この住宅は都会に住む家族のための別荘であるが、多くの仕事が遠隔で行われるようになった時代背景から第二の生活拠点という意味も持つ。南に開かれた台形の敷地形状を最大限に活かしながら、自然に溶け込む佇まいを重視した配置計画と内部構成を目指した。

前面道路からほぼ平坦にアプローチする玄関のゾーンから半階上がったリビングダイニング、そして玄関上部のマルチルームからリビング上部の寝室ゾーンへとスキップフロア形式によって空間を途切れることなく繋げることにより、内部空間はいつでも自然を身近に感じながら次の空間へ連続し、広々とした印象を与える。

リビングダイニングはこの別荘での家族の活動の中心であり、キッチンカウンターはダイニングテーブルと一体にデザインし、ゆったりとした時間を過ごすためのダイニングチェアとベンチを選定した。キッチンの背面の造作カウンターをそのままリビングのコーナーソファーへと繋げることによって空間に広がりを持たせ、敷地北側の緑を眺めるためのカウンター上部の横長の開口によりリビングとダイニングの一体感をさらに強調している。