカンハウス 1936年建築
ビバリーヒルズに建つ1936年の住宅です。フェデラルスタイル(東海岸スタイル)の住宅で、弁護士の女性と女のお子さんの二人でお住まいで、オバマ大統領もロスに来る時にはよく訪問する家です。2007年にこの家を購入し、友人のデコレーター、マーティン・ローレンス・ブラードの手によってリノベーションされました。アメリカの中流階級以上には人気のフェデラルスタイルで、ジョージアンスタイルを取入れたインテリアになっています。大人のインテリアの住宅でした。

2位:Industrial Loft /ナビスコ工場のロフトハウス 1925年建築
今、話題のダウンタウン近くのアート地区に建つアパートで、1925年建築のナショナルビスケットカンパニー(ナビスコ)の元工場だったビルをアパートメントに改装したビルです。フォトグラファーのご主人とDJの奥様の2人でお住まいで、工場内の最上階の2フロアを改装しました。窓のあるレンガの壁やビスケットを焼くオーブンがある為に熱に強い銅製の窓枠をそのまま使い、NYのソホーをイメージし、シャヴィーな雰囲気を残したインテリアでした。今、アメリカの若者が憧れる住宅です。

3位:Venice house /建築家の環境住宅 1995年〜今も建築
海に近いベニスに建つ建築家の環境住宅。環境住宅の建築で有名な建築家デイビット・ハーツの住宅で、様々な環境に配慮した装置や新しい機器を実験しながら家族と住まう住宅です。1995年から建築が始まり今も改装が続いています。中庭のプールが南洋の雰囲気を出していて、そのプールに面した部屋がパーティスペースになっていて、住宅を作るために機器を提供した企業にその機器の発表の場として貸出すというアイデアで、いつも最新式の機器を使う住宅として進化しています。

2007年に始まったアメリカ西海岸レポートも次回で10回目のVol.10になります。そんなになるかと自分でも驚きますが、毎回違った新しいインテリアスタイルをお見せして、紹介した建築も90カ所を超えます。8月のアメリカ西海岸レポート(Vol.10)でも8カ所をレポートいたします。今回のインテリアも良い写真が沢山あります。お楽しみに!
                                (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

1位:Beverly hills house /イーストコーストスタイルのアメリカンハウス 1936年建築
2位:Industrial Loft /ナビスコ工場のロフトハウス 1925年建築
3位:Venice house /建築家の環境住宅 1995年~今も建築

2015.6.30 DESIGNER

今のカリフォルニアスタイル

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.46
先日、ロサンゼルスへ行ってきました。9月に撮影に使用する住宅を探すロケハンなのですが、今回もいろいろな住宅を見る事ができました。今回のロサンゼルスはずっと曇りで小雨もパラつきいつものカラッとした天気と違い、日本の梅雨のようでした、、。いつもは青い空と乾いた空気の中で住宅が見れるのですが、曇天の中でのロケハンは、光の回り方やカリフォルニア建築らしさを感じるには難しいロケハンでした。一日も晴れの無いロサンゼルスを走りながら感じた事をお話します。

数年前までは景気の後退から、住んでいた家をそのままに売りに出ている住宅が多かったのですが、アメリカ経済が好転して、ウエストハリウッドからビバリーヒルズの高級住宅街は、建築中の住宅が多く見られました。そこで目立ったのが、古い住宅をリノベーションするのではなく、更地にしての新築住宅です。そのオーナーの多くはIT関係等で財を得た若い人や海外からの移住者だそうです。そういった人たちはヴィンテージ等のイメージではなく、白いクールモダンなデザインを好むらしく、外観もシャープで夜も照明がビカビカで、外観からしてあまり趣味の良い感じではなく、成金趣味的なデザインが多く見られました。

