COLUMN

2013.5.27 DESIGN

驚愕の素材表現

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.11
家具の仕事に携わる事で木材を見る機会が度々あります。椅子のフレームに用いる無垢材やテーブルトップに使用する突き板など、家具材として吟味された綺麗な材料がほとんどですが、色見や木目の表情等、品質を揃えるのが年々難しくなっています。

製材したり木取りをすると分かりますが、木材にはきれいに揃った良材はほんの一部分しかありません。良材だけ使おうとすると沢山の部分を破棄する事になります。出来るだけ捨てないで活かしたいと思うのですが、プロダクト製品として家具をお届けする場合そうもいきません。色や木目も製品の一部ですから、一定のバランスが求められます。しかしご存知の通り地球規模で資材が不足し、伐採が制限されている木材も多く非常に悩ましい問題です。

そんな折り、仕事で木目柄の塩ビタイルを集める事があったのですが驚愕のサンプルが沢山集まりました。節やシミ、逆目や着色ムラが出ているものまで、本物より本物?らしい素材が沢山あるのです。普通ははねてしまうような不良材の表情を見事に表現していました。すでに奇麗な材料を再現する域を超えて、よりリアルな素材表現を実現していました。技術の進歩に驚きながら、これも資源保護の一つで「これで良いじゃん?!」と思う反面、ちょっと腑に落ちない寂しい気持ちも残りました。今まで天然木の表面材を使用していたメーカーさんが、木目プリントの化粧合板に変更する話しも耳にします。木目や色のバラツキに対処する為と、せっかく天然木を用いても見栄えがコストと折り合わなくなっているのだと思います。

AD CORE でも資材調達には大変苦労しているのですが、製造をお願いしている工場をはじめ協力会社の皆さんのおかげで可能な範囲で奇麗な材料の製品をお届けしています。大切な資源を無駄にしないよう材料の厚みや構造を工夫したり、色見が揃わないものは着色する製品に回したりするなど、創意工夫を重ねています。出来るだけ奇麗な材料を使いたい気持ちと、資源を大切にするバランスを取りながら、これからも製品をお届けしたいと思います。
(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

薄らと表出する節目、揃っていない木目と不均一な斑模様。あえて良くない材料を表現!??
MD-107のホワイトアッシュ無垢天板です。吟味された綺麗な素材で、自然な優しい木目が特徴です。

2013.4.30 DESIGN

ご近所納品事例 その1

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.10
自宅のそばにあるカフェ。一見するとチェーン店のようにも見えますが、オーナー経営のこだわりのカフェです。2フロアあるのですが、2Fがソファが並んでいるラウンジスペースで、1Fが AD CORE のチェアとカウンターチェアが並んでいるカフェスペース。ウィンドーからも覗けますが軽快なフォルムの AD – 991A フィーノチェアと、奥のカウンターにはスラリと伸びた脚のカウンターチェア AD – 913 ゼフィーロが並んでいます。

オープンした時「うちの椅子が入ってる」と、喜んで通っていたのがこの間だったような気がするのですが、いつの間にか10年近く経過していました。コーヒーが好きなので、気が向いた時に散歩がてら時々利用しています。オーナー経営のカフェだからなのか、あまり慌ただしい雰囲気も無く、本なんか読みながらまったりした時間を過ごします。ここでは携帯をいじったりしている人もあんまりいないような気がするんですよね。うちの製品はありませんが、2Fは天井が高くお店の人も殆ど来ないのでゆっくりしたい時は2Fに登ります。いつも空いてる訳ではないのですがほとんど満席になる事もありません。サイドメニューのオリジナルフードも美味しいです。

一度、木製の脚に破損があり、6年程前にメンテナンスをしましたが椅子は今も元気にがんばっています。目白駅から歩いて5分。機会がありましたらお立ち寄り下さい。(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

La Cucina Caffe ラ・クチーナ カフェのサイトはこちら。

La Cucina Caffe ラ・クチーナ カフェ。 目白駅を出て目白通リを学習院と反対側へ徒歩5分。

2013.4.30 DESIGN

真夜中のエアポート

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.13
先日、成田空港のお仕事で納品にお伺いしました。以前、メンテナンスの時もお伺いしているので、セキュリティーの厳しさは承知していたのですが、ボストンマラソンのテロ事件の直後だった事もあり、ことのほか厳重なチェックとなり入館退出に時間が掛かって夜通しの納品となりました。

