COLUMN

2014.6.30 DESIGNER

2014西海岸インテリアレポートアンケート結果!!

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.33
5月28日から始まったミラノレポートは東京、名古屋、大阪、福岡の4カ所で800名以上のお客様に参加いただき、ミラノサローネやミラノ市内イベントなどミラノデザインセミナーの関心の高さを再認識しました。次回も価値ある情報をお届けできるようなセミナーを企画いたします。でも、ミラノセミナーは取材した内容をできるだけ多く、正確に伝えるための体力は本当に大変なんですよ、、。

ミラノ取材への出張直前までアメリカ西海岸セミナーを開催していました。今回もどの建築が良かったかアンケート投票をしていただいていましたが、発表がまだでしたので、結果を発表いたします。セミナーの中でレポートした住宅は9軒、その中で好きな住宅のベスト3のアンケートをお願いしました。今回はいつもの住宅だけでなく、アパートメント、ホテルや公共建築もレポートしたので私自身結果が楽しみでした。700名近いお客様からいただいた結果は!

第1位はマリブのアカデミー賞受賞者の住宅、2位はエンチーノの女性建築家の住宅、3位はサンタモニカのヴァイスロイホテル。4位はパームスプリングスのYASUKOさんの禅ハウスでした。1位の住宅はモダンすぎず、大きすぎず、ちょうど良いリアリティの感じる家で、2位の女性建築家の住宅は1980年代にリノベーションされ、30年以上経た時を経ても新しく感じる家でした。3位のホテルは女性デコレーターが手がけたハリウッドリージェンシースタイルのデザインホテルでした。僅差で4位だったのは、カタログ撮影やお客様のツアーでお世話になっているLA在住のYASUKOさんのパームスプリングスの別荘。本物のヴィンテージ家具が配置されたインテリアは見事でした。

先日、一時帰国されたYASUKOさんとお会いしたのですが、当社の建築巡りツアーが仕事に役立ったと感謝されました。世界的なファッションブランドのクライアントから、CM撮影のロケーション場所で難しいリクエストがあり、昨年10月に私たちのツアーで訪れたLA市内に建つカソリック教会の天使の大聖堂の事を思い出して、提案したら、OKになりクライアントから感謝されたそうです。アメリカ西海岸ツアーの住宅や建築は、いつもYASUKOさんと二人で視察場所を悩みながら決めています。今年の10月のツアーでは住宅だけでなく、LAダウンタウンのホテルやショップ、サンタバーバラのスパニッシュハウスなど様々な建築が見れるように検討しています。ツアーのお客様だけでなく、私自身、コーディネーターのYASUKOさんも楽しみになるツアーだからこそ、良いツアーになるんです。
                                  (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)
アメリカ西海岸ツアーのサイトへ▷

第1位:マリブの海岸から少し上がった丘に建つ1960年代の住宅をリノベーションした家。アカデミー賞の音響賞を3度受賞したパー・ハルバーグさんの自宅でした。本物のオスカー像はずしり重かった、、。
第2位:エンチーノの山に建つ1950年代の住宅を30年前にリノベーションした家。フランク・ゲイリー事務所で働き、独立した女性建築家のラッケル・バートさんの自宅で、30年経たとは思えないくらいモダンで奇麗な住宅でした。
第3位:サンタモニカのデザインホテル、ヴァイスロイホテル。外観はホリデイ・インそのままですが、女性デコレーターのケリー・ウェスラーが手がけたハリウッドリージェンシースタイルのインテリアは見事でした。
左:第4位、パームスプリングスのZENハウス。YASUKOさんの別荘ですが、本物のヴィンテージ家具が配置されたインテリアは見事でした。プロのデコレーターのようなインテリアです。 右:世界的なファッションブランドに使われた天使の大聖堂。スペインの建築家ホセ・ラファエル・モネオによって設計されました。

2014.5.29 DESIGNER

インテリアは総合力とバランス

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.32
ミラノレポートのスライドを製作する為に、取材した写真の編集作業をしていました。撮影した写真をそのまま使用するのではなく、Photoshopでパースを直し、暗さや色なども補正して加工しています。広角レンズを使うインテリア写真では縦方向にパースがつくのと、斜め取りの時にパースがきつすぎる時があるので、加工しないとちゃんとした空間に見えません。今回も数千枚の写真の中から1200枚の写真を選んで加工し、その中の600枚を使用しました。