ロケハンに初めて訪れた12年前は、新しいモダンな住宅に圧倒されたのですが、100軒以上様々な住宅を見てきた今は、古い住宅をリノベーションして、ふたたび価値を与えられた家は心地よく、今のカリフォルニアスタイルのインテリアに通じる心地良く感じます。今回のロケハンでも訪問した住宅の中にも新築モダン住宅がありましたが、温かみが少なく、ぱっと見た目は「おーっ」となるのですが、住むとなるとどうなんだろうと思ってしまいました。大人の住まいというよりは、趣味の良い成金のような、。程よいヴィンテージ感のある住宅のほうが、余裕ある生活が感じられて、心地よく感じられるのですが、、。様々な住宅を見てきましたが、住宅は住まわれている方のイメージが反映されます。インテリアは知性の表現と西洋では言われるのですが、小物一つやアート一つで印象がまったく変わります。

今の流行のダウンタウンエリアにある話題のエースホテルにも行きました。場所も治安の良くなく、綺麗な場所ではありません。ロビー回りやスタッフがあまりにラフすぎて、なんだか大人のホテルとは違うように思います。日本の雑誌に多く取り上げられて今の西海岸を代表するホテルと紹介されていますが、、。その近くにある、以前取材に行ったブルックスブラザーズのビルを改装したロフトの一階にある、カフェレストランのボッテガ・ルイ/Bottega Louieに行きましたが、綺麗なインテリアとスマートなサービスは大人のカフェという感じで朝から活気があり、清潔感のあるスタッフの服装と接客は心地良く感じました。メルローズにある話題の人気レストランのCecconi’sでも同じように清潔感あるインテリアとスタッフが心に残りました。

今、日本では西海岸スタイル、カリフォリニアスタイルを十把一絡げとして、雑な仕上げがナチュラルとして取り上げられていて、インテリアも手作り感満載なラフなインテリアがカリフォルニアスタイルとして紹介されています。ファッションも清潔感があるように思えません。先のブログにも書きましたが、ジーンズでも清潔感のあるシャツ。髭があっても手入れされていて、髪の毛は刈り上げられて清潔感があるのが、今の西海岸ファッションです。ファッションの世界ではエフォートレススタイル(大人カジュアルスタイル)が主流になっています。インテリアの世界でもエフォートレスな大人のインテリア、大人の西海岸スタイルが望まれているように感じました。

今回のロケハンした住宅の中から2軒ロケをする予定です。カタログの完成は11月の予定です。まだ先の話ですが、お楽しみに!                              (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

左:昨年完成したウエストハリウッドのモダン住宅。広々としたモダンな空間ですが、美術館のようで住むには、、。右:2年前に建てられたアメリカンスタイルの住宅。30代の若い夫婦とお子さんが住まわれていましたが、優しいインテリアで住み心地が良さそうです。
左上:ダウンタウンにあるエースホテル。夜は怖い場所にあります。ロビーもスタッフもラフな感じで、環境もそうですが、清潔感が無いように感じました。左下:ウエストハリウッドにある散髪屋さん。今日も清潔感のある髪型に整えていました。右上:ダウンタウンにあるカフェ、ボッテガ・ルイ。働いている人たちが本当に清潔感があり生き生きとしていました。右下:メルローズにある話題の人気レストランのCecconi's。ここも清潔感に溢れています。

2015.5.29 DESIGNER

長持ちする物とは

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.46
最近ますますアメリカンファッションが席巻し、イタリアブランドの靴メーカーでもコンバースのワンスターなどを真似たスニーカーを出すようになりました。アメリカブランドだけでなく、ヨーロッパブランドも70年代のアメリカファッションがお手本のようです。その頃アメリカで流行ったアディダス・スタンスミスもまた流行っていて、まっさらなスタンスミスを履いている人を見るようになりました。

