COLUMN

2024.3.27 DESIGN

出荷前の製品画像確認を行っています

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.143

3月もあっという間に過ぎて、4月から2024年の新年度がスタートする時期になりました。新型コロナ感染の影響も解消されてすっかり通常の生活に戻っていますが、思い起こせば2019年の年末に感染が報告されてから世界中でパンデミックが発生し、約3年もの間、感染防止対策の制限された生活を強いられていました。移動制限をして人との接触を避ける事、今考えても本当に不自由な生活を強いられていたのだと思います。そんなコロナ禍の期間中もエーディコア・ディバイズでは家具製作を続けていましたが、品質向上のための定期的に訪問していた、工場の製品確認が出来ない状況になってしまいました。

当社の製品はオーダーをいただいてから製作する受注生産方式で皆様に家具をお届けしています。信頼のおけるOEM対応の工場で制作をお願いしていますが、工場には定期的に訪問して品質向上を図っています。同じように作っているつもりでも知らず知らずのうちに仕上がりが微妙に変化したりすることもあり品質が保てなくなる場合があります。慣れから来るものだったり担当者が変わり引き継ぎができてなかったりと要因は様々ですが、それを防ぐために工場を訪問し、現場の方とコミュニケーションを取りながら品質向上を図っていました。ところが、新型コロナウイルス感染の影響で工場を訪問することが出来なくなりました。さらに問題だったのが、感染対策のため納品の現場にもお伺いすることが制限されてしまったことです。そこで始めたのが、ソファやラウンジチェアの画像による全品確認です。

当社の製品は受注を頂いてから工場へオーダーを掛け工程を管理していますが、物件ごとに仕様も様々で納期的に余裕はありません。木材や海外の張り地など資材を揃えて加工を進め、家具を仕上げていきます。製品が仕上がっただけで終わりではありません。配送するために養生して梱包する大切な作業があります。仕上がった家具にキズが付かないよう最も慎重になる工程です。そんな作業途中に「画像を撮って仕上がり確認を実施したい・・・」当然、生産現場からは反対がありました。「時間も人員も余裕はないし、出荷が間に合わなくなる」等々。しかし、工場で確認ができず納品した現場でも製品が見れない状況では、間違いのない製品を出荷する方法しかなく、先ずはこの確認作業をトライすることにしました。

作業を開始した当初は、画像を見るだけでも精一杯、チェックバックが遅れれば出荷が間に合わなくなってしまいます。はじめはかなり混乱して現場から何度も泣きが入りました。工場も大変ですが確認してチェックバックする対応も容易ではありません。日々の業務をこなしながら画像チェックは即対応、担当者不在の際もチェックバックできる体制を取りました。バタバタな日々がしばらく続きましたが、少しずつ要領を掴み流れが出来てきました。チェックデータも蓄積され、作る側も確認する方もポイントが絞れてきて徐々に作業がスムーズになりました。この作業を始めてから、納品した製品で気になる所があった場合、出荷時の状態と比較が出来るのでどこに問題があるのか検証し易くなりました。その対策をフィードバックすることで、工場を訪問出来ない期間中でも品質を落とさないだけでなくさらに品質を上げて対応できたのではないかと思います。

新型コロナ感染が収まり、移動制限が解除されてからは工場訪問を再開していますが、九州のソファ工場の画像確認は現在も継続しています。画像確認を始めた当初は、生産開発の責任者が作業を担当されていたのですが、現在は当社の製品をほとんど仕上げている腕利きの若手スタッフが作業を引き継いでいます。引き継ぎ当初は画像も粗く、やり取りには苦労したのですが、今では綺麗に仕上がった製品を要所を押さえた画像を送っていただいて、しっかり確認が出来るようになっています。感染対策でやむを得ず始めた品質向上対策でしたが、これからも効率化を図りながら画像確認の活用を続けていきたいと思います。(開発 武田伸郎)

製品が仕上がり、梱包作業に入る前にメールで送っていただいた画像の仕上がりをチェックします。実際に肉眼で見る製品と、モニターで見る撮影した画像ではどうしても差異は生じてしまいますが、何度も実施することによってバランスが取れるようになりました。仕上がりで気になる箇所、補正を促す箇所を画像に指示を入れてチェックバックします。画像を撮って送る側と、チェックする側とが相互理解ができるようになると確認作業もスムーズになります。
オーダーNoごとに、仕上がったタイミングで画像を撮影しメールで送っていただきます。正面、側面、背面を写した画像を基本に、製品ごとにチェックが必要なポイントは画像を押さえてもらいます。様々な製品、バリエーションに富んだ仕様をチェックしています。2024年モデルのNC-075(画像右上)やMD-3211(画像左下)も人気の商品になっています。

