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2013.7.31 DESIGNER
植木は街の財産
AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.19
先日、自宅近くの学校にある桜の大木が切り倒されていました。枯れてしまった訳ではなく、校舎の立て替えの邪魔になったからが理由でした。毎年、柔らかな桜色が目を楽しませてくれ、春の訪れを知らせてくれていたので、かなりショックな出来事でした。緑の日陰が無くなり、急に寂しくなった空間と、大きくて元気だった事を証明している切り株を見ると悲しい気持ちでいっぱいになりました。
LAへ行くたびに思うのですが、なんと緑の多い事。眩しい太陽に乾燥した空気なのに、一年中、鮮やかな緑が目を休ませてくれます。以前はこれがLAなんだなと普通の事と思っていましたが、現地の方から、水道は650キロ先(東京から岡山くらい)から運ばれてきて水道代は高く、植栽にあげる水道代も大変な事を聞き、この緑が豊な生活の上に成り立っている事を知りました。それが、ビバリーヒルズなど緑が豊な場所ほど、生活が豊な事も。
LAでは自宅庭の芝生が伸び放題だと通報されたり、それが是正されないと、市の担当者が造園業者と来て、強制的に刈り取り、代金は家のオーナーに請求されるとの事。また、自宅敷地にある木であっても勝手に切る事はできません。切る時は市に届けを出す必要があります。勝手に切ってしまうと通報されて、数千ドルの罰金が課せられるそうです。罰金を払うのが嫌なら、同様の木を3本植えなければいけないそうです。知合いの方は水やりが大変だからと切ってしまったそうですが、結局3本の木を植える事になり、よけいに水やりが大変になったという事でした。そういった法律でも緑が守られているんです。
でも、それだけではありません。LAのモダン住宅がある文化度の高いエリアでは、街並の樹木や植栽も住人達の水やりや、清掃によって守られています。樹木や植栽も街の財産だという認識が高いという事です。それだから、住むエリアの価値が守られすから住宅が良く見え、保たれた価値の金額で住宅が取引されるようになっているのです。校舎だけ立派になった学校を見ながら、建物だけ立派でも緑と建物のバランスも大切なんだけどな、、と思ってしまいました。
(クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)
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2013.6.27 DESIGNER
カリフォルニアスタイルとマナー
AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.18
先週、ロサンゼルスへ新カタログ撮影に使う住宅を探しにロケーションハンティング(ロケハン)に行ってきました。相変わらずのLAは爽やかで日差しの強さも気になりません。日本の梅雨の湿気からは考えられない爽やかさで、一年を通して本当に過し易い気候です。こんな気候からカリフォルニアスタイルの住宅、ファッションが生まれてきたんでしょうね。
ロケハンでは1950年代の家からこの数年に建てられたモダン住宅まで沢山の住宅を見てきました。今回の条件は、この1〜2年に新築かリノベーションされた住宅で、今一番きているインテリアが見られる事。ハリウッド俳優のマネージャー、超有名ロックバンドのギタリスト、ビジネスマン、ヘアメイクアーティスト、飲食業経営者、有名カメラマン、会社経営者など様々な業界の家を見せていただきました。1950年代といっても、リノベーションされてヴィンテージやモダンなど様々なインテリアシーンが見られました。多くの建物は元設計図面に忠実に、本来の設計者の意図が再現されていています。そこに置かれる家具や小物は本物のヴィンテージ家具か、今のモダン家具と様々で、オーナーのライフスタイルに合わせて選ばれています。それはデコレーターがオーナーのライフスタイルや趣味に合わせて選ばれた物です。
今回もロケハンはLAの敬愛するYASUKOさんにお願いしたのですが、どの家のオーナーも心よく、家を隅々までご案内いただきました。いつもYASUKOさんと歩いて驚くのが、彼女の顔の広さと、どんなオーナーとも話しができるスキルの高さ。建築家の名前、家具から小物の事、アート、様々な業界の事など、、知らない物は無いというくらいの知識の高さが、最初は緊張していたオーナーも最後には心を許しているようです。でも、なんと言っても、最初に玄関で靴を脱ぐ事がオーナーの心をつかんでいます。「靴のままでいいよ」と言われても、ジャパニーズスタイルと言って、私達も靴を脱いで家の中へ。オーナーはそれだけで、家を大切に思ってくれていると感じて、快く案内していただけます。そして私はカメラを出して、写真撮っていですか?と必ず聞いて撮影を始めます。(ロケハンなので写真は承認いただいていますが)これは他の取材の時でも必ず行う事です。今はスマホですぐに撮れるので、勝手に撮る人もいますが、撮っていい?と一言。マナーは大切です。
今回も住宅ロケハンの弾丸旅行でしたが、気候だけでなく、人の優しさやその人達のライフスタイルのインテリアに触れて、これが本当のカリフォルニアスタイルなんだなと思う癒された旅でした。
(クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)
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2013.5.28 DESIGNER
職人技の製品と技無しの製品
AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.17
6月4日の東京から始まる家具セミナー。今回はソファの作り方の第二弾と無垢テーブルの作り方。どちらも職人技が物の出来を左右します。その取材で九州の協力工場へ数日間お伺いして、職人さんの近くでじっくり見てきました。