高校生の時、38年前のスタンスミスはハイレットという名前で、白に後ろのグリーンが綺麗で、アメリカにスケボー留学していた時に買いました。さすがに真っ白いスニーカーを買って履く勇気は無いので、15年くらい眠っているスタンスミスを出して履く事にしました。いい感じによれていて久しぶりのスタンスミスもいいかもと一日履いていました。家に帰って脱いだスニーカーを見てびっくり、後ろのグリーンのマークが無くなっていました。人工皮革のグリーンのマークがジーンズに摩れて取れてしまっていました。何年か前にイタリアの有名ブランドのト○ズのウレタンソールの革スニーカーを買って、2年くらいでウレタンのソールが加水分解してボロボロになっていてびっくりしたのですが、それを思い出しました。加水分解とは反応物と水分が反応して生成物に分解する事で、特にスニーカーの底に使われるウレタンゴムに多く見られます。履かずに大切に取っておいたスニーカーがもしあれば、お気をつけ下さい。

家具の世界では椅子やソファの張りに使われるビニールレザーと呼ばれる塩化ビニルや、合成皮革のポリウレタンも耐性期間に差はありますが、ビニールレザーはカチカチになり割れて、ポリウレタンはボロボロやベトベトになるものがあります。ビニールレザーや人口皮革は強いと思われている方は多いのですが、置く場所によってもかなり変わります。昔仕事をした、温泉施設の日光の当たる場所にあるソファが半年でボロボロになった事があり、汗などの水分と日光が当たる場所にはビニールレザーは使ってはいけないんだと実感しました。国産レザーメーカーではそのような事が少ない素材も出されていますので、指定や購入される際は素材をよく吟味して下さい。人口皮革やビニールレザーは汚れに無敵と思われている方が多いのですが、新しいジーンズの色の移行があったりもするのでお気をつけ下さい。革製品は高いですが、大切に使うと本当に永く持ちます。私自身持っている革靴は20年以上履いていますが、まだまだ働いてくれそうです。

表皮だけでなく、ソファ等の見えない場所に使われる素材も大切です。クッション材に使われるウレタンフォームも粗悪品だと劣化が早く、ボロボロになりますが、その下にあるスプリング素材が問題です。かなり前に流行ったウェビングテープというゴム素材のテープが使われるソファが流行ったのですが、ボロボロと劣化して伸びてしまい、座が下がり問題になりました。今はその対策をして長持ちする弾性ベルトが出ていますが、そのイメージが強いので使いたくありません。ゴム素材は長持ちしても10年程度ではないでしょうか。進んだ技術を持つ車のタイヤもそんなに持つタイヤはありませんよね。前々回のメルマガでも書きましたが、53年前の愛車の車のシートの中に使われているコイルスプリングはまだしっかりとしていました。やっぱり鋼線のスプリングは強いんです!家具は大切に使えばずっと使えます。中が見えないソファでも触って、メーカーの方に聞いて中の素材を知って選んで下さい。

来月早々にアメリカ西海岸へロケハンに行きます。今年も西海岸でカタログ撮影を行う予定です。街では何が流行っているのでしょうか。帰ってお伝えできればと思います。    (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

20年くらい前に購入したフランス製のアディダス・スタンスミスです。本体の革やラバーソールはしっかりとしていますが、グリーンの塩化ビニールの表面はボロボロでジーンズに摩れて取れてしまいました。
黒の革靴は20年以上履いて昨年ソールを革底からビブラムソールのゴムに張り替えました。雨にも履ける靴に変身です。茶色の革靴も15年くらい前にミラノで購入しましたが、かかとだけ直してまだまだ履けそうです。ちゃんとした革靴は手入れして休ませながら履くと何年でも履けます。天然素材は強いです。(革靴にはシューズキーパーは必需品です)

2015.4.27 DESIGNER

時代を超える物、残る物

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.45
1月に始まったアメリカ西海岸インテリアレポートが先週、沖縄で終了しました。今回で9回目になるレポートでは、前回までとは少しスタイルが違い、1930年代のフェデラルスタイル(東海岸様式)やアールデコビルも紹介しました。来場された方からは今回はイア新鮮で良かったと、沢山の感想をいただきました。LAの住宅はケーススタディハウスに代表するようなシンプルモダンな建築が多い印象ですが、アメリカ人の多くが好むクラッシックスタイルがメインを占めます。今回はその一部をお見せできたのではないでしょうか。