2024.2.27 DESIGN

カーボンニュートラルな社会実現へ向けて

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.142

先日、明治22年創業の130年以上の歴史ある建築木材の加工工場を視察してまいりました。エーディコア・ディバイズで一昨年から取り組んでいる国産針葉樹合板の活用ですが、2024年のモデルでは内部構造を100%針葉樹合板を使ったソファMD-3211ソファを発表しました。SDGs、カーボンニュートラルな社会の実現に向けた製品作りの一環ですが、そんなブランドの姿勢に共感いただいた方から「同じ思いを持った木材加工の工場があり面白い資材も開発しています」とご紹介いただき工場を訪問することになりました。

岐阜地方の緑豊かな工業団地内の広大な敷地内に工場はありました。オフィスにご案内いただき、お互いの企業理念やブランドコンセプトをお話ししました。歴史のある工場なので、明治から始まる日本の西欧化から昭和の高度成長期、そして21世紀に入り国産材の需要の低迷期など、日本の木材加工の歴史を辿ってきているわけですが現在取り組んでいるのがカーボンニュートラルな社会への挑戦、環境にできるだけ負荷をかけない「地球環境にとって意味のある木材利用」でした。企業理念も独創的ですが社長もちょっと変わった経歴の持ち主で、ドイツに滞在した経歴があり「ドイツ気候療法士」の資格をお持ちでした。(ドイツでは生活の中に公園が必須のお国柄で、行政的な視点から公園のプランを景観や緑化だけでなく、人間の健康にいかに良い影響を与えるかを計画するのが気候療法士なのだそうです)そんなユニークな会社から提案いただいたのが、圧密加工で硬く改良された国産のスギやヒノキ材でした。

2000年頃から国産材の利用率が低迷し森林の荒廃が増加、それに伴い自然災害の発生や地球温暖化、森林の環境保全が問題視されるようになりました。そこで開発されたのが国産針葉樹の圧密材です。国産材のスギやヒノキは柔らかく優しい肌触りが魅力ですが、比重が軽く強度が低いため建築や家具には不向きとされてきました。その弱点を木材を圧縮することにより広葉樹と同程度の硬さと強度を持たせ使用範囲を広げようという試みです。実際、圧密材を手にすると針葉樹とは異なりずっしりとした重量感があります。表面強度も硬く広葉樹と変わらない質感を感じます。材料のスペックも広葉樹のカバやナラ材と同程度のデータが得られています。国産のスギ、ヒノキの圧密材は、全国の庁舎や学校などでフローリングや建材で使用されている他、一部の家具製品にも使われていますが、工場の取扱量としてはほんの一握りが現状のようです。国産のスギやヒノキの使用が広がれば、地産地消のカーボンニュートラルな社会実現に繋がり、森林保全が進み自然災害の対策や環境保護にもなると思うのですが、コストの問題もあり活用を広げていくのは難しいようです。弊社で取り組んだ国産針葉樹合板も、生産をお願いしている工場から「強度が不安」と今までと違う資材を用いることに抵抗を受けました。新しい試みを進めるにはテストを繰り返しながら、工夫を重ねて一歩一歩進めていくことが大切なのだと思います。

工場の方から「圧密材の活用を広げるためにアイデアやリクエストをぜひお願いします」とオファーをいただきました。これからの汎用性を考えると、スギ・ヒノキの木理や木目のデザイン性の活かし方もポイントになるのでは、と感じました。スギ、ヒノキの圧密材をインテリアや家具に使用するとどうしても「和」の印象を持たれるように思います。(当社の針葉樹合板はソファの内部構造に用いているため意匠的には影響は出ません)それも、デザインや工夫次第で活路を見出せるのではないかと思います。今回の訪問にあたり、これからもカーボンニュートラルな社会の実現に向けて国産材の活用のために情報共有することにしました。今後も新しいニュースを皆様にお送りできればと思います(開発 武田伸郎)

130年以上の歴史を誇る木材加工の工場。画像の工場は2018年から稼働している住宅用のプレカット加工工場。CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)を構造体に用いた広大な広さの工場
左上:工場で加工された建築資材は1棟ごとに積み上げられます。工場からは岐阜地方の山並みが望めます。 左下:打ち合わせルームに使用されているスギの圧密材フローリング 右:着色を施した圧密材のテーブル天板。表面硬度もあり、強度的な不安はありません。