取材をした内容や、プレスリリースを見ながらスライド原稿を作り終えて感じたのは、インテリアの力です。家具はそれだけで存在しているのではなく、空間、レイアウト、組合わせ、小物など、総合的な関係から存在しています。どれが欠けてもいけません。それができているブランドのブースは人気があり、ヨーロッパの低迷する景気の中でも売上げを伸ばしています。それを感じたのが、あるブランドの展示です。いつもミラノサローネ会場で注目されるブランドのブースが、今年とても残念な展示だったからです。そこでもらったプレスリリースは、なるほど、立派なテーマだったのですが、、。著名デザイナーがデザインしたブースのデザインだけでなく、家具の置き方やデコレーションが、???というような様子で、観葉植物がプラスッチックの鉢のままで置かれていたりで、とてもインテリアと呼べるものではありません。わざと狙っているのかと思ったほど、、。展示されている製品も良く見えませんでした。

集客が多く、素晴らしいと感じたブランドは製品単体の置き方でなく、スタイルとしての展示ができている所でした。空間のデザイン、レイアウト、デコレーションのトータルバランスが取れていて、置かれる製品の本来の美しさをより引き出しています。その中でも空間の良さを左右するのはレイアウトとデコレーション。小物使いや家具とのバランスが取れている展示はリアリティがあり、本当に心地良い空間になって、来場者の共感を得られるようです。ミラノで良かったのは、Moooi。以前は巨大な馬の照明や変わったビジュアルが目立つ製品本位の展示だったのですが、今年は空間とトータルバランスの取れたスタイル展示になっていました。撮影や取材で訪れるLAの住宅は生活するリアルなインテリアですが、その中は建物だけ、家具だけ、でなく、小物やそれらを組み合わせるデコレーションがされています。ミラノサローネの会場でも再認識しました。

ミラノで取材した写真は家具の写真だけでありません。今回もそれを展示する空間、花や、小物のデコレーションの写真も多数収蔵したCDを作りました。お楽しみに!
                               (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

集客力のあるブランドはスタイル展示で、製品だけでなく、空間、デコレーションまで総合的にバランスが取れています。左上、左下:Moooiの展示は歴史的建築物のフォトグラファーのマッシモ・リストリの大きな写真に合わせての展示とデコレーションは見事でした。右上:男っぽい展示はドルドーニの世界。右下:チッテリオの世界はエフォートレススタイル。
左上、左下:どのブランドかは書けませんが、チープな展示空間にてきとうな置き方、観葉植物も受け皿無しのプラスッチックの鉢のままで置かれます。右上:金ぴかの展示は何の為なのか、展示している製品が分かりません。右下:アートな家具もこの時代方向が違うように思います。

2014.5.26 DESIGNER

物の本当の価値

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.31
最近、いろいろな所で本当の金額が分からない時があります。日本の良さは価格表示が公正で、同じ条件で品質など中身も比較できて、安心して購入や利用ができる所でした。販売する側では価格.Comなどで価格を比較され、販売金額の競争が激しくなっていています。その中で、表示する金額や中身の量で、安く見せようとする販売が目立つようになってきました。

ドラックストアなどで、ティッシュボックス5個入りの値段表示で店頭に並びますが、200枚組400枚が当たり前だったのが、180組360枚、150組300枚まで、サイズも小さい物があります。鼻をかもうとしてあれっ、なんだかサイズが小さいと思って広げてみるとサイズが小さい、、。通常サイズが244ミリ×275ミリが195ミリ×205ミリで、面積60%のサイズでした。トイレットペーパーもシングルが標準55メートルが40メートルや30メートルへ。長さだけでなく、ティッシュと同じ、幅まで小さくなってる物があります。なんだか寂しい話ですが、本当の価格が分からなくなってしまいます。

街の駐車場もどこも同じ時間の金額表示だったのが、30分200円、20分500円、15分300円、12分200円など、、1時間にしないと本当の金額の比較ができません。最大料金が12時間3000円、10時間2800円、3時間2000円など小さく書いている文字をちゃんと見ないと、支払い時に予想外の金額に驚く事があります。選ぶ側もちゃんと計算しないといけないのですが、、。消耗品もそうですが、リピーターよりも今だけの商売を優先しているような事が多くなっているような気がします。