スタイルは違っても今回も紹介した建築の多くは、リノベーションされた建築でした。1925年のナビスコの工場だったビルや、ダウンタウンに建つ1930年のイースタンコロンビアビルをリノベーションの写真を見ながら、ホテルオークラの建て替えを惜しむ声が世界中から届いているニュースを複雑な気持ちで思い出しました。ホテルオークラ東京の立て替えが発表されて、スティーブン・ホールなど建築家だけでなく、トーマス・マイヤーやポール・スミス、トム・ブラウンなど著名デザイナーからも反対の声が上がっています。ホテル側では東京オリンピックに向けて、様々な事情があっての建て替えだと思いますが、世界から惜しまれる建築とインテリアが姿を消すのは残念でしかたありません。私も会員の国際文化会館は、1955年に建てられた前川國男、板倉準三、吉村順三の共同設計の建築を保存改修をされて日本モダニズムを代表する姿を存続、保存されて活用されています。そのような道が無かったのか、、。

今回のレポートで紹介したアート地区に1925年に建てられたナビスコの工場は、90年経た外観はそのままですが、中の共有部のリノベーションも最小限で、ビスケット工場だった銅製の窓枠やエレベーターもそのままで、訪問した部屋も柱が工場だった時のままを残して雰囲気作りをしていました。一方ダウンタウンに建つ1930年のアールデコのランドマーク的なイースタンコロンビアビルは百貨店として建てられましたが、荘厳なエントランスだけでなく、本体もそのままに共有部のプールを増設し、143戸の価値あるアパートメントとして生まれ変わりました。どちらも昔は危険なエリアでしたが、近隣の価値を上げ、若者が集まる人気のエリアになっています。ビルだけでなく住宅も1930年のフェデラルスタイルの家や1963年にジョン・ラトナーが手がけた住宅も50年以上経て未だに大切に使われています。

横浜の古い雰囲気のあるビルも次々に取り壊されて、リノベーションと称してファザードだけを残してほとんどを壊す手法を沢山見てきました。数軒あった村野藤吾の住宅も全て取り壊されてマンションになってしまいました。建主や持ち主ではないので、何も言えませんが、今は違う価値を見いだすリノベーションも道の一つとしてあるように思います。アメリカでは、イームズ等の家具に価値をつけて商売にするだけでなく、古い建築にも価値を見いだす手法のビジネスは環境に配慮した、新しいビジネスのように思います。ファッションだけでなく、建築やインテリアのアメリカのビジネススタイルを考えてみるのもいいのではないでしょうか。きっと素敵な建築やインテリアができると思います。

そろそろ秋の新作発表会に向けてデザイン作業も佳境です。永く使われるような物を創らなければいけません。強度も永く使えるデザインも大切です。建築、インテリアと一緒に時代を超える家具も、、。
                                 (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

1925年に建てられたナショナルビスケットカンパニーはビスケットロフトとしてリノベーションされました。外の窓枠はオーブンの熱に強い銅製の枠で90年経た今でも機能は十分です。部屋の真ん中の柱は工場跡だった事を見せるためにそのまま残しています。今、アメリカの若者が憧れるライフスタイルのインテリアです。
1930年に建てられたイースタンビルは世界的なアールデコのランドマーク的な存在です。ワンタイム百貨店だったビルをアパートメントとしてリノベーションされて売り出されました。屋上にはグリーンに囲まれたプールがあります。このビルがリノベーションされた事によって回りの開発も進み、エースホテルも出来て地域の治安も良くなり価値が上がりました。

2015.3.27 DESIGNER

見えないけど大切

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.44
先日、ソファ工場へ行ってきました。打合せが終わり、製品チェックの為に製造ラインを歩いたのですが、まだ張り上がっていないソファのフレームを見ながら、ソファは中の構造が見えないけど、座り心地や耐久性に関わる大切な所という事を改めて感じました。その後、ガレージで久しぶりに愛車のメンテナンスをしました。30年前に購入してずっと使い続けていた座席が、へたって掛け心地が悪くなってきたので、中身をリフレッシュしました。その時に中のウレタンやフェルトなど必要なパーツをソファ工場の職人さんに送ってもらい作業をしたのですが、購入してずっと座ってきたのに中についてはまったく知らず、張りを剥がした初めて見るシートの構造に感心しながら、ソファ工場での事を思い出しました。