2024.1.28 DESIGN

国内の杉や檜を活用すること

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.141
エーディコア・ディバイズでは、受注いただいた製品を全て国内で生産し皆様にお届けしてきました。「無駄なものは作らない」「納得いただけるものを永くお使いいただきたい」という理念から、まだ環境保全の意識が高まっていない1985年から製品作りを続けてきました。2022年からはSDGsの対策から製品の梱包材を見直しリサイクル可能な資材に全て変更するなど環境に配慮したモノ作りを進めています。昨年発表した2024年モデルでは、製品の資材にまでこだわり椅子やソファのクッション材にリサイクルされたリボンテッドフォームを使用、ソファの構造材には国産材の針葉樹合板を100%使用しました。

2020年頃から発生したウッドショック。米国の住宅需要の急増や中国での資材買占め、数年後にはコロナ渦での世界的な輸送停滞から深刻な状態になりました。国内の住宅、建設関連からあらゆる業態に広がり家具業界にも大きな影響が出ました。国内の木製家具の材料は、ほぼ100%輸入材に頼っていて合板などの副資材も市場に出回らなくなりました。価格度外視で資材を見つけたら買い占める極端な対応も見受けられました。そんな中、注目されてきたのが国産材の杉や檜などの針葉樹です。旧くから日本家屋の建材として使われてきた杉や檜ですが、近年は在来工法の住宅が減り建築としての使われることがほとんどなくなりました。高度成長期に国策で植林した杉などの活用法は、20年以上前から取組んでいましたがコストの兼ね合いなどから定着しませんでした。そんな中、ウッドショックで価格高騰と供給が不安定な輸入資材に変わる資材として、「国産針葉樹合板」の活用が見直されてきました。安定した資材供給を求める住宅メーカーやデベロッパーが国産針葉樹合板を使用し始めたことも市場が広がる要因になったようです。

当社デザイナーの瀬戸も、表面材は難しくとも構造材として国産材が使えないか以前から検討し提案をしてきました。まだ家具業界では使用しているところは皆無「杉や檜の針葉樹は弱い」という認識から工場の抵抗もありました。しかし、一昨年の2023年モデルで国産針葉樹合板の構造材への使用を決め、製品化を進めました。生産工場の納得を得るため、構造上負荷がかかる箇所には従来の材料を使用する構造で、ソファ全体の80%に国産針葉樹合板を使用しました。そして2024年モデルでは、ソファの構造材を100%針葉樹合板を用いた製品を開発しました。デザインするにあたり針葉樹合板がどのように生産されているのか、地産地消を実践する九州の針葉樹合板の生産工場を視察してきました。広大な敷地に木材加工工場とは思えないほどクリーンに管理され、これ以上ないほど環境に配慮した素晴らしい工場でした。生産されている資材も資源を出来るだけ無駄にしないバランスが取れた材料で「これからはもっと活用すべき国産資材」の思いを強くしました。

2024年モデル制作過程で、生産工場内でも「針葉樹は弱くて使えない」という印象が払拭されています。実際使用してみて、輸入合板と比較しても軽量で歪みも少なく懸念していた固定金物の効きも充分あると実感しています。新作展示会にご来場いただいた方はご覧いただいたと思いますが MD-3211ソファの構造体は、全て国産針葉樹合板。軽量ですがしっかりした構造です。12ミリ厚の合板については、既存のソファ製品についても全て針葉樹合板に切り替えています。生産している針葉樹合板の厚みが限られているため採用アイテムが限られていますが、厚みのバリエーションが増えた段階で順次針葉樹合板へ変更していく予定です。エーディコア・ディバイズでは、国産材の使用、環境に配慮した資材の採用と製品作りを、さらに進めていく予定です。(開発 武田伸郎)

2024モデルのソファ MD-3211 画像左が100%国産針葉樹合板を使用したフレーム構造。非常に軽量ですがしっかりしています。背の外周に貼っているのは国産再生紙のラミー材。座面のSバネスプリングも国産材料です。右がMD-3211 ソファの仕上がり画像です。
左上:厚さ12ミリ、九州の国産材を使用した針葉樹合板。強度を上げるため表面材には檜材を用います。フレーム形状に切り出しても捩れや歪みが少ない材料です。左下:強度や取り都合を検討し、適材適所に針葉樹合板を使用します。右上:九州の針葉樹合板工場の貯木場。工場からおよそ100kmエリア内で伐採した材料、合板にした材料は九州エリアに流通します。右下:建材では使いにくい太径木も無駄のないように材料として使用します。