今回納品させていただいたスペースには、7年ほど前から弊社の製品をお使い頂いています。ネオクラシコのラウンジチェアは木部の塗装メンテナンスを行なっているので、ある程度品質を維持していますが、アームを人工レザーで張りくるんでいる特注のラウンジチェアは、張り地の
痛みが目立っていました。経年変化もあるので、ある程度は仕方が無いところですが、痛みの原因として日々のクリーニングも考えられます。

公共の不特定多数の方がお使いになるスペースではクリーニングと消毒を兼ねてアルコールで拭き掃除をする場合も増えているようです。ビニールレザーや人工皮革にアルコールを用いると、表皮の損傷や軟化、硬化などの症状が出て耐久性が落ちてしまいます。お手入れする場合は薄めた中性洗剤で固く絞った布で拭く、拭いた後は水分を残さないようにするのがポイントです。最近は本物と遜色ない人工皮革もあり、見た目や触感で選んでしまいがちですが、公共性の高い場所でお使いになる家具については、対薬品や止水、妨汚や耐油対応など、用途に合った張り地を選ぶ必要がありますよね。

静まり返った空港ロビーで作業の合間の休憩中に、ひっそりと佇んだ真夜中の飛行機を眺めながら・・・そんな事を考えていました。(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

たくさんのお客様にお座りいただいた特注のラウンジチェア。アームの手の触れる部分の痛みが目立ちました。
いつもは出国の際にフライトを待つロビーにて。静まり返った空港にひっそり佇む飛行機。

2013.4.18 DESIGN

家具の修理は難しい!?

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.9
家具のリペア・修理について、フィズ・リペアワークスの西原さんをはじめとするスタッフの方を東京本社にお招きして社内講習会を行ないました。 フィズ・リペアワークス ホームページ

「家具」と言っても素材も仕上げも様々。木はもちろん、革や布、樹脂やスチール、布と言っても天然素材のコットンから麻、アクリルやポリエステル、ビニールレザーと人工皮革等、扱う素材は無限に広がります。塗装もウレタンやラッカー仕上げなど、判断を間違ってしまうと大変な事になります。状況も症状も千差万別、補修やメンテナンスは本当にデリケートで難しいモノ。講習会では、フィズさんの経験も交えながら分かりやすく説明いただきました。

ポイントは「適材適所の素材選び」。目的に合っていない素材や仕様を選んでしまってはトラブルの元です。目的にあった適正な製品仕様であれば、万が一トラブルが起きた場合でも、対策が立てやすくなります。今回の講習内容をしっかり学んで、今後のお仕事に役立てていきたいと思います。 (エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

フィズ・リペアワークスの西原さん。サンプルを交えて説明していただきました。
AD CORE のスタッフも、しっかり内容を把握して。西原さんを囲んでの講習会の模様です。

2013.4.10 DESIGN

懐かしいインテリア情報誌

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.8
皆さんは「室内」というインテリア情報誌をご存知ですか。もしかすると若い方はご存じないかもしれませんが、1955年から2006年まで発刊されていた、インテリアの月刊誌です。「室内」という媒体名でしたが、家具のデザインや構造、作り方まで紹介する雑誌でした。当時、インテリアに関する媒体も少なかったように思うのですが、一般の書店で普通に並んでいて僕は学生の頃にも読んでいた記憶があります。インテリアに関しては素人の名物編集長山本さんが独自の切り口で編集されていて、とても面白い本でした。社内のスタッフが「懐かしくて捨てられない」と見せてくれたのですが、ホントに懐かしい。1999年11月号でしたが、当時まだアイテムが少なかった AD CORE のソファが紹介されていました。

情報を得る手段もツールも劇的に変化して、雑誌も本も売れない時代と言われています。月刊誌の発刊を待って、新刊の特集記事を読みふけるなんて事も無くなりつつあるんでしょうね。なんて思いながら、なにげにページをめくっていると「名作家具三面図」「プルーヴェ家具のイラスト図解」なんて記事が目にとまり、ついつい見入ってしまうのでした。    (エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

室内 1999 No.539 B5版の小さめのサイズ。定価が¥1.100もしたんですね。
ソファ特集の記事。左ページ下段右 AD CORE ソファ カルマが紹介されています。色んな製品が掲載されていますが・・生産してないモノもあり時代を感じます。