家具と車の構造の違いはフレームです。フレームは家具は木材が使われていますが、車はスチールが使われています。強度も必要ですが、燃えないような構造でないといけません。家具はそのフレームにタッカーというホッチキスのような針で打ち付けて止めていきますが、スチールフレームにはタッカーが使えません。その為に金具に引っ掛けたり、針金で止めたりをして張り上げます。中身のクッションに使われるバネや、ウレタンはあまり差はありませんが、張り方法が違うので最初は戸惑いました。張りを剥がして見ると、中が全てバネ構造になっていて、かなり凝った作りをしています。53年前の道路事情に合わせたのでしょうか、振動が身体に伝わらないようにバネの上に身体が乗るようになっています。私と同い年の1962年生まれの53年間そのままの構造が現れた時には感動しました。53年前のドイツ車のシートは凄いなと。学生時代に中古の軽自動車、1972年製のスズキ・フロンテクーペを乗っていましたが、シートはへたって表皮のビニールレザーもボロボロでした、、。その頃の技術力の差だったんでしょうね。

30年前にアメリカ西海岸でレストアされて日本に来たので、下張りの麻布はボロボロでウレタンも少しへたっていましたが、まだ学生時代の車よりましです。表皮はまだ大丈夫だったので、今回は中身のみ張り直しました。ソファではフラットで自由に身体を動かせようにしなければいけませんが、車のシートは前後、左右に加重がかかり、身体をホールドする必要があります。その為に左右に盛り上がりを付けながら形を作っていきます。結局2席のシートの中身を張り替えるのに8時間以上かかってしまいました。おかげで、1962年製の身体は筋肉痛になってしまいましたが、カルマンギアのシートは新品のような描け心地になりました。

椅子も構造は表から見えますが、座や背の中身は見えません。ソファについては張り上がった固まりなので、構造がまったく見えません。また、中身を見る機会も普通はありません。でも、その中がとても大切なんです。耐久性や掛け心地に影響するのが構造です。デザインする時に、椅子はフレームの構造を描くので製作工場へ意思が伝え易いのですが、ソファは中の構造まで細かく描けません。工場での職人さんとの試行錯誤がとても大切なんです。皆さんもソファを選ばれる時にデザインだけだなく、中の構造も気にして見て下さい。中に何を使ってどのような構造かきちんと話せる、ショップか営業から購入されて下さい。

今年はミラノサローネには行きません。昨年からキッチン展のある年の隔年に行く事にしました。その代わりにアメリカ西海岸へロケハン取材に行きますので、夏頃取材レポートをしたいと思います。その前にソファ等見えない所をお見せする家具セミナーをするかもしれません。お楽しみに!          (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

左上:1962年生まれのカルマンギア。今年で53歳です。右上:シートを外して作業の始まり。これが大変でした。 左下:30年経たチップウレタンはまだ使えそうです。右下:バネの上に張られた麻布はボロボロでした。
左上:スチールフレームの上に細いコイルスプリングが無数に使われていました。本当に手がかかっています。右上:麻布の代わりにメッシュ布を張り、その上にフェルトを置いてナイロン糸で止めました。左下:両脇にはウレタンで両側を盛り上げます。その上に古いチップウレタンを貼ります。右下:完成!張り上がりはホールド性があり描け心地が良くなりました。
左:NEO CLASSICOの016モデルは伝統的なデザインで座にコイルスプリング、背はウェーブバネが使われています。 右:A-modeのMD-505シェーズロングの座はウェーブバネが全面張られて、背は弾性ベルトがクロスに張られています。ブルーのテープは背の下が下がらないように伸びないテープが使われています。