今回のセミナーのA-modeのソファも新製品の試作をする際には工場へ通い、隅々まで知っていたつもりでしたが、最初から最後までずっと製品が出来上がるのを通しで見るのは初めてです。手の込んだ仕事を手早く仕上げるのは本当に感心します。想定した時間内で作業をするので、素早く、写真を撮るのに苦労します。それでも要点を押さえながら、サクサク作り上げるのは職人技です。近くで見られながら作業をするのは嫌だろうな、、と思いながらシャッターを切ります。でも、皆さん嫌な顔一つせずに見せてくれます。以前、当社は印刷した会報誌を製作していて、その時にも撮影をしたのですが、その時は、嫌そうだったのですが、今回はなんだか嬉しそうに、作業のコツを教えてくれながら進めてくれます。ふと壁に目をやると7年前に取材した印刷物を大切に置いてくれていました。それをひらいて私はここに映っているんです。と話してくれました。いつもは黒子の職人さん達なのですが、製品を使われるお客様に自分達の姿を見せられる事が晴れやかな気持ちに思っていただいているようでした。
家具のバネを作っている工場へも行きましたが、そこの職人さんもこれを見て欲しいと作業を実演してくれました。バネは座り心地を左右する大切なパーツなのですが、表からは絶対に見えません。それを見せられる機会は本当に無いと言われていました。ソファの中身の木枠も同じです。見えない所を作る職人さん達がきちっとした物を作り、表面を仕上げる職人さんが、最後を仕上げる、技の連携で物は作られている事を再認識しました。私達はそういった職人さん達に支えられて、製品を皆様に届ける事ができています。
九州の家具の産地である話しを聞いたのですが、某会社が輸入している製品を西海岸イメージの家具に変えたとたんにクレームが激減したそうです。品質が上がったのではなく、今迄だとクレームだった仕上げが、西海岸風という事で、お客様の目が緩くなって助かっているという話しでした。それを聞いて複雑な気持ちになりました。適当な作りで許される物が増えているようです。でも、日本にはお客様の厳しい目で鍛えられた職人技があり、それに答えられる職人さんがいます。その職人さんの為にも丁寧に作られた製品をいつまでもお届けしなければと思いました。
(エーディコア・ディバイズ クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)
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2013.5.12 DESIGNER
世界的なコードバンの品薄
AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.16
最近、アメリカファッションが人気です。アメカジだけでなくトラディショナルの世界でも同様、無骨なアメリカ靴が人気で、特にAldenという靴ブランドが人気です。
先日、アメリカのAlden販売店へ行きました。Aldenはアメリカブランドで、無骨なデザインが多く、コードバンを使った靴がこの数年人気です。その店に張り紙があり、世界的なコードバンの品薄で生産数が少なくなっているとの事でした。店員さんに聞くと、Aldenの靴が世界的に人気な事と、その流行に敏感な日本人がコードバンの靴をこぞって買っているからだと、、。コードバンは馬のお尻の革で、形から日本ではメガネ、西欧ではシェルと言われています。きめ細やかな革は磨くとなんとも言えない艶が出ます。急にコードバンが必要になってもそれほど多く生産できずに、品薄状態だそうです。コードバンを扱うタンナー(鞣し工場)は世界に3社しかなく、アメリカのホーウィン社と日本の大喜皮革、あとは自社一貫製造をしているフランス靴メーカーのJMウェストンしかないそうです。
世界的なコードバンの品薄に日本人が関わっている話を聞いて、右へならえの流行は昔から変わらないんだなと、その店で買ったクリームを使って、数年前に手に入れたコードバンの靴を磨きながら、少し考えてしまいました。コードバンは美しい艶が出ますが、雨に弱くシミができるので、雨の日には履けないんです。雨の多い日本には不向きな素材なのですが、この艶が好きなんだなあ。
(エーディコア・ディバイズ クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)
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2013.5.1 DESIGNER
テキトーと適当は違う
AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.15
最近、ラフでカジュアルなファッション、インテリアが流行っています。お店の床材も中古の床材や古材を使ったインテリアが多く見られます。塩ビタイルでも綺麗な素材を転写したのでなく、古材や節のある通常では使わないものを転写した物が見られます。その多くはヴィンテージをイメージして使われていますが、ヴィンテージとラフさを少し誤解して理解されているように感じる事が増えてきました。
ヴィンテージイメージとして作られている家具やインテリアの作りは、テキトーに作られている物が多くあります。本当の職人は作らない、職人には作れないような素人が作った物が多く見られて、残念に思えます。ヴィンテージとはワインの当たり年、車や家具も良い時代に作られた物をヴィンテージと言います。古くラフに作られたものを言うのではありません。良い時代に職人が一生懸命作った物が大切に使われ時代を経て、ヴィンテージの物になるのです。ハンドメイド定義も職人が丁寧に作った物よりも、テキトー(適当とは違います)に作った物が手作りらしく思われているようなに感じる事も多くなってきました。
良い時代は景気が良かった時代で、職人が時間をかけて作れた時代です。それがアメリカのミッドセンチュリーの時代で、1950~60年代は車やインテリアもデザインだけでなく、作りが良い品が多く、今でも十分使えます。LAの住宅ではミッドセンチュリー時代の家が多く残り、それをリノベーションして住んだり、販売されています。それが時代に敏感な人達が所有し、それに憧れる人々に広がっています。1956年のジョン・ラトナー設計のマークさんの家や、1948年のリチャード・ノイトラ設計のワーナー副社長の家は窓の金具一つまで職人仕事が再現された本物のヴィンテージでした。
日本では少し違った意味でのテキトーが広がっている事が少し気になります。職人仕事を大切にした程よい適当であればいいのですが、、。当社の家具もヴィンテージになるように、良い物を作らなくては、、。
(エーディコア・ディバイズ クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)
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