2023.12.26 DESIGN

家具を作ることの難しさ

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.140
2023年のスタートは新型コロナ感染がはじまって3年が経過し、ようやく収束の目処が見えてきたところでした。昨年末も暖冬から一転、記録的な積雪でしたから、ちょうど今の状況と同じような天候だったんですね。あっという間の1年でしたが、さまざまな出来事がありました。皆さんにとって今年はどんな一年だったでしょうか。私にとっては、規格製品を異なる工場で作ることの難しさを実感した一年でとなりました。

エーディコア・ディバイズでは、製品化した家具を製品に適した工場へ生産を依頼します。当社のクオリティーを理解いただき品質をキープ出来る工場へお願いしています。生産をお願いする私たちと、家具を作り上げる工場とでお互いに信頼し合える関係が築けるところになるのでたくさんあるわけではありません。椅子・脚モノを中心にお願いしている山形の工場と、ソファ・テーブルは九州大分県の日田市にある工場に生産をお願いしています。ところが今年の7月、山形の工場で火災が発生してしまい生産が出来なくなってしまいました。ブランド発足から長い間生産していただいてた工場が、突然モノが作れなくなってしまった緊急事態です。火災の被害は思いのほか深刻で復旧の目処が立たない状況で、一刻も早く当社の家具の生産移行をする必要に迫られました。生産の優先順位とアイテムの精査、図面の準備から仕様指示書の確認をし生産をお願いできそうな工場を当たりました。当社でデザイン、開発した製品、家具として生産が流れているモノです。仕様も注意点もわかっているのですから、工場の設備が整っていれば基本的には生産移行が出来ると考えていました。しかし大変だとは覚悟していましたが生産移行は想像以上に困難な作業でした。

現在お願いしている工場以外で、生産をお願いできそうな可能性のある工場をあたりました。しかし、国内で家具の生産工場がどんどん減少していく中、生産キャパに余裕がある工場はほとんどありません。「生産が落ち着いたら」「状況が整ったら」といった回答もありましたが、受けていただける工場もありました。「自社のレベルアップのためにも是非」「生産前提で前向きに進めます」など、快諾いただいた工場にはすぐに訪問して打ち合わせを行いました。できるだけ移行がスムーズに進むよう、ブランドのコンセプトから生産の流れ、製品の資料をお渡しして準備を進めたのですが・・・全く思うようには進みませんでした。製品化されているとは言っても、他の工場で新しく作るとなると一から新製品を開発するの同じくらい労力を要します。製作仕様書があればそのまま作れば手間暇省けるだろうと考えてしまいますが、設備や各工場の「やり方」があるので、逆に仕様書に縛られて進まなかったりコストが余計かかってしまう、ということは後になってから気がつきました。当社のブランドコンセプトでもある「どこにでもあるようでどこにもない家具」普通に見える家具でも、仕口や構造が難しいためなのか「当社では対応出来かねます」と、途中でお断りされるケースもありました。私たちには当然のクオリティーでも他の工場からすると「かなり難しい」という声もたくさんありました。資材入手や突板の張り分け加工なども問題で、今までは当たり前に思っていた様々なことが難しくなってきているのだと思います。

暑さ厳しい真夏から何度も工場へお伺いし、皆様からご協力いただきながら19アイテムの生産移行を開始することができました。生産ラインが軌道に乗るまではまだ確認が必要ですが、他の製品も引き続き作業を進めてまいります。今年はいろんな工場の方にお話をお聞きする機会があり、モノ作りの現場で感じている難しさに色々と思うこともありました。来年はそんな取り組みにも向き合っていきたいと思います。(開発 武田伸郎)

左上:詳細な図面や制作仕様書があってもその通り作れる訳ではありません。特殊ですが非常に安定した構造のMD-1202脚部固定 左下:試作で製作したMD-1202M。しっかり安定しています。 右上:データを活用して試作を繰り返し、構造と精度を上げていきます。 右下:仕様・加工が決まったら必要な資材を準備します。ここまで出来ないと受注できません。
左上:今回特に苦労したのが突板の張り分け加工。画像はMD-1302の丸天板のテストピース。小口に廻す無垢材はこのように接着して加工します。 左下:上の丸天板を加工仕上げした試作天板 右上:生産移行したAD COREのAD-015 ZONAソファ 右下:試作品を前に工場のスタッフの方とディスカッション。それぞれの工場のやり方や進め方があり、双方で理解しながら進めていきます。