ミラノサローネで取材中に製品の重さについて聞く事がありました。展示されていた椅子が見た目より重たかったので、なぜ?と聞くと、不思議そうな顔をして、テーブルも椅子も重くなければダメでしょう。しっかりした製品の証ですと、。良い物には適度な重量感がなければダメで、それを価値として選ばれるからとの事でした。自分で製品の良さを判断する消費者が多いからだとも聞きました。日本では搬入のしやすさから、軽くサイズがある程度小さくや、掃除のしやすさから軽い椅子が望まれる事があります。しかし、長く使えるようにする為に、強度がある堅い材料を使い、見えない箇所に手をかけて製品を作るとある程度の重量になります。テーブルも同じです。

物の本当の価値を感じるにはリピートするか、永く使わなければ分かりません。そんな長く使っていただける製品作りをしなくてはいけません。今回の開発ブログで取り寄せた、一昨年に発売の椅子の見えない木フレームの加工を見て、見えない所を手間のかかった物作りを少し嬉しく感じました。  
                               (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

ミラノサローネ会場でのLEMA、GIORGETTI、CASSINA、 MINOTTIの椅子。どれも重量感がありました。重さの事を聞いたのはLEMAのセールスマネージャーでした。
当社のある広尾にある時間貸駐車場の表示です。短時間の駐車時の金額と長時間駐車する場合はどれが一番安いかすぐに分かりますか?う〜ん悩んでしまいます。

2014.4.30 DESIGNER

ミラノサローネ2014

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.30
二年ぶりにミラノへ行ってきました。ミラノサローネと言えば、ミラノ市全体で開催されるイベントと思われていますが、本来はフィエラ見本市会場で開催されるミラノサローネ国際家具見本市の事です。その期間に合わせて開催される市内イベントの総称をフォーリサローネ(サローネの外)と呼ばれています。見本市会場ではミラノサローネ国際家具見本市とユーロクッチーナ国際キッチン見本市(隔年)の展示会があり、それ以外にも国際バス・トイレタリー見本市、サローネサテリテなど、国際家具見本市とは別に展示会が開催されています。正式にはミラノのフィエラ会場で開催されている各見本市と市内のイベントを見てきましたというのが正式なんでしょうね。

フィエラ会場で開催されるミラノサローネ国際家具見本市は、販売目的で世界中のバイヤーや関係者が集まります。商談する場所として、お金をかけた展示ブースはインテリアデザイナーやデコレーターが手がけ、近年はスタイルとして見せるブースが主流です。一方、市内のイベントや展示会の多くは企業や個人のPRがメインで、デザインのみの展示が多くインスタレーションが中心です。目的がはっきり違うので、その事を頭に入れて視察する必要があります。

この数年は、期間中のホテル代の高騰は驚くばかりで、一昨年に高騰して一泊¥57,000だったホテルが¥77,000になっており、宿泊することを止めました、、。期間外なら¥10,000程度なので、ちょっと驚くような金額です。来年はミラノ万博開催で、年間通して高騰したホテル代になってしまうのでしょう。DUOMO近くのデパート、リナシャンテもスーパーブランドのセレクトショップになり、お土産コーナーの食品売り場もとても手の出る価格ではありません。そこで売っていたキャンディやチョコレートは、市内のスーパーマーケットで売っている物の倍以上の金額がついていました。これじゃ、普通の人は買えないなあ、、と思って見回すと、ロシア系、アラブ系、アジア系の人しかいません。買う人がいればその値付けをするイタリア商魂を感じて、何も買わずに出てしまいました。こんな事しているとミラノを訪れる人はいなくなってしまうのではないでしょうか、、。

今年のミラノはどうったのかというと、ホテルの高騰も影響したのか、人が少なかったように思いました。フィエラ見本市会場では人気ブースはいつも以上の混雑で、そうでもないブースは閑散としていて、市内イベントは寂しい人出だったように感じました。この数年続く景気の低迷で、ミラノ市内を訪れる人は確実に少なくなっているようです。デザインはどうだったかと言うと、一言で表現するのは本当に難しく、販売先の国やターゲットによって各社デザインや見せ方を変えているので一言では言えません。ターゲットをしぼったデザインと、そのスタイルの見せ方ができているブランドが好調のように感じました。好調ブランドの素材や色使いは独自で見るものがあります。ミラノレポートは今回、個人的な目線で厳選したレポートをする事になりました。CDも販売する予定ですので、お楽しみに!
(クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