2023.11.30 DESIGN

2024 MODEL 製品撮影記

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.139

11月の某日某所、今年も新製品の撮影を行いました。例年よりも約一ヶ月遅い時期の撮影となりましたが、ご存じのとおり猛暑から続いている暖かい気候のおかげで寒さに耐えることのない撮影ができました。今年は製品カットのスタジオ撮影と、2年ぶりに場所をレンタルしてロケーション撮影を行いました。撮影ギリギリまで製品の仕上がり確認を行なっていたのですが、出来立てホヤホヤの新製品がチャーター便のトラックに乗って撮影当日の早朝にスタジオに到着。2024年の新製品の撮影をスタートしました。

このところ利用している神奈川の撮影スタジオは、トラックがスタジオの入り口まで着けることができる利便性の良いスタジオです。スタジオが建物の奥だったりエレベーターでの移動があったりするとそれだけで大仕事になり時間を取られてしまいます。このスタジオはバックヤードも広いので、家具の撮影ではとても助かります。今年はスタジオ撮影を1日しか取っていないので、撮影カット数からすると時間との勝負です。製品の開梱から製品の設置、アングル決めの製品移動をしながら全員協力体制で粛々と撮影を進めていきます。ここ最近の手順として、瀬戸はメインの撮影以外の、製品のディテールカットの撮影を行います。その数なんと15カット。メインの撮影ディレクションを行いながら、手持ちのカメラで撮影です。メインの撮影では、スタート直後のセッティングに時間がかかりましたが、イメージ設定を決めてからは怒涛の進行。撮影終了後の梱包時間まで含めても撤収時間前に余裕で終了!!こんなに早く終わったのは記憶にありません。撮影終了後にトラックに製品を積み込み、明日は勝負のロケ撮影です。

新型コロナ感染の影響もあり、ロサンゼルスでの製品撮影は一旦終了しているので、今回も国内でのロケ撮影になります。LAでは、実際お住まいになっている住宅をお借りしてリアルなインテリア空間での撮影を行ってきましたが、日本ではそのような物件がなく、ほとんどが撮影用に建てられたハウススタジオでの撮影になります。そんな作られた空間が嫌でロサンゼルスでの撮影をはじめたので、国内での撮影場所探しも強力です。コーディネーターも見つけられないようなどこにも情報が出ていない物件を瀬戸が探し出してきました。「こんなところにこんな物件があったのか・・・」ロサンゼルスやベバリーヒルズの邸宅にも引けを取らない素晴らしい物件です。ここでも18カットを撮影するというかなり厳しい計画にもと、製品搬入から建物の養生作業、既存の家具の移動と全て同時進行で進めていきました。とても広い空間と高い天井高、でも一番苦労したのが居住エリアをつなぐ廊下や階段が非常に狭いこと。ソファやテーブルも分解して運び込みました。お使いになっている家具も素晴らしいものでしたが重量も最高級!ダイニングテーブルは8人掛かりで移動しました。完全撤収の時間もありますが、陽が落ちてしまっては撮影ができません。時間との勝負でしたがここでも一気に追い込んで、予定通り撮影を終えることができました。

いくつかアクシデントもありましたが、皆さんの協力のもと事故もなく無事撮影を終えることができました。ロケでお借りしたオーナーの方にも協力的にご対応いただき本当に感謝です。(LAの撮影では、オーナーの方には散々苦労してきたので)秋の夕暮れ、製品の積み込みも終わり、クリーニングもしっかり終えて、お借りした撮影現場を後にしました。今年の新作展示会は12月6日からスタートです。今回撮影した画像は、展示会でお配りする大判のタブロイドカタログで是非ご覧ください。(開発 武田伸郎)

左上下:昔はカメラのファインダーやポラロイドで撮影の画像を確認していましたが、今はPCのモニターでチェックします 右上:製品のディティールや説明カットは瀬戸のカメラで撮影しています 右下:撮影スタジオ風景。モノの開梱や移動を段取りよく進めながら計画通りに撮影を進めます
ロケーション撮影は時間との勝負。撮影のデレクションをしながら瀬戸はイメージカットも撮っていきます