左上:ミラノサローネ国際家具見本市のあるフィエラ会場の入り口。今年は人出が少ないように感じます。右上:国際キッチン見本市。人気のブースのキッチンは人が多く、写真が撮れません。下:家具見本市のブースは有名デザイナーの手によるブースデザインです。インテリアスタイルの見せ方のブーズはお金がかかっています。インテリアの仕事をしている人ならミラノサローネ国際家具見本市のブース展示を見るだけでもデコレーションや色使いなど参考になります。
デザインイベントが多いトルトナエリアです。左上:中心的存在のSUPERSTUDIO PU入館が登録制になって人が少なくなりました。右上:フランス車メーカープジョーのインスタレーション。車とは関係ありませんが、デザイン性を高めるためのインスタレーションが行われていました。左下:デザインイベントで作られた作品が並ぶ。今は作品だけを並べてもあまり人が立ち止まりません。右下:ゾナトルトナは工場跡地だった所で、そこで様々なイベントが開催されています。

2014.3.31 DESIGNER

素材の産地は

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.29
3月も終わりです。東日本大震災の大変さや辛い事を思い出した方も多かったのではないでしょうか。3年前の3月、年度末の繁忙期に東北の交通が麻痺し、山形にある協力工場からの荷物が出荷できず、お客様にご迷惑をおかけしました。お客様に納期変更の依頼や、トラックをチャーターし新潟経由で材料や物資を運び、帰りに製品を持ち帰る手配など、社員全員が対応に追われた日々を思い出しました。その時の納期変更を快くお受けいただいたお客様、電力が無く、ガソリン、材料も底をつく中、作っていただいた工場の方々に本当に感謝しました。あの頃は日本が一体になり、胸を熱くする日々でした。その後、農作物に対する放射能の問題、それに対する風評被害があり、放射能の検査を行い安心して物流ができるシステムを各団体が作り上げ、日本の生産管理のレベルの高さから、安心して物を購入できるようになりました。

しかし、先日、広島の協力工場へ行った時の事、少し考えさせられる話を聞きました。その工場は老舗の箱物工場で、当社のデスクを試作していただいています。日本の箱物の多くは湿度の高い日本の気候に合うように、内部に桐材を使用しています。桐材の多くは海外産ですが、高級な物には国産の桐、その中でも会津桐は木面の細かさ、白さや光沢、水を通さない気密性の高さからブランド材として使用を表記する材料でしたが、その工場の取引先から「会津桐を使うな」との声があり、その材料が使えなくなっているとの話でした。会津桐の産地は、会津でも福島県大沼郡三島町という新潟との県境で放射能の飛散の無かった地域なのですが、福島県だからという事でした。調べると、喜多方市にある桐の博物館が経営難で昨年閉館していました。原発事故の風評被害だそうです。

材木については警戒区域や計画的避難地域での材木の出荷は制限されており流通していません。また、木材自体には空気中に拡散した放射能を取込んで蓄える性質は無く、水分や養分を吸い上げるのも表皮に近い辺材で、材料に使える心材は木質化していてその機能はありません。汚染地域でサンプリングした木の樹皮を測定して数値が高かったとのニュースから木本体が、放射能が含まれていると思われているようです。ましてや汚染地域から遠く離れた地域の材を同じと思われては困ります。そのような風評被害で、日本の伝統工芸が窮地に追い込まれ、それに使うための材も流通できなくなっています。その話を聞いたのが、広島の工場だったというのも複雑な思いでした。

当社の製品は日本国内、東北の山形、九州の大分で製造しています。材料は国内で作られたフォースターの合板、ヨーロッパ、北米の物がメインで森林循環型の木材を使用し、安心できる塗料、接着剤を使用しています。産地不明の材料を使うのではなく、きちんとした管理された材料を使う事が、安心できる製品になると思います。それができるのは日本の工場だからです。震災後3年を経て、物作りは素材からという事を再認識しました。地域だけで判断するのではなく、管理された素材を使った安心した材料か製品かをメーカーに聞いて判断下さい。
                               (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

NEO CLASSICO NC-018 エグゼクティブデスク 天板トップには天然素材のリノリウムを使用。天板にはフラップ式の扉と電源コンセントを付け、可動式のオリジナルの照明スタンドが備えられています。 引出し内部には桐材を使用しています。輸入桐ですが。会津桐がきれいで良いのですが、、。
オリジナルの照明スタンドの可動式のレールには紫檀が使われます。堅く歪みません。当社の全ての照明には調光式のスイッチが使われています。